〈ククリちゃんとふしぎな町②〉
僕たちはまた街に出た。
近所には魔法陣グルグルグッズを置いてあるお店があって、そこにはひなたちゃんのグッズも置いてあるらしい。
「へぇ、そういう普通のファンの作った物も置いてくれるなんていいお店だね。」
僕は行ってみたいと思った。
ひなたちゃんの案内で近道を通る。そこは僕も歩いたことない道だった。細い道をクネクネと曲がりながら通ってる内に倉庫に迷い込む。
「大丈夫? 迷ったんじゃない?」
「大丈夫。倉庫の中を通り抜けた方が近道よ。」
心配する僕を気にせずひなたちゃんは倉庫の中に入った。
中にはタテジワネズミの等身大の人形やら、ククリちゃんの失敗作みたいな変な生き物のぬいぐるみやらが、ガラクタのように雑に積まれてた。(タテジワネズミは敵のモンスター。)(ククリちゃんは魔法で失敗して変な生き物を呼び出すことがある。)
シャッターを開けて外に出る。するとそこは僕が街に行き来するのに使ってるいつもの通り道だった。シャッターがあったのは随分前に閉店したお店のあった建物だった。
「ここだったのか! ここいつも閉まってるなぁと思ってたけど、倉庫になってたんだね。」
振り向くと目の前には僕がよく行くショッピングセンターがあった。
「ほらっ、近道だったでしょ!? お店はこの中よ。」
ひなたちゃんは満足気な笑顔で僕を見た。
中に入ると細い廊下が続いてた。一本道の曲がり角を曲がり、また真っ直ぐの廊下が続いてる。
「あれっ? ここショッピングセンターなのになんでこんなに細い廊下が続いてるの?」
僕はふしぎかる。みんなは何も疑問を持たないかのように普通に笑顔で歩いてた。
「私、この先がどうなってるか見てくるね。」
ひつじさんとひなたちゃんは先に行ってしまった。
残された僕とククリちゃんとニケくんは広い場所に出た。お客さんが大勢で賑わっていてオシャレな人やコスプレイヤーもいた。
それを見たニケくんは、
「なんか変わったカッコの人が多いな。今日はイベントか?」
「それよりひつじさんとひなたちゃんがいないわ。探さないと。」
お客さんはみんな同じ方向に進んでいた。エスカレーターで上の階に行ってるみたいだった。そして上から降りてくる人も大勢いた。
「もしかして上にいるんじゃない? 行ってみようよ。」
僕は提案した。
屋上に向かって行列が出来てた。
屋上に出ると大勢の人が楽器やパソコンやスポーツ道具を持ち込んで遊んでた。演奏する人、バドミントンなどで遊ぶ人、パソコンでCGイラスト描く人もいた。
「ククリ、CGを描く様子初めて見た。」
「俺も。」
ククリちゃんとニケくんは興味あり気に見てた。
「でも2人はいないね。」
3人でしばらく屋上を探し回った。けど見つからず。疲れて外の景色を見ながら残念がる。
「見つからないね。」
僕は諦めかけたけど、ククリちゃんは、
「ククリは信じてる。お日様にお願いすれば見付かるって。
お日様、お願い、会いたいな。」
ククリちゃんがお日様に祈ると、すぐそばに2人の人が現れた。
「みんな、来てたんだね。」
トマスキーくんとアルカナイくんだった。
「トマスキーくん、アルカナイくん! 久しぶり、佐賀に来てたの?」
2人は以前一緒に旅した仲間だった。
「わ〜い、トマスキーくんとアルカナイくんだ!」
ククリちゃんは跳びはねて喜んだ。
つづく
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