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PBXリプレイスから始まった社内DXへの挑戦―ビジネスフォンDXから知る実践的社内DX事例―

こんにちは!広報部の石丸です。
デジタルトランスフォーメーション(以下、DX)は、単なる技術導入にとどまらず、業務の仕組みや組織文化を変革する重要な取り組みです。
今回は、フューチャースピリッツがDX化実践の一環として実施した取り組み事例をご紹介します。
このプロジェクトのきっかけは、老朽化したビジネスフォン(PBX)の交換でした。これを契機として、電話対応の負担軽減や業務効率化を目指すことになりました。このプロジェクトを進めたのは、IT戦略&推進室の吉川さん。どんな工夫や苦労があったのか、詳しく伺ってみたいと思います!
吉川さん、本日はよろしくお願いします!


ビジネスフォンのメンテナンスに問題が生じたことからのスタート

広報部
まず、ビジネスフォンのDX化というのは、どういった内容で行ったのかを教えていただけますか。

吉川
ビジネスフォンのオンライン化を目的として、DXを行いました。具体的には、電話のIVR(自動音声応答)化や受電代行、FAXのオンライン送受信機能の導入です。また、受電情報をTeamsのチャンネルで全社に共有する仕組みも同時に整備しました。
これにより、各担当者が共有された記録を確認し、PCや社用携帯を活用して迅速に折り返し対応できるようになりました。

広報部
詳細な説明をありがとうございます。
では、このDX化を検討するに至った背景を教えてください。

吉川
ビジネスフォン(PBX装置を含む)が古くなり、メンテナンスが困難になったことが、プロジェクトが始まる直接的なきっかけとなりました。ただ、ビジネスフォンの単純なリプレイス(新しい機材への交換)だけでは、社内から寄せられていた改善要望に応えることも難しく、コストに見合った結果を得られないのではないかという疑問もある状況でした。そこで、DX化も進めることで、コスト削減や運用効率化といったメリットが期待できる仕組みを導入すべきだと判断しました。
その他にも、フルリモート体制の導入をきっかけに、「電話対応の負担が特定の社員に偏る」という課題が注目されており、また、電話応対を苦手と感じる社員が一定数いることも把握されていましたので、受電対応で業務が中断されるよりも、本業に専念できる環境を整えることも重要であるという考え方もあったと思います。
これに加え、当時のビジネスフォンに関する契約内容や管理体制、設定情報には不透明な部分が多く、この機会に全体的な見直しが必要だと考えました。
これらの背景を踏まえ、リプレイスではなく、DX化を軸とした新たな運用方法の導入を経営会議で提案しました。

経営層を巻き込んだ意思決定

広報部
提案を経営会議に起案する際、どのようなプロセスを経てDX化の価値を具体化し、承認を得るに至ったのでしょうか?

吉川
当初は自社が保有する電話番号すら正確に把握できていない状態からのスタートでした。起案書(提案書)の作成にあたり、現状の契約内容や設備の調査を進める中で、これまで当然のように支払っていた電話代の削減や、受電対応に伴う日常的な運用コストの削減につながる可能性が見えてきました。
さらに、社内に存在する課題についても、いくつかの解決策を提示できる手段があることも見えてきました。
そこで、この取り組みを「私的なプロジェクト」としてではなく、経営層をはじめ各本部を巻き込んだ「全社的、会社公認のプロジェクト」として位置づけることにしました。各本部から寄せられた要望を反映した形で提案を行い、最終的には「各本部にもメリットがある、受け入れられる」と理解してもらい、経営会議での承認を得ることができました。
「全社的、会社公認のプロジェクト」としての立ち位置を獲得した上でのスタートが切れたことで、社内から幅広い協力を得ることが可能となり、多様な課題にも対応することができました。また、電話対応という観点でサービス提供の水準を全社的に均一化することにもつながり、最終的にはビジネスフォンのDX化プロジェクトは無事に完遂できたと考えています。

運用開始で直面した課題

広報部
DX化を進める過程で、事前のリサーチでは見えてこなかった課題がありましたか?あるとしたら、どのようなものでしたか?

吉川
いくつか課題がありましたが、特に印象深いものとして、「新しいビジネスフォンを経由した受電内容を担当者へ自動案内する仕組みの検討」や、部署ごとに異なっていた受電後フローを「取りこぼしのない全社共通化を目指すための仕様構築」が挙げられます。これらはDX化を進める中で新たに浮き彫りになった課題でもあり、技術的な面だけでなく、現場の運用担当者との調整が必要となるなど、多くの調整事項に直面しました。
とはいえ、プロジェクト完遂をゴールとせず、さらなる運用の最適化を目指し、現在も改善に向けた取り組みを継続しています。また、プロジェクト完了後には、「大量に残された旧機材の処分」といった新たな課題も発生しており、対応を進めている段階です。

DX化がもたらした「組織の見える化」

広報部
DX化の推進を通じて、組織全体にはどのような発見がありましたか?

吉川
特に大きな成果は、全社的横断的な調査とその資料化を通じて、組織的な課題が「資料化を伴う見える化」されたことです。
全社プロジェクトに関わる中で、これまで局所的な業務では気付けなかった非効率な部分や、運用上の問題が明らかになりました。これにより、個別最適化にならない、全体最適化を追求するという貴重な機会を得られたと感じています。

社内DXに挑戦する企業へのメッセージ

広報部
全体最適化を追求する機会となって、資料に残しながら組織課題を明確にすることができたのですね。最後に、DX化を検討中または取り組み中の方々に向けて、アドバイスがあればご教示いただけますでしょうか。

吉川
「全社的、会社公認のプロジェクト」を成功させるには、多くの人とのコミュニケーションが欠かせません。そのため、普段から社内の人々と雑談レベルでも積極的に交流しておくことが、仕事を円滑にすすめる一助になるかと思います。本プロジェクトでも多くの方にご協力いただきましたが、こうした日頃のコミュニケーションが、ある程度、調整の敷居を下げたと思います。
また、プロジェクトの進行と完遂のためには、現状を可能な限り正確に把握し、個別最適に陥らないよう全体を俯瞰して見極めることが大切です。その過程の中で、たとえ上司の指示から始まるプロジェクトであっても、現状把握を基により良い提案を組み込めれば、自主性を持って動けるようになり、「やらされている感」を軽減できるかもしれません。(何をもってプロジェクトの全体とするかもありますし、プロジェクトの内容によっては、局所的、緊急対応に迫られるケースもあるかと思います)
その中で、プロジェクトの各部分における責任範囲や担当者を明確に定義し、起案書に記載することが重要です。そして、提案内容が目的達成可能であること(具体的には達成すべき目標、予算、リソースの整備)を経営層に納得してもらい、意思決定を促すことで、プロジェクトの実現性が大きく向上します。
DX化を進める過程では、既存業務を見直し、時には大きな変革が求められるため、困難が伴うこともあります。しかし、それを乗り越えることで組織全体や自身の成長を促す良いきっかけになるはずです。前向きに挑戦し、その過程を楽しんでいただけると良いと思います。

まとめ

ビジネスフォンリプレイスを契機に始まったDX化プロジェクトは、コスト削減や運用効率化にとどまらず、組織全体の課題を浮き彫りにし、成長への新たな道を切り開く重要なきっかけとなりました。この取り組みを通じて、DX化の成功には、現状の徹底的な把握と経営層を巻き込んだ意思決定が不可欠であることが明確になりました。
変革のプロセスは決して容易ではありませんが、その先には大きな成長の可能性があります。現状にとらわれず、挑戦を続ける姿勢が鍵となります。
この記事が、皆さんのDX推進のヒントになれば幸いです。

吉川さん、本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました!

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