北朝鮮の石炭火力発電-世界市場での石炭ロンダリングを追跡する
(1).全体要約
新型コロナウイルス感染症の世界的な流行は、北朝鮮のエネルギー市場にも大きな影響を与えました。北朝鮮の電力事情は、長年の経済制裁やインフラの老朽化により、非常に厳しい状況にあります。その中で火力発電は、石炭を主要な燃料源として存在しており、国内の電力供給を支える重要な役割を担っています。しかし、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行は、経済活動の停滞をもたらし、北朝鮮でも電力需要の低迷を招いたと考えられます。
本稿では、衛星データを用いて北朝鮮の北倉(Pukchang power station 北朝鮮 平安南道北倉市)石炭火力発電の稼働状況を衛星データから推定した結果を報告します。今回は、北朝鮮最大の火力発電所 北倉石炭火力発電所を解析することにより、ロシアや中国といった主要なエネルギー輸出国の動向の比較、解析基準として使用します。
単位:納入容量(MW)を使用しています。
※最大納入容量 = 最大発電出力 と仮置きしています。
よって、武豊石炭火力発電所の武豊火力発電所は、 最大出力: 107万kWですので最大納入容量(1070MW)としています。
2024年度アドベントカレンダーでは、機械学習、強化学習、および数理最適化の手法を用いて、パンデミックや地政学的変化といった外部要因が温室効果ガス(GHG)排出量に与える影響を定量的に解析することを目的として実施します。特に、2025年度の新型コロナウイルス感染症の動向、日本最大の武豊石炭火力発電所の運用、ロシア・中国のエネルギーインフラおよび再生可能エネルギーの動向に注目し、GHG排出量の変動要因を多角的に分析します。
(2).1 手法
a.時系列解析:
過去のGHG排出量データ、衛星データから推定したエネルギー消費量データなどを用いて、時系列解析を行い、GHG排出量のトレンドや季節変動を把握します。
b.機械学習:
・回帰分析: GHG排出量を目的変数とし、複数の説明変数(経済活動、エネルギー価格など)を用いて、GHG排出量を予測するモデルを構築します。
・異常検知: 過去のデータに基づいて、異常なGHG排出量を検出し、その原因を特定します。
例えば、上図のように発電所は発電形式によって活動パターンが明確にあり、そのパターンとの差異により異常検知が可能です。
(2).2 データ
a.衛星データ:
第三者検証が可能な高解像度の衛星データを用いて、実際の発電量などを高精度に観測します。
かつ、今回の北倉石炭火力発電所のデータは、北朝鮮の主要なエネルギー動向比較、解析基準として使用します。
(3).GHG需要に関する概要
この北倉石炭火力発電所は、北朝鮮最大であり、その運転は多量のGHG排出に繋がります。正確な予測に基づいて、発電量の調整や代替エネルギーへの移行を計画することで、日本のGHG排出量削減目標達成にも貢献できるヒントとなるはずです。
GHG需要予測は、気候変動対策やエネルギー政策にとって重要な要素です。
特に、石油、石炭火力や太陽光などの再生可能エネルギーなどエネルギー源の多様化により、GHG需要は地域や状況によって大きく異なります。武豊火力発電所を例に挙げると、石炭を主燃料としたエネルギー供給は依然として日本の安定供給に不可欠ですが、その一方でGHG排出量削減が求められています。一般的に説明するとこの予測は、気候変動対策、エネルギー政策、地域社会の発展、そして社会全体の持続可能な発展という、多岐にわたる分野において重要な意義を持ちます。機械学習やAIなどの先端技術を活用することで、より高精度な予測が可能となり、これらの課題解決に大きく貢献することが期待できます。
また、北朝鮮、ロシアや中国といった主要なエネルギー輸出国の動向もGHG需要の大きな変動要因です。
当アドベントカレンダーでは、これらの課題を第三者検証が可能な衛星データおよび地上データを組み合わせ、機械学習、強化学習および数理最適化を用いて分析し、持続可能な解決策を提案します。
(4).北倉石炭火力発電所(北朝鮮 平安南道北倉市 39.586142, 126.305072)を予測すべき根拠
北倉石炭火力発電所(北朝鮮 平安南道北倉市 39.586142, 126.305072)は、北朝鮮最大の火力発電所であり、以下のように紹介されています。
この発電所は、平壌市の生活のみならず、北朝鮮最大の核施設のひとつである寧辺核施設の近くに位置しており、その電力供給源として重要な役割を果たしています。ただ、この発電所も、上記事にある通り、老朽化が進んでおり、頻繁な故障や運転停止が報告されています。また、環境規制に関する情報もほとんど公開されておらず、環境問題への懸念も高まっています。
ウクライナ侵攻から発電所の稼働が戻っています。
しかし、今年の6月以降急速に低下しており、今年の冬需要を賄えるのか、焦点です。
(5).北朝鮮、中国およびロシアのGHG需要を予測すべき根拠
北朝鮮の石炭火力発電は、経済制裁やインフラの老朽化、情報不足など、多くの課題を抱えています。さらに新型コロナウイルス感染症の世界的な流行は、さらに状況を悪化させた可能性があります。今回分析した、北倉発電所のような北朝鮮最大の石炭火力発電所は、北朝鮮の電力供給に不可欠な存在であり、今後もその役割は大きいと考えられます。
しかし、現状を分析する限り、外部からの支援なしには、電力供給の安定化は難しい状況です。
中国とロシアは世界有数のGHG排出国です。
これらの国のエネルギー政策は国際的なGHG需要に大きな影響を与えます。
中国は太陽光などの再生可能エネルギー設備の導入を進めつつも、石炭火力発電への依存が依然として高く、エネルギー転換の進捗が不透明です。また、ロシアは石炭や天然ガスの輸出が重要な収益源であり、地政学的な紛争や制裁がエネルギー供給と需要の変動に影響を及ぼしています。
これらの国々の動向とくにGHG需要を予測することは、国際的なエネルギー市場の安定化に不可欠です。
(6).要するに
北倉石炭火力発電所(北朝鮮 平安南道北倉市 39.586142, 126.305072)は、北朝鮮最大の発電所でありますが、発電が止まろうとしています。
そのことを本稿では、衛星データを用いて推定しました。
また、ここで採取したデータは、北朝鮮、ロシアや中国といった主要なエネルギー輸出国との動向比較、解析基準として使用していきます。
当アドベントカレンダーは、パンデミックや地政学的変化がGHG需要に与える影響を多角的に分析することを目的としています。特に、2025年度の新型コロナ陽性者数、武豊火力発電所やロシア・中国のエネルギー政策に注目し、GHG排出量の変動要因を明確化します。
パンデミック時にはエネルギー需要の大幅な変動があり、衛星データと機械学習を活用した予測が有効であることを示すことも目的の一つです。
(7).参加アドベントカレンダー
(8).参考URL
(9).ハッシュタグ
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