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『レミニセンス』 映画レビュー

先日、友人に誘われて映画をみてきました。

『レミニセンス』。クリストファー・ノーランの実弟であるジョナサン・ノーランが脚本を書いているということで。

以下ネタバレを含みます。

あらすじ。

まずはあらすじ。

戦争によって都市が水没した近未来。主人公のニックは記憶を辿れる装置の旅先案内人で生計を立てている。そこにある日、メイという女性が訪ねてくる。彼女の記憶の中の歌声に惹かれたニックはメイと恋仲になるが、ある日突然彼女は姿を消す。ニックは検察から依頼されたギャングの記憶に潜入している最中、その記憶にメイを見つける。彼女にどんな過去があったのか。メイを追い求めて、ニックはギャングの根城に飛び込んでいく—

みたいな感じなんですけども。まあここまでは公式サイトにも載ってるかな。

実はメイはギャングの取り巻きの汚職警官に脅されて、ニックの事務所から顧客の記憶カードを盗むためにニックに接近していました。ニックの顧客に、海没した都市で地主になりあがり富を築いていた男の愛人がいました。その愛人に子供ができていて、地主はその存在を認めようとしていたのです。それを快く思わなかった地主の跡取り息子が、愛人と子供を殺そうとして雇われていたのがこの汚職警官でした。

しかし、メイは潜入中に次第にニックに惹かれていきます。そして良心が芽生えたのか、汚職警官が愛人を殺した後、その愛人の子が殺されるのを阻止し、海の上に立つ小屋へと愛人の子を連れていきます。メイはそこで再びニックと暮らすことを望んでいたのでした。そしてニックの事務所へ再び向かった際、先回りしていた汚職警官に捕まり、愛人の子の所在を吐くよう強要されますが、これを拒否しメイは自決。

この辺りの真実を、ニックは汚職警官を捕まえてその記憶から知ります。激怒したニックは装置を暴走させ汚職警官を廃人にしますが、これは罪に問われることらしいですが、ニックは自白して罪を軽くしたんですかね?最後はニックは自ら記憶装置に入り、永遠にメイとの過去の記憶に浸る…という結末でした。

この映画の問題点。

まず、ストーリーを全て解説するのが難しいです。この映画。今の説明でわかりますかね?これでもだいぶ端折ったんですけれども。視聴者に頭の回転を求めるタイプの映画でありながら、その流れがまとまっていない。
設定を盛り込みすぎたことがこの失敗の要因だと思います。海没した都市に巣食う地主とマフィア、そしてこの物語の主題である「記憶潜入」、加えて主人公とヒロインのラブ・ストーリー。全部を無理矢理くっつけた感じがするんですよね。

加えて、この映画のジャンルはなんなのかがわからない。SFサスペンスなのか、SF恋愛なのか。どっちかにしてくれという感じです。
サスペンスならもう少し事件のところにボリュームが欲しいし、メイン悪役を汚職警官とのやり取りを長く描いたと思ったらバックに地主の息子がいましたよ、というのがあっさり描かれます。やたらサイズがデカい主菜を食べたと思ったら、それは前菜ですよと言われ出された主菜がとてもショボいみたいな感じです。(←伝わる比喩か?)
恋愛モノであればニックはメイを一途に思っているはずなのですが、ニックは一旦メイに騙されたことを悟り憎しみを抱くようなシーンがあって一貫性がない。まず何故メイにニックが惹かれたかがよくわからない。歌に懐かしさを覚えたとかそれだけみたいに見えました。メイがニックに惹かれた理由はさらにわかりませんからね。人物描写が薄すぎる。メイが愛人の子を助けた動機とか意味不明です。良心でそうした、としか説明できないですし。

あとこれは言っておきたい、エンディングはクソ。なんか無理矢理過去の記憶で恋の記憶に浸って、これも幸せの形なんだというハッピーエンド風ビターエンドで〆ていますが、どうしてハッピーエンドに寄せようと思った?無理矢理すぎるだろ。そもそもヒロイン死んでる時点でハッピーエンドには絶対ならないのに。これは気持ち悪かった。気持ち悪さにも称賛できる気持ち悪さがありますが、この作品は単純に不快です。

なんとか褒めるところを探す

散々酷評していますが、なんとか褒めるところを探してみましょう。

設定は面白いと感じました。海没した街で土地を確保した成金と海水の流入した場所でしか暮らせない貧困層。まあこの設定がイマイチ生かしきれてないんですが…
個人的には記憶の案内人という主人公の位置づけもよかったと思います。ありがちなSFだと過去に干渉して現在を変えるみたいな展開が王道ですが、この作品はあくまで他人の過去を第三者視点から見ることしかできない。この設定が妙にリアリティがありましたね。いかにも「ありそう」な設定です。そして主人公の職業は記憶を追憶する人に、正確に記憶を辿れるよう呼びかける、放射線治療における放射線技師のような専門職、というこの設定もなかなかよいですね。

総評

別に観に行かなくていいと思います。作りこみが甘いです。3部作くらいにして人物描写を練りこんだ作品であれば名作になっていたかもしれませんが。2時間で消化できる設定量じゃなかったですね。アクションシーンも結構ありましたが、正直魅力はそんなにないです。

他の映画をみましょう。

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不破 霧愛
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