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読まれることへのプレッシャー

 ビューやスキが増えたなぁと、漠然と感じる。

私は週に1度、noteにエッセイを投稿している。それがここ最近は、割と多くの人に読んでもらえている気がするのだ。いや、だけどもちろん、他のライターさんやnoterさんたちと比べると、差は歴然なことは理解している。大丈夫、皆まで言ってはいけない。

それでも、最初の頃と比べると明らかに読者が増えた。本当にありがたい。ただ、ありがたいと思う反面、こうしてじわじわ読者が増えることに、じんわりと恐怖を感じる自分がいるのもまた事実である。

というのも、私には苦い思い出があるのだ。

私は昔から小説の出版を夢見て、小説サイトに自作の小説を投稿していた。2021年の3月頃、当時ホテルマンだった私はその経験を活かし、ビジネスホテルを舞台とした小説をサイトで書き始めた。『現代ファンタジー』というジャンルで、自身の体験も交えて面白おかしく書いていたため、私自身も日々、その作品を書くことが楽しくて仕方がなかった。すると驚くことに、あれよあれよと読者が増え始めたのだ。

毎日のようにいろんな人からコメントをもらったことで、最初はふふんっと有頂天になっていたのだが、どうも様子がおかしい。読者数は留まるどころか、その後も増える一方だった。
ジャンル別のランキングもどんどん上がってしまったため、最終的にはトレンドランキングで2位と3位をいったりきたりする日々が続いた。そうなると、自ずと作品がサイトのトップページに載ることになる。そのため、さらに読者が増えていき、最後の方は1日100人以上が作品に目をとおしてくれるという現象が連日続くこととなった。

そうなれば当然、作品へのコメントも増える。

続きはまだですか?
絶対ハッピーエンドにしてください!
次の更新はいつですか?
まだ最終回にしないでください!

ぎゃ~~~!!となった。そう、この頃の私は極度にプレッシャーに弱かったのだ。
ただすでにこの時、ラストの内容も決まっていたし毎日の更新も継続していた。そのペースは絶対に崩したくない。……いや、崩さなければ大丈夫だろうと思い、私はコツコツ書き進めることを決めたのだ。だけどやっぱり、内心は焦る。

早く書かないと!
いいものを書かないと!
みんなに喜んでもらえる終わり方にしないと!!

そんな気持ちで書いていたばかりに、最後の方で登場人物の名前を書き間違えるという凡ミスを犯してしまった。その後、読者からツッコみがきたことで慌てて修正をし、なんとか完結まで持っていくことができた。最後は多くの人が喜んでくれる終わり方となり、ホッとした。……はずなのに、この時、胸の中にはモヤりと違和感が残っていたのだ。

もう少し丁寧に書きたかった。
この部分をもっとこう書けば良かった。
急いで完結させなくても良かったのでは?

そんな後悔が後から後から湧き出てきたが、もう遅い。だって、もう完結させちゃったのだから。微調整ならまだしも、ガッツリと内容を直すことなんてできるわけがなかった。

この時、私は心底実感した。きっと自分は「誰かのため」に頑張ろうとすると、途端に本領が発揮できなくなる、と。
正直、かっこ悪いなぁと思う。頑張りすぎると空回りをしてしまう、そんな自分が嫌だった。けれど、今はもうそんな自分を受け入れている。「誰かのためにが合わないのなら、自分のため、もしくは別のところに視点を置こう」。そう考えた。

 今、私は副業でYouTube動画のシナリオライターの仕事をしている。それも「クライアントのため」や「視聴者さんのため」ではなく、まずシナリオに出てくる登場人物の気持ちを一番に考えて書くことにしている。もちろん、「クライアントに貢献したい」気持ちや「視聴さんに喜んでほしい」思いはある。だけどそれは、あえて二の次に置いた。
まず第一に、登場人物の気持ちを心底考えて、セリフや行動を決める。そしてそこに、ほんの少し自分の感情も交える。結局、人の心が動く瞬間は、相手の言動や感情が見える時だと思うのだ。だからこそ、私は目の前の登場人物たちの気持ちに、焦点を置くことに決めた。

このやり方が正しいかどうかは分からない。だけどここ最近は大きな修正もなく、視聴者さんたちからもさまざまな感想コメントをもらうことができている。そのことが、とても嬉しい。

このnoteだってそうだ。noteには縛りがない。言葉は選べど、私は一番に自分の感情を大切に書いている。これ以上読者は増えないかもしれないし、「いつか小説家になって、エッセイ本も出したい!」といった夢も叶わないかもしれない。
それでも私は感情を大切に、書きたいと思うものを書いていきたい。それでもし、私の文章や作品を好きだと言ってくれる人に出会えたならば、こんなに嬉しいことはないだろう。

かっこつけない、見栄を張らない、自分を良く見せようとしない。「読まれること」へのプレッシャーに負けず、心を強く保っていたい。そしていつの日か、「おもしろいものができたから、ぜひ読んでね!」と胸を張って言えるくらいの自信を持ちたい。そうすることで結果として、数字や読者はついてくるのではないかと、私は思う。

最後に、みなさんいつも本当に、私のnoteに目をとおしてくれてありがとうございます。


【今日の独り言】
トレンドランキングで2位と3位をいったりきたり、、、と書くと「すごー!」と思われるかもしれないが、トレンドランキング=ジャンル別ランキングのことなので、正直そんなにすごくない。実際、全体のランキングでみると、そんな上位には手も届かない位置にいた。もっと頑張ります。

【72/100】

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