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1ハウスの概要 ー個人を代表するアイデンティティーー

こんにちは、変化球ホロスコープリーディングへようこそ。このアカウントでは初心者が占星術を勉強する際の「なんでそう解釈するの?」という疑問点を元に、王道とは少し違うホロスコープの読み方について深掘りしていこうと思います。

今回は1ハウスまとめです。現代占星術や伝統的占星術の解釈を分けて説明した後、リーディングにおいての活用法を大まかに述べていこうと思います。よろしければ最後までお付き合いください。




伝統的占星術の見解

福本基『基礎からわかる伝統的占星術』、デボラ・ホールディング『ハウス 天空の神殿』の二冊を元に考察していきます。

そもそも、伝統的占星術と現代占星術の違いとはなんでしょうか?大まかな解釈では、現代占星術の先駆者アラン・レオが提唱した占星術法以降の流れを現代占星術と呼びます。占星術はとても長い歴史を持つ学問ですが、17世紀後半にある大きな分岐点をむかえます。今までは一部の特権階級によって研究・活用されていたのが、占星術が一般大衆の支持を得、より分かりやすく感覚的に解釈されるようになったのです。これはサインとハウスをセミイコールで考える発想などに現れています。
現代占星術ではどちらかといえば本人の主観的意識や性格に焦点を当てるのに対し、伝統的占星術では現実社会で起きる事柄を星の配置から読み取ろうとする傾向があります。未来は運命的に決まっているという考えが根底にあるからです。17世紀以前の伝統的占星術が主流な時代では、人生とは家柄や社会階級、親の意向によって半ば強制的に決められる因習的なものでした。勿論生まれつきの環境に抗おうとした人たちもいたでしょうが、それは『多様性』としては肯定されず、あくまで少数の逸脱した人間として低く評価されていました。このような背景から、中世では個人の自由意志や価値観を極力認めない運命的な伝統的占星術の考え方が盛んになっていったのでしょう。


1ハウスはアセンダントをカスプに持つハウスであり、それは太陽が初めて姿を見せる東の地平線、全12ハウスの中で最も強力なハウスだと言われています。それは持って生まれた生命力の状態、病気に対する強さ、性格、才能、外見など生まれつき個人が持ち合わせているものを象徴します。太陽が目に見えるようになるとはつまり、個人が外界に姿を現す、自己主張をするという解釈にもつながるため、我の強さや他人との違いを明確に主張する力なども含まれます。ウィリアム・リリー以前の古典占星術では、今日では3ハウスや9ハウスに属されそうな『教育』、同じく4ハウスに関わりが深い『祖国』『幼少期』、10ハウスと関連が深い『職業』『事業の成功』なども入ると一部の占星術家によって主張されていたそうです。
個人的な見解になりますが、これは恐らく受けられる教育や幼少期の環境が出自によって大きく左右され、その影響は職業上の成功や地位にも及ぶと考えられていたためではないでしょうか。むしろ個人というものを判断する材料として、今のように個性をありのまま受け入れるという発想は乏しく、受けた教育や仕事の実績、どのような家系図を持っているかといった外的要素と結び付ける考えが主流でした。
個人の自我は社会的要因により認識されるべきものだったのです。先天的に与えられた事柄と後天的に手に入れたものとの線引きは時代の風潮によっても変わってくるので、現代占星術だけを学んできた方にとっては、1・4・10ハウスの象意が互いに交差し合っているような紛らわしい印象を受けるかと思います。

自分が同一化しているもの、所有しているもの、支配しているものが1ハウスの象徴下に入りますが、現代占星術と大きく異なる点が自分自身が属する団体や組織、乗り物なども象徴されることです。これは特に現代のネイタル占星術では考えられないことです。自分という存在を純粋な単体物として認識せず、あくまで社会的な枠組みや人間関係の中で捉える傾向が古典では強く現れているように感じます。


持って生まれたという意味では、1ハウスは4ハウスと近しい関係にあるかもしれません。事実この二つのハウスに限らず、全12ハウスは地続きであり、相互に影響を与え合う絡み合った存在です。複数のハウス間で取り扱う内容が重複していることは多々あり、明確にここからここまでを一つのハウスに区切るということはできません。ですのでここでは具体的な象意の区分けを行わず、あくまで1ハウスと4ハウスの軸となる概念の違いについて説明しようと思います。
まず星の運行によって、1ハウスは太陽が初めて目に見える形で姿を現す領域だということです。これは個人を外界に打ち出すということを意味し、隠された内面、個人的背景と現実社会の橋渡しをする段階です。言い換えれば1ハウスは、より外部から見えやすい要素であり、他者と差別化を図る上で活用しやすい事柄であると言えます。一方で4ハウスは天体が最も地中深くに沈む領域です。太陽がここにあれば世界は闇に包まれ、決して星の存在を直接確かめることはできません。古代の人々にとってこの領域は回帰する場所であり、精神的な源でもありました。そのため4ハウスは外部からはっきりと分かることではないけれど、個人的な背景や目に見えない土台などを表します。樹木で言えば、表面に表れる個人特有の性質(幹)が1ハウスに属すのに対し、4ハウスは個人という枠を超えた家族的な集団や物質、その人物が持つ背景(根)などを表します。バックグラウンド的な要素が強いため、パッと見ただけで分かるような事柄ではありません。(後述しますが、心理占星術においては1ハウスをペルソナ、4ハウスを個人的無意識と関連づけるという違いもあります。)



現代占星術の見解

ここからは19世紀末ごろ、現代占星術の父と呼ばれたアラン・レオによって復興した新しい占星術の流れである現代占星術においての見解を考察していきます。しかし伝統的占星術もそうですが、現代占星術の中でも占星術家や研究者によって解釈が少しずつ異なっていることがあります。多様に細分化された占星術の流派を時代によって二つに分けること自体が手荒であるのは事実であり、特に筆者が最近学んでいる心理占星術については特殊な知見が盛り込まれているため、心理占星術については別途分けて後述します。


現代占星術において17世紀以前の伝統的占星術と大きく異なる点が二つあります。一つは12ハウスと12サインを対応させて考えるというやり方です。1ハウスは牡羊座、2ハウスは牡牛座、というように順々に割り振るわけですが、これは複雑な伝統的占星術を一般の人にも理解しやすくするために簡略された結果だと言われています。事実ハウスとサインの意味が全く同じであるとする考えはあまりにも短絡的ですが、それでも双方が似たような意味を持つのは事実です。1ハウスは個人が自分の存在を主張する方法、衝動的に取りやすいスタイル、社会性を無視した純粋な個としての自我の状態を表しますが、対応する牡羊座も最初のサインであるため、例えるなら肉体に入る前の真っさらな魂の状態を表し、自分独自の生き方を模索しようとする特徴があります。両者は関連する部分が多く、このことから1ハウスは社会的ステータスや家柄など本人の持つありとあらゆる装飾要素を削ぎ落としていった結果残る生物としての個人の傾向を表すとされています。雑多な社会生活を送る上で、この傾向を本人が明確に意識していることは少ないでしょう。有名な占星術研究家である松村潔先生は、著書『最新占星術入門』の中で、1ハウスは生まれた瞬間に決定づけられた性格や資質なので、本人は自覚していることが少ないと主張しています。また、このハウスに属している惑星の持つ意味は子供のまま成長しないとも話し、本人が元々持っているが故に改めて向き合うことが少なく、純粋であると同時に不完全であることを強調しています。このような性質から、1ハウスやアセンダントは月と関連付けて考えると良いと述べられています。(惑星の持つ意味が成長しないという考えについては特に主張していない文献も多いため、一概に言い切ることはできません。)


二つ目は言わずもがな、トランスサタニアン天体が使われるという点です。トランスサタニアンとは天王星、海王星、冥王星の総称であり、これら3つの惑星は個人的な枠を超えたより集団的・時代的なまとまりに属す根本的な衝動を表しているとされています。中でも冥王星は太陽系の一番外側に位置する惑星であることから、松村潔先生は「太陽系外の恒星のエネルギーを太陽系の中に持ち込む媒介的な役割を持つ天体」であるとしています。著書『トランスサタニアン占星術』の中で、外の世界との扉は魚座から牡羊座へと変わる際の春分点にあり、冥王星の支配するサインは蠍座ではなくむしろ春分点や牡羊座にした方がいいのではないかと主張しています。確かに水瓶座の支配星が天王星、魚座の支配星が海王星ときて、何故冥王星が蠍座と結びつくのかは疑問です。蠍座は死と再生、自己変容を担い、これが冥王星の持つ意味と似ているなど諸説ありますが、12サイン全体の流れとしては一連のプロセスが魚座の終わりにおいて一旦死に、牡羊座の始めで新しく生まれ変わります。このように考えると間接的ながら1ハウスは冥王星とも関わりのあるハウスであり、春分点から新しく生まれてきた状態であると読み取ることができます。具体的に大地に根を張るという行為は次の2ハウスや牡牛座で行うため、この段階ではあくまで天と地の間で彷徨う宙ぶらりんな自分であると考えましょう。

広義の現代占星術において、1ハウスは一般的にアイデンティティ、人格、外見、我の強さ、感情的な強さ、他人との関係の全般的な傾向、活力などを表すとされています。伝統的占星術との違いは、社会的な基準を考慮に入れないことです。確かに伝統的占星術においても才能や外見など先天的な要素が含まれていますが、幼少期や教育といった後天的に獲得するものまで同時に含んでいるのは古典特有の特徴です。


心理占星術の見解

厳密に言えば、心理占星術は現代占星術という大きな括りに属するものですが、考え方が特殊なので分けて考察します。参考図書として、リズ・グリーン『占星学』、岡本翔子『心理占星学入門』を元にしました。

心理占星術とはそもそも、心理学と占星術を融合させたものです。中でも集合的無意識を唱えたことで有名なユング心理学がベースになっています。ユング心理学では人間の心を意識と無意識に分けて考えます。我々は自分の行動を主体的に決めていると思いがちですが、実はそうではなく、意識が感知できない無意識の存在によって大きく左右されるとしています。また無意識は個人的な経験がベースになった個人的無意識と、太古から存在する人類特有のパターンである集合的無意識の二つに分けられます。心理占星術では月から土星までを意識と個人的無意識、天王星以降をより普遍的な集合的無意識に関連づけるといった解釈法が導入されています。

心理占星術においてホロスコープとはあくまで個人の意識のパターン、心のクセを表すとし、実際に引き起こされる事象までは扱わないことになっています。あくまで天体それぞれが示す心的なエネルギーを個人がどのように処理するのかということに重点が置かれ、その処理の仕方によってもたらされる環境の変化は付随的なものだとされるのです。そのため具体的な出来事を表すハウスの意味はあまり重要視されていません。ただ決して考えられていないわけではありません。


1ハウスは自我のハウスとされ、我々が自分をどのような存在として見ているかを示します。それは「私はクールで落ち着いている」「自分は人付き合いがよく、困っている人を放って置けない」などといった自己イメージの集積です。個人はこのハウスを通して世界を見、また外部からの情報を受け取ります。例えるなら特定のレンズを通して外界と接していると表現できますが、1ハウスに位置する天体やサインは、このレンズがどういった類のものなのかを表すのです。
自分の資質や内的な視点はアセンダントや1ハウスに象徴されますが、これらは個人に特定の行動を取らせ、特定の環境を誘引します。そして、その環境から持ち込まれた刺激は、個人の1ハウスの特徴をさらに強化していきます。これら二つの要素は相互に依存的であり、1ハウスは基本的に日を追うごとに固定化されるハウスなのです。これはしばしば『ペルソナ』という言葉で表現され、ユングは人間の外的側面であるとしています。
1ハウスは意識化された個人のイメージを表しますが、これがあまりにも強力に作用すると、自己イメージに含まれないものにひどく排他的になり、結果少しずつ自分の首を締めることに繋がりません。ユング心理学では意識的な自我によって捨てられた無意識的な要素に目を向け、それを認め、自我の一部として取り込むことで、視野の広い、より安定した『自己』へと向かうことを推奨しています。これは心理占星術でも同様であり、この無意識の自分とは向かいのディセンダントと7ハウスに象徴されているものだとします。これはしばしば他者に投影され、似通った相手との関係ばかりを求める行動に繋がります。1ハウスの内容に依存せず生きていくためには、相手を通して表現しようとしている個人の劣等的要素を認識し、自分の手の内に引き戻す必要があるのです。ユング心理学ではこれを『投影の引き戻し』と呼びますが、心理占星術では、出生図こそが投影の引き戻しをする上でのガイドマップであると考えられています。影の要素(シャドウ)や個人の中の異性的な側面(アニマ、アニムス)を認識していないと、1ハウスのサインや天体のみを自分の特徴だと誤解する場合があります。しかし実際はホロスコープ全体こそが自分であり、忘れられた内的要素を統合するためには、1ハウスの自我を直視すると同時に、7ハウスの要素にも目を向けなければならず、逆に言えば自分のアイデンティティというものが分からない時は7ハウスに目を向けることで、1ハウスの示す意味を対比的により明確に理解することができます。


次の記事では1ハウスと7ハウスのサインの関係から考察した、個人の意識しづらい側面について12サインごとに解説する予定なので、よかったら見てみてください。


ーー準備中ーー




注意点

心理占星術を勉強していくと、アセンダントや1ハウスが自我を、月が個人的無意識を、土星やディセンダント、7ハウスがシャドウ(影)を表すと断定的に表記されている場合があります。しかしこれは必ずしも正しくありません。確かに1ハウスが個人にとって活用しやすく、向かいの7ハウスが他者に投影されやすい事柄であることには変わりませんが、あらゆる実例において全てがそうであるとは限らないのです。
リズ・グリーン著『占星学』では、MCは母親からの価値観の引き継ぎを表すと記述されています。(一般的にはこれはしばしば逆であり、MCを含む10ハウスはむしろ父親と関係が深いとされますが、心理占星術では逆です。)そして子供が母親の代替物として生きている状況では、このMCに位置するサインや天体こそが、個人の大元の行動指針となりうると主張しています。事実MCやそれをカスプとする10ハウスは社会的な立場の確立と発展性を象徴しますが、これらは幼い頃に最も身近な存在であったとされる母親の価値観を色濃く反映します。子供が母親の価値観こそを自分のものとして背負い、生涯を通して達成すべき目標に定めた場合、個人の特徴であるアセンダント(1ハウス)は無視され、代わりにMCの特徴を社会との主要な接点として使うことになるのです。同様に父親からの影響が強ければ、ICと4ハウスの示す事柄が自我として機能することがあります。
また育った環境において、例えば物質的繁栄や社会的因習・慣習、金銭面での裕福さといった土のエレメントに代表される事柄が重要視されていた場合で、1ハウスのサインが火や風のエレメントだったりすると、個人的には発達させるべき火や風の特徴が生育環境によって抑圧されることになりかねません。このような場合ではアセンダント・1ハウスに代表される個人的側面をのびのびと表現することができないので、月やMC、全く別の天体で示される要素が主要機能として働くことになります。

このように、自我やシャドウといった概念はあくまで精神構造の骨格であり、ホロスコープリーディングに当てはめたところで理論上の域を超えることはありません。その力関係が個人の中でどのように働き、均衡を保ち、表層化しているかについては、あくまで占星術家が相手との実際の対話の中で感覚的に掴むものです。




具体的なリーディング法  『ハウスとハウスの隠れた繋がりを見る』


ハウスに位置するサインや天体、そのアスペクトによって意味を理解するリーディング法は様々な書籍やサイトで既に説明されているので、今回は応用としてハウスに位置するサインの支配星の位置から解読する方法を紹介しようと思います。松村潔著『最新占星術入門』を参考に解説します。

サインは天体のエネルギーを固定化し、形骸化させたものです。人の成長を写真として記録することは、生きた実体をある瞬間の姿のまま保存するということです。それは生きた人間の固定化であり、見目形は確かに鮮明であっても、実体と切り離された形骸に過ぎません。写真と本人の関係は、サインと天体の関係に置き換えることができます。天体は生きた能動体であり、反対に静的・受動的なサインはエネルギーの倉庫のような働き方をするため、あるサインから自分の支配星の位置するハウスへとエネルギーを流入させる流れができます。

以下では1ハウスのサインの支配星がどのハウスに位置しているかによって、12種類に分けて解説しています。これらはあくまで、二つのハウスの関係を単独で見た場合の解釈であり、実際のリーディングではサインの位置などによって多少の意味合いが異なってくるためご注意ください。



1ハウスのサインの支配星が1ハウスにある

他のハウスへのエネルギーの流れがないため、1ハウス内で全てが完結します。個性のための個性です。環境が変わることで自分も変わるといった流動性がなく、安定感がありますが、その分自己イメージが強固になりやすいかもしれません。特に1ハウスに固定サインがある場合は顕著になりやすいでしょう。何にも依存されない確固とした『個』がある一方、自分独自のものの見方や考え方を、仕事や家庭といった特定の環境に依存させないため、個性を表現する点において相手や環境を選ばないさっぱりとした性格の持ち主です。

1ハウスのサインの支配星が2ハウスにある

2ハウスの示す金銭取得や、自分の力によって何かを獲得する行為・能力、感覚的肉体的な才能を通して1ハウスのアイデンティティを満たすことになります。2ハウスは現実世界で生き抜くための物質的な糧を得る領域なので、実際に足を運んだり、五感を駆使した活動や趣味に関わるといった実際性の高い行動が必要です。2ハウスは純粋な余暇や楽しみを表すハウスではないため、目に見えるスキルや財産を得るといった目的で取り組むといいでしょう。実力で手に入れたものと、自分の存在を同一視する傾向が強いです。


1ハウスのサインの支配星が3ハウスにある

3ハウスの示す個人的な知性の発達、基礎的スキルの向上、身近な他者とのコミュニケーション能力、小旅行といったものを通して、自分のアイデンティティを表すことになります。大学レベルの高等教育や学問、研究は9ハウスが担う事柄なので、ここでは日常的な人間関係の会話や交流、変化、バラエティの多さといった傾向として現れます。多様な技能の習得に関心が向きやすく、適応能力が高いですが、小手先の技術に執着するあまり不安定さも目立ちます。独り自分と向き合ったところで個性は見つけられないタチであり、色んな環境や人間関係に足を突っ込むことで摩擦を起こし、自我が調整されていくでしょう。


1ハウスのサインの支配星が4ハウスにある

4ハウスの示す家や両親、心理的ルーツ、根本にある価値観を通して自我を見つけることになるでしょう。安心する環境を自らの手で作り、先祖意識や集団的価値観などの心理的ルーツを遡ることでアイデンティティを強固にします。家族的集団的な絆の一部として埋没しようとし、ややもすると閉鎖的になりがちで、物理的にも精神的にも異質なものを拒む傾向があります。4ハウスは実際の両親を表すこともありますが、精神面での故郷も同時に示し、特に4ハウスに位置する星座が牡羊座、射手座、水瓶座、魚座などの土着のコミュニティからの離脱を意味するサインの場合、海外への憧れや宗教的コミュニティへの帰属といった形で表れることもあります。


1ハウスのサインの支配星が5ハウスにある

5ハウスの示す創造活動や娯楽、恋愛、一方通行的な行為全般を通してアイデンティティを表現することになるでしょう。5ハウスは獅子座と関わりの深い領域で、他人の目を一切気にせず自分のしたいことをする、それによってある種の思い込みを正当化し、独自の未来を切り開こうとするサインです。絵を描いたり物語を作ったりするなど、自分を表現したいように表現できる場を設けるといいです。娯楽にも関わりのあるハウスですが、既存のものをただ消費するだけではなく、自分という存在から独自のものを生み出す必要があります。この配置の人にとっては、あくまで自分から他者への一方通行的な作業をすることに意味があるため、人の目を気にしてはいけません。


1ハウスのサインの支配星が6ハウスにある

6ハウスの示す労働や他者への奉仕、外部からの要求に応えること、訓練して鍛える能力、健康の維持などを通してアイデンティティを確立します。仕事人間になりやすい人です。確固たる自己イメージがないので、ありのままのあなたとは何かと聞かれてもピンときません。周りの環境からの要求に応えることで摩擦を起こし、徐々に自己イメージを確立させます。所属する集団、労働環境に自我が大きく左右されますが、逆に言えば自分が今いる環境や人間関係を変えることでいくらでも成長できる人です。また6ハウスは働く上で重要な自己管理、健康管理を象徴するハウスでもあるため、日々の生活習慣には気を使うことも多く、自分を律する面が強いでしょう。


1ハウスのサインの支配星が7ハウスにある

7ハウスの示す特定の他者との関係、人間関係への埋没、相手に身を委ねる事で人生を展開することによってアイデンティティを見つけます。それはしばしば自己基準の喪失であり、他者の目線を通して自己評価を下すことを意味します。『あなたは私、私はあなた』という心理的状況に陥りやすい人ですが、それは必ずしも悪い事ではなく、他者という媒介を通してより馴染みのない異質なものを獲得できるチャンスにもなり得ます。結婚相手、ビジネス上のパートナーに力を託すことでより大きな恩恵を受けます。人との関わりを大切にしましょう。前述の6ハウスが他者の要求への対応によって自己イメージを促進したように、7ハウスでは人間関係を軸にしてあらゆることが決まります。


1ハウスのサインの支配星が8ハウスにある

8ハウスの示す自己変容と死、自分よりも大きな組織や集団に呑み込まれること、他者との一体化によって自我を確立します。8ハウスは蠍座と関係があり、他者との繋がりに依存することで自分を根底から作り変える段階です。この配置の人は予期せず外部からの力が強制的に流れ込むことによって、以前とは全く違った新しい自分になるという体験をすることがあります。7ハウスよりも更に深く相手との関係に入り込む『相手ありきの自分』なので、転じて宗教や神秘思想など、自分より偉大な存在に傾倒することも多いでしょう。極限的な状況に追い込まれることで初めて、真の自分を発見するといったこともあります。


1ハウスのサインの支配星が9ハウスにある

9ハウスの示す発展的な自己教育、学問や研究、思想、長期的な旅行によって自我を確立します。9ハウスは8ハウスからの反動で自分の可能性を広く探求しようとする領域です。この配置の人は精神的な成長を大事にし、より広く大局的な視点を持とうとするでしょう。一つの場所にじっとせず、多種多様な人々や土地と関わることで、自分の中にあるバラエティの豊かさを育もうとします。また9ハウスは射手座に関係する領域です。概念的・抽象的な物の見方を好むため、現実をありのまま見つめるよりも、体験したことによって導き出される法則性や観念を重視します。哲学的理解や高等教育に関心を示す場合がありますが、これは前述の8ハウスの解説と似ています。しかし両者の動機にはあくまで決定的な差があり、8ハウスが自分より大きな存在との密接な関係性を求めるのに対し、9ハウスでは自分を成長させる高次の知識そのものを得ようとします。


1ハウスのサインの支配星が10ハウスにある

10ハウスの示す社会的な地位の構築、キャリアアップ、社会参加などを通してアイデンティティを確立します。10ハウスは9ハウスで得た教養的学びのうち、社会的な枠組みにおいて余分だとみなされるものを削ぎ落とし、現実世界で確固たる自分の城(縄張り)を構築しようとする領域です。この配置の人にとっては、自分の個性とは社会的に認められてなんぼであることが多いです。キャリアアップや現実世界でのステータスの向上を軸に必要不必要を判断するため、場合によってはありのままの自分を表現できなくなる可能性があります。アセンダントは月と意味合いが似ているため、精神的休息を求めるときは月の位置するサインやハウスを意識して活用するといいかも知れません。



1ハウスのサインの支配星が11ハウスにある

11ハウスの示す友人や友情、支援者、特定の理念を共有する集団、大きな目標に向かって前進することを通して自我を確立します。10ハウスの縦のつながりを抜けて個人の限界を思い知ったことで、11ハウスでは自立した人間同士の平等な関係性を構築します。理想が高く、偏見に囚われることが嫌いです。何か崇高な理念のために邁進したり、自立的な相手と交流したりすることで自己発見があるでしょう。11ハウスでは8ハウスなどとは違って持ちつ持たれつの関係ではなく、独立した個人同士の助け合いを大切にするため、この配置の人はまず精神的・肉体的に自立することが必要です。ボランティア活動や社会活動に縁があるかも知れません。



1ハウスのサインの支配星が12ハウスにある

12ハウスの示す物質からの解放、精神世界、潜在意識、隠されたものを通してアイデンティティの表現を試みます。この配置の人は、オカルトや占い、アートなど目には見えない曖昧な精神領域を探求することに興味を持ちやすいです。現実世界での行動に重きを置いても満たされないという感覚があるかも知れません。物質的生活を軽視するあまり、一切の人間関係を断ち切って家に籠るなど、仙人のような生き方を目指す場合もあるでしょう。この配置の人にとって社会的規範や一般論への盲従は精神的な落ち込みへとつながりやすいため、日常生活の中で人目に触れない自分だけの聖域を持つといいでしょう。

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