YOASOBI武道館ライブ公式レポーター認定試験
問1.
①[ B ]
②[ C ]
③[ A ]
④[ B ]
問2.
①[ おはようございます。 ]
②[ D ]
③あいにく午前中顧客をめぐらなければならず、そのあとの処理が長引いてしまうと観に行くことが難しいから
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問3.
-選んだ楽曲タイトル[ 怪物 ]
-その曲とあなたの出会いやその曲に対する思い入れ
初めてこの曲を聴いたのはBEASTARSのアニメのOPです。実はそれまでYOASOBI=夜に駆けるくらいしか楽曲を知らずそれ故に「イメージに合うのか…?」という気持ちが拭えませんでした。アニメの始まりと同時にそんな心配も一瞬で消え失せるくらい、私の思うイメージにぴったりで驚きました。配信されるとすぐに繰り返し何度も聴いたことを覚えています。
あの日の夜の校舎やレゴシの心の内を感じさせる曲の始まり、「ツンと刺した鼻の奥」「ただその真っ黒な目から涙溢れ落ちないように」「君には笑って欲しいから」から感じるレゴシの本能とハルに抱く想い、ラスサビ前の「本当の僕は何者なんだ教えてくれよ」の胸が苦しくなるような叫び。アニメでレゴシが愛する人のために自分なりのやり方で強くなっていく姿と重なり、回を重ねるごとにこの曲のことも好きになっていきました。
こうした『アニメと楽曲とを同じ1つの作品として好きになっていく』感覚は人生で初めてのことでしたし、この曲と出会い他のYOASOBIの楽曲を聴くきっかけにもなったので私にとっては特別な、大切な曲になりました。
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と、ここまで幾度となく文字を打っては消し、打っては消しを繰り返しこの綺麗な文章にまとめて公開をしたのですがあまりにも自分らしくなかったので締切日ではありますが少し付け足させていただきます。この数日間他の方のnoteは怖くてほとんど見ることはなかったのですが、たまたま目にした同じく『怪物』への想いを綴った文章がとても素晴らしかったのでほんの少しだけ、この曲に対する気持ちを書いて終わりたいと思います。私自身の話やBEASTARSに関する話が多くなりますが多少目を瞑っていただければ幸いです。
私が怪物を1番好きな理由は?と改めて考えたときやはり根底にはBEASTARSの存在があって、大袈裟に言えばこの作品を好きかどうかで怪物の良さが何百倍にもなるとすら思っています。
私にとってのBEASTARSという作品はレゴシとハル、その2匹を取り巻く動物たちの恋愛模様と友情を描きながら、あの日友人を殺した犯人は誰なのか?自分もやがてああなるのではないか?と悩み葛藤し強くなろうとするレゴシの成長物語でもあります。また肉食・草食の動物たちが共存するあの世界を私たちのいる世界の「多様な性別」「国籍の違い」に置き換えることも出来ると思っているので、読めば読むほど登場人物たちに感情移入し世界観に没入し、レゴシ同様「私ならどうする?」と自問自答出来る作品です。
私は中学生の頃から自身の性自認に悩んでおり、自ら学び知識を得たことや同じような悩みを持つ発信力のある方が声を挙げてくださるおかげで生きやすい世の中になりました。それでも未だ差別や偏見がなくならないのは事実です。BEASTARSの漫画を初めて読んだとき、この物語は単なる架空の世界の話ではなく我々人間世界のリアルだなと感じ、誰もが時にレゴシにもハルにもルイにもジュノにもなり得ることに気づいたときには1巻、2巻…と本棚に単行本が増えていきました。
その想い故に、アニメ化すると分かった時は複雑な気持ちでいっぱいでした。その複雑でセンシティブな内容をどこまで忠実に放送できるのか。3Dアニメーションになることで板垣先生の描く動物たちの体毛の質感、表情の豊かさ、血の生温かさや美しさが伝わるのか。そして使われる音楽はどんなものなのか。そんなことを気にしていたのが馬鹿らしくなるくらい原作とは違った良さが溢れた一期。正直想像以上でした。漫画の良さを殺さず、またアニメでしか出来ない尻尾の動き方や目の動き方、毛の表現には完敗です。そしてオープニング曲「Wild Side」には度肝を抜かれました。レゴシとハルの人形が踊る中、そんな二人の障害のある恋を盛り上げるかのような弾むピアノの音と喜劇のようでどこか不安を感じさせる旋律は私の中のアニメのオープニング曲という概念を覆させられました。過剰装飾なくらい言葉で作品に華を添える手法が好きな私ですが、このような視覚と音メインでこれから始まる物語への期待値をグングン上げられたのは初めてでした。原作へのリスペクトも感じられたところも素晴らしかった。
そんな文句のつけようのない一期を見てしまえばおのずと二期への期待値も上がるというもの。当然同じような手法で来ると思い込んでいました。
「まさかYOASOBIがオープニングを?え??」
いわゆる流行りの音楽というものは自身の性質上、「把握はしておきたいが好きにはなれないことの多いもの」です。幼少期より音楽に触れており、演奏することにも聴くことにも自分自身強い拘りがありました。プレーヤーを辞め、考え方も視野も広くなった今となっては多種多様な音楽を聴くようになりましたがそれでも頑なに人気のある音楽を素直に受け入れられない斜構な部分を自覚しながら、なんとかその事実を咀嚼しようと満を持して『怪物』と対峙することになります。
そしていざ私が対峙したその『怪物』は、名前から想像していたおどろおどろしい血なまぐさいものではなく、優しくて強くて悲しくて、自らの数奇な運命すら受け入れ愛するもののために強くなろうとする私の大好きなあのハイイロオオカミそのものでした。
暗く不安を感じるエレクトリックな音と、
素晴らしき世界に今日も乾杯 街に飛び交う笑い声も 見て見ぬフリしてるだけの作りもんさ 気が触れそうだ
の歌詞の始まりだけでまず引き込まれてしまいました。
チェリートン学園含めあの世界は美しく平和が保たれているようで実際には種族間の差別もあるし、裏社会で本能のままひっそり生きている住人もいる、今の生活を失わないために心とは裏腹に自分を押し殺して生きている住人も大勢いる。右ならえ右の精神だけではとても生きていけないあの世界を皮肉たっぷりに歌っていて、早々に「あ。好きかも」と。
「皆楽しそうでいいよな、俺はこんなに悩んでいるのに」、「本当はそんなこと思ってもいないくせに」、「でも皆がいいならこのままでいいのかもしれない」そんなモヤモヤした感情が頭をめぐります。ビルのように思ったことをストレートに言葉に、感情に出せたらどんなに楽なんでしょう。
クラクラするほどの良い匂いが ツンと刺した鼻の奥
目を覚ます本能のまま 今日は誰の番だ?
この世界で何が出来るのか 僕には何が出来るのか
ただその真っ黒な目から 涙溢れ落ちないように
あの夜の学校でのレゴシとハルの出会いのシーンが脳裏に浮かびます。頭ではわかっていても自分ではどうにもならないこと、ただそれすらも愛する人のために変えてみせようとする気持ち。私の大好きなレゴシそのものを歌っているような歌詞。「貴女」や「愛する人」といった言葉を使わずに「真っ黒な目 」と言い表すことで聴いた人の目の前には可愛らしいあのドワーフウサギが見えてきませんか?
願う未来に何度でもずっと 喰らいつく
この間違いだらけの世界の中 君には笑ってほしいから
もう誰も傷付けない 強く強くなりたいんだよ
僕が僕でいられるように
オオカミとして、肉食獣としての決められた未来ではなく、草食獣のあの子と結ばれて一緒に生きたいと悩みながらも意思が強く固くなっていくレゴシ。「正しくあろうとするが故に間違いだらけ」な世界で、泣き顔ではなく笑った顔が見たいと歌うこの歌詞は愛する人を想う一人の男性の気持ちとしても100点満点。続く「もう誰も傷つけない」から感じる肉食、草食双方に対する雄大な気持ち。
そして「強く強くなりたいんだよ僕が僕でいられるように」で完全にやられました。誰かのために、愛する人のために自分を押し殺すのではなく、レゴシの中に芽生える「肉食獣としての自覚と自分にしかできない戦い方」をこの一節からバシバシ感じました。
愛する者の血肉を食らうことで本能のままこれが自分なんだと訴えるリズ。対して愛する人を守るため肉を食わずして強くなれる方法を追求しやがて自分らしい戦い方を見つけるレゴシ。
そんなレゴシの殺気のこもった眼や強い意志すら感じるこの歌詞には一期OPのWild Sideのような原作リスペクトを感じて仕方ありません。
原作に出てくる言葉やシーンを切り取って歌うことは容易ですが、観たものを言葉に昇華することに関して、YOASOBIは最強のバンドだなと思いました。後に小説から始まったバンドだということを知ることになりますが、納得です。
言葉による圧倒的説得力とこれから始まる物語に向かってジワジワと高まっていく期待値。一期とは違ったアプローチでBEASTARSの良さを増幅させてくれました。
歌詞ばかりに焦点を当ててしまいましたが、シンプル且つダークな音とサビの駆け抜けるような展開がとても好きです。元々短調の曲が好きなこともあり、はじめてのYOASOBIがこの曲だったことは私にとって正解でした。この曲との出会いが無ければその後他のYOASOBIの曲を聴くことは無かったかもしれません。
ただ君を守るそのために
走る走る走るんだよ
僕の中の僕を超える
アニメのOPでは最後にこの歌詞で終わります。
レゴシの不器用で泥臭いくらいのまっすぐな気持ちで締めくくられ本編が始まるこの流れが兎に角気持ちが良い。アニソンらしさと小説のまるでプロローグ、ある意味エピローグでもある『怪物』。
以前の私のようにYOASOBIに対して少し距離をとっている方(特にちょっと自分は斜構だな…という自覚のある方。。笑)はこの曲から聴いて欲しいなと思います。視覚と聴覚で音を感じることが出来る素晴らしい作品だと思います。
大好きなあの場所でこの曲が聴けることを願って終わります。