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20241006-12 ぼくだけはブルー

それじゃ最後のわがまま ひとつだけ
100年でも待つから いつか戻っておいで!

Ghost/ドレスコーズ(アルバム"Hippies E.P."収録)

日曜日
弟が誕生日だった。父親が「なにが誕生日じゃ」と悪態をついていた。素直に祝ってあげればよいのにと思う。おめでとう。
先週に腰を痛めた母がだいぶんよくなったみたいだ。リハビリがてらに料理をたくさんつくっていた。母のつくった豚汁と煮物、それに加えて私のつくった炊き込みごはんが食卓に並んだ。大層豪華で最高だった。昔はそんな光景を"家族ごっこ"と悪態ついて嫌ったものだけれど、並ぶごはんがおいしいのだから、ごっこでもなんでもいいじゃない、とか思う。今も昔も空腹を満たすのはごはんで、つまりそれを愛と言って差し支えないなら、ただきみは愛を享受するのがこわかったのではないか? 知らんけど。
好きなロックンロールスターのエッセイを読み終えた。手に入らないものを追い続けるなんと不格好なことで、それをメロディアスに歌い上げる芸術のなんと人間らしいことで、そのセンスの代償に神様が奪っていく人間性のなんと残酷なことだろう。でも、そのままつらくいてくれよって思う。光るもののあまりないぼくらの最後の目の輝きになっていてねって思う。

月曜日
先週土曜に作成したプログラムが日曜日も停止せず動いていた。いままで人力でおこなっていて、それだけで1日潰れてしまっていたような作業が完全自動化された。けっこう異次元な場所まできてしまった感が否めない。職場の人に自慢しても、すごすぎて呆けた顔をするのみだ。挙句の果てには「あんたはもう自分で会社でもおこしたほうがええんちゃいますのん?」と言われる始末だ。それはそれ、これはこれ。40になったら考えよう。

火曜日
急に寒くなりすぎている気がする。身体が壊れてしまいますよ。
いま働いている会社の唯一の強みであった財政がどうやら怪しいようで、ますますまずい状況となっている。いますぐどうこうという話ではないが、取引先の相手がどうも信用ならないらしい。現行ある取引のひとつでも飛んでしまうと何億単位での損失が出て、それを補填する余裕がまるでないそうだ。会社がつぶれる瞬間に立ち会ったことはないので、会社がどういうふうに息を引き取るのか当事者として経験してみたい。けれど、もしほんとうにそうなってしまったら、次はなにをしよう。考えておかなければならない。
家に帰ると、両親がお弁当を買ってきてくれていた。本当にいつもありがたい。ほか弁の牛すき焼き弁当のごはんの量に驚いていると、母親が「ごはんを半分食べてください」というので、食べた。父親も「ごはんを半分食べてください」というので、食べた。夜だけでたぶん米を2合ぐらい食べたんじゃなかろうか。体重がすこし増えているので気を付けようと思う。

水曜日
家に帰ると犬が留守番をしていた。犬に「おまえの両親はどこにいったのだ?」と問うと、首を少しかしげるばかりでワンともクンとも言わない。しばらくすると両親が帰ってきて「中華屋さんにいったけど、お店のマスターが忙しくしていてとても持ち帰りを頼めなかった」と言って、帰り道にあるスーパーでお弁当を買ってきてくれた。ちょうど米を研ごうとしていた手を止め、ありがたくいただいた。

木曜日
通院から帰ってきた父が「行くぞ」というから「どこに?」と問うと「でんき」というので、こいつはなにを言っているんだと思いつつもついて出た。近くの家電量販店に入ると、父が「人感センサーライトがないか探せ」というのでいっしょに探した。母方のばあちゃんの家につけてあげたいらしい。これというものがなかったのでもう1件家電量販店をはしごして、いい感じのを購入した。
昼には母親とうどんを食べに出た。小さいころ、風邪をひいて病院に行った帰りによく連れて行ってもらったことを思い出して懐かしかった。小学生のときには母親の食べ終わるスピードに焦りながら慌てて食べたものだけど、いまや私のほうが断然はやくなっていた。盛者必衰の理をあらはす。
おやつ時に妹がやってきて、働いている会社の給与計算をExcelでしたいという。彼女の意見を聞きながら作成し、それを見ては手直しをするなどした。ほとんどはじめてといってもも差し支えない兄妹の共同作業であった。
夜ごはんを食べているときに妹に「おかあさんにはなれそう?」と聞いた。以前から同じ質問を顔を合わせるたびしていたのだけれど、いつも「むり」とひとこと返ってくるばかりだった。けれどその日は違って、妹は少し悩んで「うーん、がんばる」と言った。日進月歩やなあ、子も親も。そんな無責任を思いながら次のフライドポテトに手を伸ばした。

金曜日
どうもやっぱり会社の状況が芳しくない。取引先からの案内があまりに少ない。「昨日もほとんど出せてないんだ」と先輩の言うとおり、あまり新たな商品案内はなかった。売上こそ平均点をキープしているものの、ECの強みであるロングテールがあまりに期待できない。これは困ったとお互いに言いつつも、特になにができるわけでもないので、いつものルーティンを粛々とこなした。
寒くなってきたので、タバコが恋しくなっている。参った。

土曜日
自動化の波、AIの波を自ら起こしてしまった私は暇を持て余しているので、さらなる自動化を試みて1日をつぶした。そのあいだにも、以前なら到底1日でできるはずもない量の仕事が粛々と更新されていく。本当におそろしい。
大きな前進こそなかったものの、新たな発見と改良の余地を見出すに至る8時間であった。今後の更なる発展に期待。
最近はまっているバンドの詳細がわからない。youtubeのプロフィールからするに、どうやらオーストリアのバンドらしい。ひさしぶりにCD、できればこいつらでLPデビューしたいなあと思うのだが、謎。"home alone."というバンドです。

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