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面白そうな修羅場があったので、行ってみたよ(24H Puzzle Creation参戦記)

なんのこっちゃなタイトルですが、こちらの記事の後半で紹介した「The 24hours World」の制作企画、「24H Puzzle Creation」の舞台裏の話です。


経緯

「修羅場があるからみんなおいでよ〜」とのお誘いがあったので、

「面白そうな修羅場だな〜」と思って、お邪魔することにしました。面白そうな修羅場ってなんだよ

当日は現地組(会場を借りて制作していました)・オンライン組の二手に分かれてコンテンツ制作が行われ、私はオンライン組として参加しました。
現地組の生々し……リアルな声が聞きたいという方は、Euexさんのこちらの記事をどうぞ。

修羅場で何してたか

クレジットでは「シナリオ」「ゲームデザイン」「インスト広報」に名前を載せていただきましたが、もっと細かく挙げるとこんな感じです。だいたい時系列順。

  • 企画アイデア出し
    …事前アンケートの「こんなのあったらいいね」の欄に「複数解の問題を出題して、選んだ解によって分岐する」って書いたらなんとそのまま実装されてしまいました。圧倒的感謝。

  • ガチャ用パズル制作
    …パズル以外の部分で協力できたらなー、とか言ってましたが結局パズルも作っていました。7問作ったらしいです。

  • OPシナリオ清書
    …開始早々都合で離脱してしまっている間に大枠を作って頂いたので(ありがたい)、それをゲーム画面風に清書する作業。作った当初は「1コマずつページ送りしてブラウザに表示するのかな」と勝手に思い込んでいたのですがそうはならず、皆様には長ーーーいPDFをスクロールさせてしまうこととなってしまいました。すみません。

  • チュートリアル(Hello World)パズル作成
    …「パズルを解くと得点がもらえる」「ゲーム内通貨がもらえる」「最終問題の手がかりが得られる」の(企画当初の)3要素を説明するためのチュートリアルを作って! との依頼を頂きましたので、その場でルールを説明すれば解けるカジュアル系パズルを中心に3問制作。「ヤジリンとかどうでしょう」という案もありましたが、ひょっとしたらヤジリン知らない人もいるかもしれないし、そのような方々の負担は増やしたくないなと。
    結局「得点」「ゲーム内通貨」の要素はなくなってしまったのでチュートリアルの存在意義がだいぶ怪しいですが、まあそんなこともあるってことで。

  • EDシナリオ執筆
    …うおおおシナリオ書くぞおおおと意気込んで、しかしあまり時間がなかったので多少やっつけ気味に書きました。OPと同様のゲーム画面風の画像も用意しました。
    ところでEDって公開されてたっけ

  • 各ワールドのインストラクション(ルール説明)作成
    …個人的最大の修羅場ポイントにして、本記事執筆の最大の理由。後述。

  • 最終問題クリアタイム集計&結果発表画像作成
    …「パズルボスラッシュ」シリーズで使っていたフォーマットを流用。

こう書くとこいつ働いたなーー感がありますが、実際苦労したのはインストラクション作成の一点に尽きます。苦労した原因は自分の動き方にもあれば、本プロジェクトの構造上の理由にもあったり。

良い機会なので、今後のために一部始終を振り返ってみます。

※以下、インストラクションは「インスト」と表記します。

実はむずいぞインスト作成

インストってなに

インストはだいたいその名の通り「大会・イベントで、参加者が何をすれば良いのかを示すもの」です。
こんなパズルが出題されるよ、参加方法はこうだよ、ルールはこうだよ、解答はこう送信してね、などなど。

私は普段からよくインストを作る機会があり、Pre-PGPというパズル大会や(リンク先の「インストラクション」)、

不定期に開催される「パズルボスラッシュ」シリーズでインスト作成を担当しています(↓はパズルボスラッシュ2で出題された歴代屈指の激ヤバルールパズル「Boxed Up」のインスト)。

気付いたときには納期まであと2時間半だった

さて本イベントも「パズルを解く」イベントなので、インスト作成が必要ですね。それに気付いたのが4/7の14:12。4/6の17時にスタートして24時間で納品するので……

あと2時間半しかないよ!?

そうだよ。

なんということでしょう。めちゃくちゃ大事な作業があるというのに、私は呑気に時間をかけてストーリーやらチュートリアルの問題やらを作っていたのです。

そして作成しなければいけないインストは1つだけではありません。言語パズル、絵ヒントクロス、ルールいっぱい線引きパズル、ペントミノパズル、ガチャ、複数解迷路——まず少なくとも6つ。
待てよ、ガチャとか言語パズルとかは小問でいろんなパズルが出題されるよな……え? あと2時間半で何枚インスト作んないといけないの??

しかしここは「小問のルールはPuzzle Square JPを見てもらうことにしよう」という方針になったおかげで、ひとまず作業量がたぶん9割くらい減りました。ありがとうパズスク。
加えてアンサーキー(解答形式)も、全パズルでジャンルごとに統一フォーマットを決めるということになり、五里霧中が十五町霧中くらいになりました。助かる。

ルールも知らずにインストが作れるわけないんだよ

ということでここからはひたすらインスト作成です。
結局インストに載せる内容は「大まかな目的」と「(小問ではない)パズルごとに決められたルール」の2点となったので、これらを……

パズルごとのルール知らないよ!?

なんということでしょう。ほぼデザイン・シナリオに専念していた自分には、各パズルの詳細なルールがわからないのです。

今まで自分が関わってきたPre-PGPやパズルボスラッシュでは、企画・制作に関わる全員がパズルの全体像を把握しています。なので仮に突然「今すぐこのインスト作って!」と言われても、なんとかなってしまいます。

ところが今回の24H Puzzle Creationは

  • 参加者が小チームに分かれて各自で自由にコンテンツを制作するので、プロジェクト全体を正確に把握できているメンバーが少ない

  • 「自分が関わっていない部分は解き手として参加していいよ」という制限付きOKがあり、他チームの動向を積極的に把握するのに抵抗が生まれた(こちらは憶測)

という事情があり、
「どんなパズル作ってるの?」
「どんな形式で出題するの?」
「どんな特殊ルールがあるの?」
といった、インスト作成に欠かせない情報がほとんど把握できていなかったのです。納期まで2時間半ってタイミングで。

インストを作るためのインストがない(は?)

余談ですが、さらに言えばパズル名(ワールド名)もほとんど決まっていませんでした。21時間半のあいだ何してたんですか自分。

どうしたか

どうもこうもなく、気合いでなんとかするしかありません。もともとルールがきちんと文章としてまとまっているチームには圧倒的感謝をしつつ、ルールがまとまっていないチームへのヒアリングを行いルール文をまとめてくれたメンバーにはヘッドバンギング土下座をしつつ、自分はルールとにらめっこしつつ……

インスト担当が〆切19分前にしていい発言ではない

なんということでしょう。間に合いませんでした。ごめんなさい。
結局すべてのインストが出来上がったのは19時ぐらいでした(しかもそのあと指摘修正が入るので完成はもっとあと)。

【本題】インストって大事なんだよ〜

今後もいろんなインストを作るであろう自分への戒めと、今後大きめのパズルコンテンツを作ろうかなと思っている方々・今後インストを作るかもしれない方々へのメッセージをしたためて、本記事の締めと致します。

インストもコンテンツの重要な構成要素だからちゃんと作れ

まずそもそも、インストを作ることを忘れないでください。それとなんか言い訳っぽいですがもし誰もインストを作る気配がなかったら、早い段階でインストを作るようにけしかけてください
特に今回のThe 24hours Worldのように「プレイヤーがやることがたくさんある」「ルールが複雑」なものは、インストがないとコンテンツが成立しないと考えてください。

そのパズルコンテンツの目的はなんですかと言われたら、まあいろんな答えがあると思います。「楽しんでもらう」とか「競ってもらう」とか「もがき苦しんでもらう」とかとか。
でもいずれの答えも「パズルで」が付くはずなんです。「パズルで楽しんでもらう」、「パズルで競ってもらう」、「パズルでもがき苦しんでもらう」。決して「よくわからん挙動で楽しんでもらう」「謎ルールの読解速度で競ってもらう」「何をすればいいか伝えずもがき苦しんでもらう」ではないですよね?

だからこそ、インストはコンテンツの重要な構成要素なんです。

"パズルで"楽しんでもらうために。"パズルで"競ってもらうために。"パズルで"もがき苦しんでもらうために。
「パズルを味わう」という何者にも邪魔されない神聖な時間をプレイヤーたちに過ごしてもらうために、本題と無関係なところで躓くことがないよう、私たちにはインストを作る義務があるのです。そうだぞふーなんとかさん

インストを作る人こそルールを熟知していないといけない

何かパズルを作ったとき、そのパズルのルールを一番よく把握しているのは、当然そのパズルを作った本人です。
しかし同時に、パズルを作った本人と同じくらいルールを把握していないといけない人物がいます。インスト作成者です。

個人での出題など小さなパズルコンテンツで「パズル作者=インスト作成者」なのであれば、(インストの作り方がわかっていれば)特に問題は生じません。
しかしある程度コンテンツの規模が大きくなり、パズル作者以外の人物がインストを作る状況になると、途端に話が大変になります。

  • 全体のコンテンツの名前は?

  • 出題するパズル種は?

  • 参加方法は?

  • 開催期間は?

  • 大会形式であれば、配点は?

  • 参加にあたっての注意事項は?

  • どのようなテイストでインストを作るか?

  • そのパズル自体のルールはこれでよいか?

  • 例題とその答えは?

  • アンサーキーの導出方法は?

  • ルールについて補足は必要ないか?

  • 複数問出題するのであれば、どのような進行形式か?

  • どこまでの情報をインストで開示するか?

などなど(多分他にもある)、インスト作成者が把握しておかないといけないことがいっぱい。「ルール」にはヤジリンとかクロスワードといった「パズル自体のルール」だけでなく、「コンテンツ進行上のルール」も含まれるのがミソです。

本企画でのインスト作成者はちゃんとルールを把握できていたでしょうか? できてませんね。
他のメンバーの助けを借りまくって急遽ルールを取りまとめましたが、当然リテイクが発生します。それも単なる誤字とかではなく、「そもそもイベントの進め方が違うよ」と指摘されてしまう始末。本来の納期よりずっとあとに……

本来なら当然のやり取りなのに、時間に追われているからこんな声が出る(すみませんでした)

皆さんはこんなことにならないように、時間にしっかり余裕を持って、とにかくパズル作者にぴったりくっついて、常に動向をチェックしておきましょう。「ネタバレ踏んじゃう>_<」なんてことは言っていられません。
一番いいのは実際にそのパズルを解いてみることだと思います。そのほうが断然ルールを把握できるはずなので。聞いてるかふーなんとかさん

ただ今回の修羅場(24時間納期)のような特殊な状況では、ちょっと厳しい。
各チームに1人ずつインスト作成担当を置いて、各チームで作られたインストを別の人間がうまく整形……ってのが良かったのかなあ。


最後はずいぶん偉そうな口を叩いてしまいましたが、言いたいことは分かりましたね?

インストを作るときはパズルにグッと近づいて、時間と手間をかけて作ってね!

現場からは以上です。

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