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冬の朝は「蒸し◯◯◯」でほっかほか
冬の朝、我々人間には「フカフカのふとんから寒さに耐えて出て、短い時間で身支度をこなしていく」という超難関ミッションが待ち受けている。
それを日々、できて当たり前かのようにこなしているわたしたちは本当によくがんばっている。
こんなにがんばってふとんから出て体を起こすのだから、それに見合う見返りがほしい。
そうじゃなきゃやってられないよ。
ええ、起きてよかったと思わせてくれる何かがあるならば、喜んで起きますとも。
と、なぜかちょっとプリプリしてそんなことを考えていたこの頃、「起きてあげてもいいでしょう!」と思える、”朝の癒し”を見つけてしまった。
何を隠そう、それが「ほかほか蒸しタオル」だ。
さむ~い冬にコンビニで買って食べるほかほかの肉まんが最高なことはもう常識と言ってもいいくらいだけど、冬の朝、寒さでカチコチになった顔にほかほかの蒸しタオルをのせるという至福の工夫はまだ知られていないのでは?
これ、すごいんです。もう、肉まんを超えるくらい最高なんです。
***
「ほかほか蒸しタオル」がある朝
6:15 アラーム音で目が覚める。
「え…、もう朝だって?さっき寝たばっかりなのに?」
眠りについてから朝がくるまでの早さには毎日しっかりと驚かされる。
夢と現実の間で少しの間ぼーっとしたら、意を決して「えいやっ」と起き上がり、簡単にふとんを整えておく。ここまでできれば大丈夫。
ここで「あと5分」と言って、夢の中へもどってしまうとだいたい大後悔することになる。
いつもはこのあと、電子レンジで白湯を作っている間に冷たすぎる水で顔をおそるおそる洗い、目をバチっと覚ます。
バチっと覚めるのはいいのだけど、シンプルに冷水がつらい。
正直、顔を洗うことが修行のように耐える時間になってしまっていた。
本当はお湯で洗いたいけれど、わたしの家では冬はお湯が出るまでかなり時間がかかるため諦めている。
でも、でも、でも。
今回は冷水修行の前にワンクッション挟んじゃう。
そう、それが「ほかほか蒸しタオル」!
フェイスタオルを水でまんべんなく濡らし、ギュッギュッと絞る。
寝起きの握力の弱さにびっくり。
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がんばって絞ったタオルをラップでくるみ、電子レンジで600Wで約1分。
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「ラップにくるむ」は温かさを長持ちさせる大事なポイント。
はい、ここ、テストに出ます。
温めたタオルは、注意してそっと取り出す。表面はちょうどよくても、中がものすごく熱いことがある。
熱々の肉まんを持ったときのように、ホッホッホッと右手と左手の間で行き来させ、ほどよい熱さになったら、二つ折りにしたタオルでそっと顔を両手で包み込む。
「あーーー」
目の奥からやさしい温もりがじわぁっと広がっていく。
キンキンに冷えた外から帰ってきて、湯気の立ちこめるお風呂にざぶんと浸かったときのような、全身がほぐれる気持ちよさ。
これだけで不思議とやさしい気持ちになってくる。
温かさと心の余裕はつながっているのかも。
顔だけでなく、耳と首まですっぽり覆うとさらに気持ちいい。
特に、首の後ろはほんとうにおすすめ。
ちなみにわたしは、細長く折ったタオルを首にかけるように当て、タオルを挟むように顔を後ろに倒す温め方がお気に入り。
目、耳、首。
蒸しタオル3大気持ちいいスポット。
ここも、テストに出ます。
タオルが冷めるまで温かさに全集中。
目をつぶると温もりをより感じられる。
小さいころ、風邪で熱を出しておふろに入れなかったとき、母親が蒸しタオルでからだを拭いてくれたことがあった。
たくさん汗をかいて火照った体を、蒸気がたったふっくらホカホカのタオルでやさしく拭いてもらったときの気持ちよさといったら。
さっぱりして新しく生まれ変わったかのよう。
元気になれる兆しがすぐそこに見えてくる。
からだを朝から拭くのは大変だけど、顔だけでも同じ気持ちよさが味わえるんだなあ。
***
ほかほか至福タイムは儚い。
わずか1分ほどでゆっくりと冷めてきて、うーん名残惜しい。
でも、忙しい朝にはこのくらいがちょうどいいのかもしれない。
もしずっと温かかったら、朝のふとんのように自分の意志で終わらせなくてはいけないから。
「はい、おしまいですよー」と否応なく終わらせてくれるほうがありがたい。
それに、ほかほか至福タイムは短いからこそ尊いのだ。
顔からタオルを外すと、顔はぽかぽか、気分はすっきり。
濡れたタオルには加湿効果がありそうなので、部屋の適当なところにかけておく。
一石二鳥だ。気持ち的には一石三鳥。
わたしは顔をつやつやさせながら、起きたてよりちょっと軽い足取りで、顔を洗うべく洗面所に向かった。