朝からフルーツを食べるという偉人の話
「フルーツは毎朝食べてるよ~」
「え、毎朝?」
私には、毎朝フルーツを食べている友達がいる。
こどもの頃からそれが当たり前だったから、一人暮らしの今でもそうしているらしい。
けっこうな衝撃を受けて、急にその子がまぶしく見えた。
というのも、私の朝ごはんにフルーツが登場するのは、親や祖母からもらったときか、たまーに食べたくなってフルーツの中でもお財布にやさしいバナナを買ったときくらい。
スーパーでフルーツコーナーを気にかけることはあるが、値段を見て「うーん、いったん保留にしよう」「実家に帰ればもらえるから買わないでおこう」と通り過ぎていた。
ケチなのかもしれない。
自分のお金でフルーツをかかさないように買っているなんて偉人だ。
Quu&Fuu副編集長のみなふーも、季節のフルーツを朝ごはんに取り入れる偉人だ。
夏にはシャインマスカットや桃を平皿にたっぷりとのせていて、密かに憧れていた。
見ているだけでからだがピチピチと潤っていく感じがする。
よし、決めた。
これまでは季節のフルーツを遠くから眺めている私だったけれど、こうなったら月曜日から土曜日までの朝ごはんにフルーツを取り入れてみようではないか。
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月曜日
パン屋さんで買ったパンを食べる朝は、いつだってもうそれだけでルンルンだ。そのルンルンの横に、りんごをエイッ。
パンを食べ終えても、まだりんごが残っている。
楽しみが2回に増えてお得な気持ち。
火曜日と水曜日は、おにぎりとフルーツの組み合わせ。
フルーツのすごいところは、デザート扱いになるからどんな食べ物とでも隣にならべるところだ。共演NGがない。
月曜日のパンと同じく、楽しみが1回で終わらないことがうれしい。
デザートには、ごはんの後という決まりはない。
一口目にサッパリしたものが食べたくて、先にフルーツを食べたりもした。
バナナの断面が顔みたいだった。
木曜日
夜ごはんに牛丼を食べた翌朝。
ただの牛丼じゃないんです。神戸牛の牛丼なんです。
どうしても、絶対に、どんぶり茶碗に大盛りで食べたかった。
「明日の朝はオレンジだけにしよう」という誓いによって、いつもの倍以上の量のお米を食べることへのためらいがさっぱり消えて、気持ちよく夜ごはんを楽しめた。
朝フルーツは食いしん坊の心強い味方だ。
とか言いつつ、ヨーグルトとちょっとのグラノーラを追加しちゃったけど。
そのあと、チョコも食べちゃったけど。
フルーツが入ってるからセーフということにしよう。
金曜日
5日目にして初のフルーツ2種。
フルーツを掛け合わせるなんて、朝フルーツ初心者から中級者にレベルアップしたかもしれない。
土曜日
お昼にバーベキューをする予定があったので控えめに。
おやつみたいな朝ごはん。
「食べたものでからだはつくられる」というが、それならば6日間フルーツを食べた私は、りんごとバナナとオレンジでできていると言ってもいいかもしれない。
違うと誰かが言ったって、私がそう思っているんだからもうそれでいい。
フルーツの潔さ
6日間朝ごはんにフルーツを食べてみて、気が付いたこと。
それは、フルーツの潔さだ。
焼いたり茹でたりしなくても、そもそも味付けをしなくてもおいしい。
むしろ、そのままがいちばんおいしい。
素材そのままでおいしさが完成されているって、改めて考えたらすごいことだ。
ごはん、食パン、ヨーグルト、豆腐など「そのままで食べられるもの」はたくさんあるけど、「そのままでおいしいもの」かというと…。
うーん、どうしても甘さや塩気が恋しくなってしまう。
「なにもつけなくてもおいしいよ」と言う時、人はたいていちょっと強がっているはずなのだ。(身に覚えがある。)
フルーツは、「そのままでおいしいもの界」で最優秀賞をとれるのではないだろうか。
もちろん最優秀賞なんてとらなくても、そのままで素晴らしいのだけれど。
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今、私の家の冷蔵庫には「今が旬です!」と聞こえてきそうなつやつやの柿がひとつある。
祖母から、たくさんの野菜とともにおすそわけしてもらった。
旬のフルーツや野菜を食べていれば、日々のうまくいかないこともパーンと跳ね返せそうだ。
特にオレンジを食べたとき、はじける果汁に目が覚めて力がわいた。
12月は、おいしいみかんと苺を朝から存分に味わいたいなとたくらんでいる。