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下手を認める

 私は、文章を書くのが下手だ。

何を今さら……。そう思われるだろう。
人によっては、そんなことないよと言ってくれるかもしれない。優しさプライスレス。

だけど、ずっと分かっていたし、ずっと思っていた。私は文章のことを、ほぼ何も分かっていない。というか、文章の勉強をしたことなんて、ほぼ、ない。

 学生時代、国語の成績は常に3だった。まったくと言っていいほど、得意科目ではなかった。
小説も、独学で書いていた。かろうじて、『起承転結』の意味や書き方だけパパっと学んだ程度だ。

ライターを始めるにあたり、そこそこの金銭を叩いてオンラインスクールにも入った。期限内に、『ライターコース』のすべてを受講した。本業の傍ら、寝る間を惜しんで学んだつもりだ。ノートもしっかりととった。

ライターや文章に関わる本も買った。そして読んだ。
重要と思われる箇所には付箋を貼って見返すなんてこともした。

だけど、正直よく分からなかった。
そう。私は頭が悪かったのだ。

ライターの基礎とも言える『PREP法』や『SDS法』。意味も書き方も、オンラインスクールできちんと学んだつもりだ。だけど今、「PREP法の意味を述べよ」と言われたら正直口ごもるだろう。ハッキリ言ってしまえば、もう忘れてしまった。確か『要点、理由、なんちゃら、結論』だったはず。ここでググらないあたり、私は肝が据わっていると思う。(黙れ)

学んだことを活かして、すぐにWeb上の記事を書けばまだ違ったのかもしれない。しかしいざクラウドソーシングに登録をした私が、真っ先に手を出した案件は『シナリオライティング』だった。『PREP法』は使わない。

だけど、学んだことすべて無駄だとは思っていない。当時のノートを見返しても、身になっている部分もあると感じる。

それに今だって、素晴らしいライターさんたちが集うオンラインコミュニティに属している。シナリオライティングの仕事も、始めた当初から案件が途切れたことも、テストライティングに落ちたことだって一度もない。

だからずっと、学んだ気になっていた。
「これだけやっているんだから、自分は大丈夫。それなりの文章は書けている」
そう思っていた。いや、思いたかった。

だけどつい最近、そんな自意識過剰マインドをボッコボコに打ちのめされる出来事に見舞われたのだ。

 先日、私は2回目の『三行塾』にオンラインで参加をした。

詳しい内容は書けないので、また抽象的な内容になってしまうが、近藤先生は文章のなかにある『ゴミ』と『妖怪』の話をしていた。
話を聞きながら、私は手元にあった書きかけの原稿に目を通し、赤面した。

いる。ゴミも、妖怪も、私の文章にはわんさか湧き出ている。うひょー。

この、顔がボッと赤くなる感覚。少し前にも、私は同じ体験をしていた。
そう、近藤先生の書籍、『三行で撃つ』を読んだ時だ。

「常套句をなくせ」
書籍のなかで、近藤先生はそう綴っていた。

「抜けるように青い空」と書いた時点で、その人は、空を観察しなくなる。空なんか見ちゃいないんです。他人の目で空を見て、「こういうのを抜けるように青空と表現するんだろうな」と他人の頭で感じているだけなんです。

「三行で撃つ」P54/近藤康太郎 著

……書いてる!!!あっし、小説でよく「抜けるように青い空がー」って書いてる!!!いやあああぁぁぁあ恥ずかしいいいいいぃぃいい!!!!

頭を抱えて机の下に潜りたい気分だった。ガクブル。
それくらい恥ずかしかった。なんてありきたりな女なんだ、アタイは。

講義中、この時の羞恥心が再来した瞬間だった。そして、認めざるを得なかった。

「私は文章のことを何も分かっていない」
「私は文書を書くのが下手だ」

もうレベルでいうと下の下だろう。海の位置でいうと深海だ。深海魚だ。なんか顔がパーッンてなっている奴。海面には到底上がることはできない。
このnoteだって、接続詞とか助詞とか‟てにをは”とか口語調とか文語調とか……。とにかく、変な箇所はたくさんあるだろう。

だけど、同時に楽になった。

自分は文章を書くのが下手なんだ。まだまだだ。
そう思うだけで、少し気持ちが楽になった。そして、やる気が湧いた。

下手なら下手なりに、これから少しずつでも改善していこう。だって、どうあがいても、きっと私は「書くこと」をやめない。
その自信が、今の私にはある。「下手だから」といって、諦めることは絶対にしない。

近藤さんは最後に、こうも仰っていた。

「自分が書いていることに意味があると思え」
「自分の書いているものを、面白いと思い込め」

私は、文書を通して世に伝えたいことは定まっている。そして当然、そこに意味があると信じているし、誰が見ても意味のあるものにしていくつもりだ。
小説も、たとえ読者が1人もいなかったとしても、自分が面白いと思うものを書いているつもりだし、シナリオだってクライアントの意向に沿いつつ、面白くするための工夫は常に考えている。

だからという訳ではないが、焦らなくていいと思えた。
今の自分に足りないものは、これから少しずつ補っていけばいい。きっと、焦って何かをすることは、自分には向いていないだろう。

 三行塾を通して、自分は「文章を書くのが下手であること」を認めた。それと同時に、今後の新たな課題も見えてきたのだ。三行塾には感謝しかない。
今月の最後の講義は、諸事情によりリアルタイムの視聴はできない。
だけど、最後の講義でも必ず、自分だけの気づきと発見を掴んでみせる。

とにかく今は課題を一つずつクリアできるように、私はこれからも文章と、そして自分と、向き合い続けようと思う。


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