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日本の発電状況-世界における”衛星の視点から"電力状況を追跡する

(1).全体要約

新型コロナウイルス感染症の世界的な流行は、日本のエネルギー市場にも大きな影響を与えました。特に、天然ガス価格の高騰は、火力発電のコスト上昇に直結し、発電事業者の経営を圧迫しました。この状況下、日本政府は、電力料金の安定化策として、燃料費調整制度の見直しや、火力発電の燃料転換を促進する政策を打ち出しました。一方で、再生可能エネルギーの導入拡大も進められており、日本の電力ミックスは変化しつつあります。

本稿では、この日本の状況を衛星データから推定した結果、今回は日本最大のGHG排出量を出す 碧南火力発電所(Hekinan, Aichi, Chūbu, Japan 34.834612, 136.959336 合計:4100MW)に絞って報告します。

単位:納入容量(MW)を使用しています。
※最大納入容量 = 最大発電出力 と仮置きしています。
よって、武豊石炭火力発電所の武豊火力発電所(単独タービンとしては最大)は、 最大出力: 107万kWですので最大納入容量(1070MW)としています。
なお、この碧南火力発電所(4100MW:5つタービンがあります)は、武豊石炭火力発電所の海を挟み、おとなりさんです。

西:武豊火力発電所 東:碧南火力発電所



2024年度アドベントカレンダーでは、機械学習、強化学習、および数理最適化の手法を用いて、パンデミックや地政学的変化といった外部要因が温室効果ガス(GHG)排出量に与える影響を定量的に解析することを目的として実施します。特に、2025年度の新型コロナウイルス感染症の動向、日本最大の武豊石炭火力発電所の運用、ロシア・中国のエネルギーインフラおよび再生可能エネルギーの動向に注目し、GHG排出量の変動要因を多角的に分析します。

(2).1 手法


a.時系列解析:
過去のGHG排出量データ、衛星データから推定したエネルギー消費量データなどを用いて、時系列解析を行い、GHG排出量のトレンドや季節変動を把握します。

b.機械学習:
・回帰分析: GHG排出量を目的変数とし、複数の説明変数(経済活動、エネルギー価格など)を用いて、GHG排出量を予測するモデルを構築します。
・異常検知: 過去のデータに基づいて、異常なGHG排出量を検出し、その原因を特定します。

(2).2 データ


a.衛星データ:
第三者検証が可能な高解像度の衛星データを用いて、実際の発電量などを高精度に観測します。
かつ、今回の碧南火力発電所(5つタービンがあります)のデータは、世界および日本の主要なエネルギー動向比較、解析基準としても使用します。

(3).GHG需要に関する概要

この碧南火力発電所(5つタービンがあります)は、日本最大のGHG排出量を出す発電所(2023年:15.34Mt CO2e 100yr)であり、その運転は多量のGHG排出に繋がります。なお、武豊石炭火力発電所(単独タービン:2023年:5.78M CO2e 100yr) です。

CO2e 100yr :温室効果ガスの排出量を二酸化炭素(CO2)に換算して表す単位。少し詳しく説明すると、「100年間の期間において、ある温室効果ガス1トンが地球温暖化に与える影響が、二酸化炭素の何トン分に相当するか」という意味です。設備の比較指標として利用されています。

正確な予測に基づいて、発電量の調整や代替エネルギーへの移行を計画することで、日本のGHG排出量削減目標達成にも貢献できるヒントとなるはずです。また、ロシアや中国といった主要なエネルギー輸出国の動向もGHG需要の大きな変動要因です。

当アドベントカレンダーでは、これらの課題を第三者検証が可能な衛星データおよび地上データを組み合わせ、機械学習、強化学習および数理最適化を用いて分析し、持続可能な解決策を提案します。

(4).碧南火力発電所(34.834612, 136.959336:2023年:15.34M CO2e 100yr) を予測すべき根拠

碧南火力発電所(34.834612, 136.959336:2023年:15.34M CO2e 100yr)は、5つのタービンをもつ、JERA(東京電力フュエルパワーと中部電力との合弁)が運営する、日本最大の規模を誇る火力発電所です。同発電所は、正確には石炭火力発電と天然ガス火力発電の両方を有しており、中部地域の電力供給に重要な役割を果たしています。ウクライナ侵攻以降、天然ガス価格の高騰を受け、天然ガス火力の稼働率を調整し、石炭火力発電の稼働率を高めることで、電力供給の安定化を図っていると考えられます。しかし、環境規制の強化や、再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、同発電所の将来は不透明な部分も残されています。

稼働状況は下記のとおり。

赤:武豊火力発電所と白:碧南火力発電所 の比較

武豊石炭火力発電所は、2022年9月が営業開始。

5号機=武豊火力発電所 

https://jera-taketoyo.com/pdf/TTG_dayori_202101.pdf

赤:武豊火力発電所と白:碧南火力発電所 と電気代 の比較

高くなる8月に点検しなくても・・・とは思います。

※碧南火力発電所:タービン5つの合計 です。

(5).中国およびロシアのGHG需要を予測すべき根拠


中国とロシアは世界有数のGHG排出国です。
これらの国のエネルギー政策は国際的なGHG需要に大きな影響を与えます。
中国は太陽光などの再生可能エネルギー設備の導入を進めつつも、石炭火力発電への依存が依然として高く、エネルギー転換の進捗が不透明です。また、ロシアは石炭や天然ガスの輸出が重要な収益源であり、地政学的な紛争や制裁がエネルギー供給と需要の変動に影響を及ぼしています。
これらの国々の動向とくにGHG需要を予測することは、国際的なエネルギー市場の安定化に不可欠です。

(6).要するに

碧南火力発電所(34.834612, 136.959336:2023年:15.34M CO2e 100yr)は、日本最大の火力発電所でありますが、日本経済停滞の影響で発電量が減少しています。

そのことを本稿では、衛星データを用いて推定しました。
碧南火力発電所 は、日本の武豊石炭火力発電所と倍にちかいGHGを排出しており、その正確な予測に基づいて発電量の調整や代替エネルギーへの移行を計画することで、GHG排出量削減目標の達成に寄与することできます。

また、ここで採取したデータは、日本はもとより、ロシアや中国といった主要なエネルギー輸出国との動向比較、解析基準として使用していきます。

当アドベントカレンダーは、パンデミックや地政学的変化がGHG需要に与える影響を多角的に分析することを目的としています。特に、2025年度の新型コロナ陽性者数、武豊火力発電所やロシア・中国のエネルギー政策に注目し、GHG排出量の変動要因を明確化します。
パンデミック時にはエネルギー需要の大幅な変動があり、衛星データと機械学習を活用した予測が有効であることを示すことも目的の一つです。

(7).参加アドベントカレンダー


(8).参考URL


(9).ハッシュタグ


#新型コロナ ,#第12波,第13波
#カーボンニュートラル ,#GHG,#再生可能エネルギ-,#炭素中立性,#第三者認証,#グリーンウォッシュ
#機械学習 ,#数理最適化,#強化学習,#衛星データ

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