その通話ボタンを押す瞬間の「ええいままよ」的な、純情な感情。
1ヵ月チャレンジ21日目のテーマは「これまでで1番のチャレンジ」です。
自分は保守的な方なのでチャレンジをあまりしません。
そういえば中学の時進研ゼミ「チャレンジ」をしてましたが、それについてもほとんど手を付けずに、オマケや付録や漫画の部分だけを楽しみにしてました。
でもそれは今は関係ないですね、すみません。
チャレンジとは挑戦、ですよね。
挑戦っていうのは「余裕でできる!」って感じというよりは「できるかな、できないかな、ええい、やってみよう!」って感じですよね。
つまり自信はそこまでないけど、とりあえず挑んでみましょうって感じですよね。
大体の人にとってチャレンジというのは、緊張というかドキドキというか、結果が不透明でどうなるか分からないから、不安の方が大きいと思います。
それでもチャレンジするのは、何かリターンが見込まれるからに他なりません。
失敗しても自信がついたり、そのチャレンジ対象について理解が深まったりと、得るものがあるからです。
もちろんそのチャレンジがうまくいけば、次のステージに行くことができる。だから皆さん、チャレンジをするのでしょうね。
でも自分にとってチャレンジは恐怖そのものに他なりません。
「どうなるか分からない」とか「不透明で不安定」とか、人生において一番キライなものだからです。
リターンがあると分かっていても、踏み出すことはほぼありません。
元々あまり欲がないというか、「そんなに苦労するくらいなら得られなくてもいいや」という、実にひ弱な精神で人生40年やらせてもらってます。
そんな自分ですが、思い返せば20代の頃に割と大きなチャレンジをしました。
それは「愛の告白」です。
それまでロクに特定の女の子と付き合ったことがなかった自分は、大学生になって急に色気づき女友達と遊ぶようになったりしました。
そんな童貞くんが次に考えるのは当然、女の子と付き合いたいってことです。
手をつないで一緒に帰ったり、寄り添いながらお昼を食べたり、休日にはデートに行ったりしたい。ひっついたりしたい。
なので自分は好きな女の子に告白することにしました。
それまでの自分と言えば、男子校だったので女の子とはほぼ無縁の毎日。
ヤンマガやホットドッグプレスのグラビアで自分を慰めたりもしてた、典型的な童貞野郎だったのです。
そんな自分にも好きな女の子ができた。ぜひ彼女にしたい。
というか向こうもこっちのこと好きなのではないか?
メールも毎日するし、学校ではよく話すし。そして何より、自分といると楽しそうだし。
もしかしてこれはいけるのでは?と思い、自分はチャレンジしました。
もちろん不安だったし、結果は不透明。
自分の性格からいうと、清水の舞台を飛び降りる位の決断です。
チャレンジしてもしダメだったら、へなちょこなプライドがズタズタになるかもしれない。
それでも、彼女になってもらうというリターンを期待してチャレンジしたのです。もちろん告白なんて初めてのことです。
とりあえず、対面は恥ずかしいので電話ですることにしました。
電話帳から名前を探し、その子の名前と番号が表示されている画面をじっと見つめる。
通話ボタンに指を載せた状態で、何分も経過する。
実家のマンションの階段の踊り場で。
今ちょっとでも親指に力を入れるだけで、あの子につながる。つながってしまう。
つながってしまったら言うしかない。
そして言ってしまうと結果が出てしまう。
さてどうする?どうする?どうする?押す?押さない?どっち?やっぱやめとく?明日にする?メールにする?もうちょっと待つ?もうちょっと遊んでからにする?どっち?どっち?まだ時間が早いからやめとく?でも今やらないといつやる?日を変えて大丈夫?ほんとに?どっち?本当の気持ちはどっち?というかあの子出てくれる?まだ学校着いてない?あの子の家は遠いから多分まだ電車かもしれな
「ポチッ」
自分の思考に関係なく、体が半ば勝手に動くあの感じ。
あの「ええいままよ!」な瞬間こそが自分のチャレンジ。
不思議と「プルルル・・・」の音を聞いても冷静でいられる。
押してしまうまでが長かったけど、押してしまったら清々しさすら感じられる。
・・・・・・・・・
でも、結果は見事に玉砕でした。
「付き合うって意味が、前の彼氏と別れてからよく分からなくなってんだよね」と言われました。
そんなこと言われても、童貞の自分にはもっと分かりっこありませんでした。
とりあえず、この子は今は付き合うということに疑問を持っているんだな。
この子もしんどいんだな。
そうか、付き合うってそんなに深いことなんだな。
童貞には到底わからない悩みを抱えているんだな。
その当時はそんな風に自分を納得させました。
まあ大人になってから考えると、フツーに傷つけないように断ってくれたんだなって分かりますが(笑)
それ以来、小さなチャレンジは何度もしてきたんだろうけど、あの携帯電話の通話ボタンを押す瞬間の「ええいままよ!」的な何物にも例えようのない気持ちはとんと味わっていませんねえ。