ペンシルパズルに「彩り」を! 〜サムネイルを作ろう〜
ちょっと前の話になりますが……12/1〜25にパズルスクエアにて開催されたpuzsqアドベントカレンダー2022、いかがでしたか?
わんどさんのこちらの記事で述べられている通り、作り手・解き手のみならずツール製作者やパズル原作者の方々も巻き込んだ大規模なイベントと相成りました。うれしい!
さてこちらのpuzsqアドベント2022ですが、(一部の例題制作と)イベントページ用のパズルのサムネイル制作という役割で、企画運営に参加させて頂きました。
ペンシルパズルにもっと彩りがほしい
ペンシルパズルの見た目は基本的に白黒(+1色)、無機質。「彩り」「華やかさ」とはかけ離れた存在で、そのままイベントに使うには寂しいものです。
ということでアドベントカレンダー開催に向けて着手したのが、janko.atや株式会社ニコリのInstagramの投稿(こんなの)で見られるような「サムネイル」の制作。
それまでペンシルパズルとは無縁だった「彩り」を加えることで、イベントが華やかになるだけでなく
堅苦しいイメージの払拭
「目で楽しむ」という新たな楽しみ方の提供
など、ペンシルパズルの将来にとって良いことがいろいろと起こりそうです。
これはもうサムネイルを作るしかないですね! はい、作りましょう!
サムネイル、作ろう!
1.必要なもの
パソコンなどの機器と通信環境さえあれば、サムネイル制作はいつでも行えます。費用や特別な知識は不要です!(Penpa+の操作方法はある程度知っていたほうがよさそう)
①swaroop版のPenpa+
こちらです。
パズラー御用達のペンシルパズル作問支援ツール「penpa-editor」の機能拡張版。
線や記号、黒マスなどの色をカラーパレットで自由に編集できる機能(執筆時点でβ版)が超強力です。
表記はすべて英語ですが、penpa-editorをある程度いじっている方であればほとんど問題なく使えるはずです。
②パズルの解答盤面
パズルをデコるためには、当然パズルがないといけません……が、心配無用。パズルスクエアにある例題を使いましょう。
(パズルスクエアの例題はCC0ライセンスに基づき、商用含む外部サイトにて、クレジットなしで利用できます)
③(必要に応じて)配色の資料
ネタに困ったときのために、配色のお手本が手元にあると便利です。
その都度「配色 ○○」でググっても良いですし、↓のようなカラーパレットサイトを参考にするのもいいですね。
2.下準備
必要なものが揃ったら、Penpa+を開いて
「Setting」
「Custom Colors」をON
と操作。すると「Style」の右端にこのようなボタンが現れます。
これを押すとカラーパレットが現れて……
今まで「濃灰」「青」といったざっくりした指定できなかった色が、自由に設定できるようになりました。強い
作った色は履歴としてパレットに残るので、使い回す時に便利。
なお今のところ「数字」の色は設定できない模様です。残念。
3.作ってみよう
試しに「シャカシャカ」でサムネイルを作ってみます。
盤面はこちらの例題を拝借。Penpa+で「Load」からpuzz.linkのURLを貼り付ければ、(対応パズル種であれば)自動的に問題盤面を再現してくれます。
とりあえず普通に解いた状態の盤面を描画しましょう。
グリッドは無いほうがスッキリしそうなので、消してしまいます。
「無くてもパズルの概要把握に影響が出ない要素」はガンガン消してしまったほうが綺麗に仕上がると思います。
さて、配色をどうするか。
「ヘルゴルフ」や「Clouds」などモチーフが明確なパズルなら実物を再現する方針で進めやすいですが、今回はちょっと困った。
そういえばニコリで「見た目の美しさ」を売りにしていたなあ。
ニコリスタッフによれば「若い女性から『カワイイ』と人気」らしい(Alex Bellos『PUZZLE NINJA』(Guardian Faber Publishing、2017年)より)。
うーん。ならば単色で塗りたくるよりは、四角形ごとに色が分かれていたほうがよさそう。
入力を直角三角形にして、この配色で四角形を作ってみると……
黄色が薄くて見づらいのと、斜め四角の中身が真っ白なのがちょっと気に食わないかも。修正してみました。
残った黒四角と白四角もいい感じに着色して……
黒マスの色を調節しつつ、外枠の色も変えてやれば……
これは「カワイイ」というよりはむしろ、シックで上品な……まあいいや! 完成!
あんまりキラキラ可愛い見た目だと困惑されそうだから、このくらいでちょうどいいかも。
サムネイルが完成したら、編集用URLを出力しておくと後で修正ができて良いです。
(公開前の追記)
後で「斜線沿いに細線を引いたらくっきりするのでは?」と閃いたので、さらに修正。いい感じになりました。
4.知っておくと便利な小技
①記号の重ね置き
通常は異なる記号どうし(丸と四角とか)を同じマスに配置することはできませんが、「問題モードと解答モードでそれぞれ配置」という手順で2つの記号を重ねることができます。
これを利用すれば「枠が濃い青の、水色の円」などちょっと凝ったデザインができます。
②異なる種類の辺・線などの処理
例えば「グリッドは薄い緑色にして、外枠は極太で濃い緑色にしよう!」と考えたとき、このようになってしまうことがあります。
よく見ると、外枠にグリッドの線が重なっています。これは「同じ入力モードで異なる種類の入力(辺→極太と細線など)をすると、後から入力したものが上に重なる」という仕様が原因です。
上の例の場合、先にグリッドの辺を入力し、次に外枠の辺を入力することでこの問題を回避できます。
サムネイルが完成したら
張り切って作ったサムネイルですが、残念ながら今のところサムネイルの募集企画などはありません……
出来上がったサムネイルはTwitterやInstagram、あるいはつい最近立ち上がったDiscordサーバー「Puzsq Meets」でお披露目してみてはいかがでしょうか。
↑パズルの話題がいっぱい。どなたでもご参加ください!
最終的にはすべてのパズルのサムネイルを用意するのが目標ですが、さすがに1人や2人で用意するのは厳しいです。新しいパズルもどんどん増えていきますし……
サムネイル制作がぼちぼち盛んになれば、ひょっとしたらサムネイル募集企画のようなものが立ち上がったりするかも?
おまけ・これまで作ったサムネイル紹介
puzsqアドベント2022向けに作ったサムネイルのうち、思い入れのあるものをいくつか紹介します。
サムネイル制作の際の参考となれば幸いです。
① 12/7 ストストーン
原作者によると落ちものパズルゲームがモチーフとのことなので、サムネイルもゲーム画面風に。
黒マスに少し色を変えた四角形を重ねると立体感が出ていいですね。加えて「同じ形は同じ色」にするとまとまりが出る感じがします。
ただ、極太線と重なった部分がちょっと歪な形になってしまったのが心残り。
② 12/11 シロクロパイ
「パイ」とは「パイプ」のことらしい。なので本来は線で解答するところを、あえて「Special→No Bulb Thermo」で表現してみました。
太い線として球なしサーモを使うのは応用が効くかもしれない。
③ 12/11 ペロペロキャンディ
ちょうどサムネイルを作っていた頃に訪れた原宿のキャンディーショップ「CANDY A☆GO☆GO!」をモデルに。
……よく見たら外枠にグリッドがはみ出ている! やってしまった。
④ 12/15 たわむれんが
ピラミッド盤面を使おうとしたら、なんとCustom Colors機能が非対応!
仕方なく正方形盤面で、記号のXL正方形を並べるという方法で代用しました。
⑤ 12/22 パールネックレス
それぞれの線を「Special→Rectangle frame」で囲っているのですが、当初はフレームの色がもっとたくさんありました。
しかし「黒-白-黒」と「白-黒-白」で線のつなぎ方が異なることを示したかったため、結局は2色に。
見ただけでどんなルールかわかるようにする、というのもサムネイルを作る上で重視したいですね。
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