チラシの誘惑(親切な×暗殺)
大型の台風が過ぎた次の日のこと。
倒れた物干し台を起こそうとベランダに出ると、チラシの切れ端が物干し棹にくっついていることに気が付いた。
『にん○ん 1本 5○ 円 』
所々読めない箇所があったが大好きな人参が安そうだったので、午後からチラシに記載されている地図を頼りにその場所へ車で向かった。
着いた先は少し大きい建物。
ボロボロの状態のチラシの切れ端を入り口に立っていた従業員に見せると、にやりと私の顔を見ていやらしく笑った。
「お客様は見る限り30代の前半でまだまだお美しいのにもっとお若くお綺麗になりたいのですね?」
そう言うと書類への記入を求めてきた。
「野菜を買うのに書類が必要なんですか?」
驚いてそう聞くと、
「おやおやこれはにんげん 1体 50万円 と書いてあるんですよ。あなたはこれから我々と契約を結び、自殺志願の若者を騙し連れてきて、臓器は外国へ、血は若返るためにあなたに還元するのです。残念ですがこの秘密を知ったのでもう逃げられませんよ」
そう言いながら、私に何かを注射した──。
(了)
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