あの日の憧れ、いまなら分かる
神戸の街で、トヨタ2000GTを見た。
走行していたのではない。
夜の商店街。
そのウインドウに展示されていたのだ。
「かっちょいい」
ライトアップされたボディーに、思わず声が漏れる。
ランボルギーニ・ミウラ
フェラーリ・ベルリネッタ・ボクサ
そしてこの2000GT
子供の頃から私の好きなスーパーカーである。
ただ、自分で乗りたいとは露程にも思ったことはない。
自分で乗る車としてなら、こうしたスポーツカーは多分、いや絶対に選ばないだろう。
どちらかというと、無骨な方が好みだ。
まあ、乗ってみたいと思ったところで、所詮、今の私には高嶺の花なのだが。
乗ってみたい、所有してみたい憧れとはまた別の、なんだろう…
美しい、カッコいいものへ惹きつけられる思い。これをデザインした人へのリスペクト。
造形美として、優れていることへの憧れ。
絵画や建築、そうしたものへの感動に近いかもしれない。
私はしばしその場に佇んでいた。
そして、幼い日の自分に向かって
「そういう感じで好きなのかもな」と話しかけてみた。
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