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しごきぬかれる乙女たち 2-2

第二章 地獄の寮生活のはじまり

 胸元に大きく宮地愛美と書いた白いTシャツと赤いブルマ姿で、先ほど指導された、”先輩とは目を合わさない”、”上級生とすれ違う際は90度のお辞儀をする”、”壁に沿って歩く、曲がるときは直角に”を意識し、愛美はA棟の320号室を目指した。

 下を見ながら歩いていると、ジーンズやジャージの足元が視界に入った。
新入生はブルマに支給された寮内用のシューズを履いているので、それ以外の着衣は上級生と判断できる。愛美は途中、何度も90度のお辞儀を繰り返し、やっと指定された部屋に到着した。

 指定された部屋は廊下をはさんで、寝室と学習室の2部屋を4人で使う事となる。学習室は四隅に机と本棚が壁に向かって設置されているシンプルな作りになっている。
 寝室は、ドアを入ると左右に2個の身長丈のロッカーがあり、その奥に2段ベットが左右に配置、奥には少しスペースがあり、4人が掛けることができるベンチシートと木の机が設置されている。

学習室、寝室ともにタイル張りで、寮内シューズのままで、ベットにはいるときのみ脱ぐこととなる。
驚いたのはこげ茶色のタイルがピカピカに磨き上げられており、顔が映るほどの美しさであった。

寝室の奥のベンチには既に愛美と同じ格好をした3人の女の子たちが静かに座っている、3人とも、悲壮な面持ちだ。
3人のTシャツの胸元には、『久慈明美』『前谷貴子』『原田亜美』と油性のマジックで大きく記載されていた。

後ほど、3人については紹介するが、3人ともそれぞれ違う個性で、可愛く、美人である。

愛美は支給されたわずかな着替えをドアが解放されているロッカーに収納し、『宮地愛美です。初めまして、こんにちわ』と3人に声をかけた。
3人は愛美の方を見つめ『こんにちわ』と返答した。
原田亜美はすでに涙を流しているのが分かった。

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