会員制の粉雪
『粉雪不足につき、粉雪希望の方を募ります。会員制です』
就職情報誌に目を通しているとこういった文言が目に飛び込んできた。
(粉雪希望!?)
意味が全然理解できないけれど、降る度にいつも人々にため息を吐かれている牡丹雪は勇気を振り絞って応募することにした。
電話連絡をし、面接の約束を取り付けた牡丹雪はその足でホームセンターへと向かった。
季節は大寒、真冬。それははじめはなかなか見つからなかったが店員に案内してもらい、やっと見つけることが出来た。
支払いを終えた牡丹雪は固まった自分の手から滑り落としそうになりながらもそれを大事に抱え帰宅した。
家では相方の、どか雪が待っていた。
「おかえり。これはいいものを見つけてきたね♪」
そう言うとどか雪は早速牡丹雪をその機械に入れてハンドルを静かに回し始めた。
かき氷機で粒子の細かい粉雪になれた牡丹雪は面接会場にその格好で向かった。
面接官はやさしい表情で『合格です。ぜひうちで働いてください。仕事は主に人間の恋人たち及び親子の過ごすクリスマスとお正月、そしてバレンタインデーの夜にそこへ降り、素敵な雰囲気を演出することです』
(了)
このお話はこちらの企画に参加していますφ(..)✨