〈③可愛くてその発想は無限大(100話記念)〉

♪アンジュ♪


♪地面に垂直 傾斜90゜の山に直立不動で登る


眠らない町の不夜城


欲しいものが何でも手に入る誘惑の迷宮(ラビリンス)


真っ直ぐ歩けない程の人の海の中で


この世でたった一人の私


2人と目が合えばワクワクの気持ちで宙に浮く


眠れなくなるコーヒーを飲んだら宝探しに出発だ♪


♪カイ♪


♪やりたいことは全部やる


楽しいことだけ考える


人生楽しんだモン勝ち


やってやれないことはない


やらずにできたら超ラッキー


やるとなったらやるっきゃない


思い立ったら猪突猛進


若さゆえの特権生かさなきゃソンソン


何度転んでもまた立ち上がる


街中あちこち走り回り星に乗って空を飛ぶ♪


♪エリン♪


♪豪華な服に着飾って気取って歩くお姉さんも


難しい顔したビジネスマンも


ホントはみんな分かってる


子ども心を忘れない


いつかみんなで心を1つにして歌い出す


なにげない日常の中で気に入ったものを少しづつ集めて


全部繋げれば1つの歌が完成


楽しいことを探してるならその気持ちを歌おうよ♪夢を見ようよ


願いを込めて絵を描けば紙から飛び出して動き出すよ♪


♪アンジュ♪カイ♪エリン♪


♪大きな森の木の上で夜空を眺めれば


星が瞬く♪遠くのビルの灯りも瞬く


地上で人々が手を振ってる


三日月のブランコに乗って天使が微笑んでる


誰もが僕らに憧れる


100億人の期待を背負って宇宙に旅立つ


淋しい時は思い出して


souvenir(スベニール)そばにいる


仔猫もピアノもアイスクリームも宙に浮いちゃう世界で


上も下も分からなくなる♪


「とうとうやってきたね、宇宙旅行。」

「初めての無重力空間。」


 アンジュ、カイ、エリンはスバルさんのUFOに乗って宇宙に飛んできた。UFOは宇宙ステーションに到達した。みんなプカプカ浮いていた。


「地球を外から見てみようか。」

 スバルさんの声に反応して、さっきまで壁だった所が一瞬でガラスのように透明になり、そこに宇宙空間が見えた。まんまるい地球が浮いていた。

「これが僕たちの母星、地球か。」

「ホントに青く光ってるノネ。」


 みんなはUFOを出て宇宙ステーションの廊下を浮遊して賑やかな場所に来た。お店らしきものが並んでいる場所で人間も宇宙人も交じり合いながら買い物のようなことをしていた。

「ここは宇宙で食品や道具を手に入れたり娯楽を楽しむ場所だよ。」

「地球とおんなじだね。」

「地球と違うのは品物が何でも只ってこと。」

「じゃあ未来メルヘンシティに似てる。」

「というか実は未来メルヘンシティは宇宙の文化をマネして作ったんだよ。宇宙人は地球人に何でも与えるよ。品物も文化もね。」


「何でも与えられたら自分で作る必要もないから働かないで済みそうだね。だからスバルさんも働いてなかったんだ。」

「働かない方がいいよ。地球人の技術で作るとゴミが出るから。」

「宇宙だとゴミは出ないの?」

「宇宙では誰かの要らないものを別の誰かが欲しがる。だからゴミは出ないし何でも只にできるんだよ。ある人の財産がある人にとっては荷物だったりするし、仕事も好きな人にさせるからお金もいらない。」

「そんな経済は地球ではなかったね。」

「地球でも動植物の世界にはあるよ。動物のフンは植物の栄養になる。動物の吐く息を植物が吸うし、植物の吐く息は動物には欠かせない。」

「う~ん。確かに動植物は要らないモノを誰かにあげてる。ゴミを出してるのは人間だけだ。」


「じゃあ次は宇宙に出てみようか?」

 みんなは宇宙服に着て、外に出た。宇宙ステーションの外壁のそばで宙に浮いた。スバルさんはクルッと回転して逆さまになった。

「こんな風に回ってみて。」

 カイはクルクル上下に回転し、アンジュとエリンは手を繋いで回転した。

「宇宙には上も下もない。クルッと回っただけで上が下になって、下が上になる。それを相対性っていうんだよ。

 価値観も同じさ。地球では人々がみんな上を目指して、競い合ったり、お金儲けしたり、高いビルを建ててるけど、宇宙から見ればそんなの簡単にひっくり返る。

 地球では、お金は誰もが欲しがる。そしてゴミは誰もがいらない。そういう絶対的な価値観が盛んだから、格差が生まれたりする。

 だけど人によって価値観が違うから助け合える。価値観の違う人がいることは争いの元じゃなくて、むしろ平和な社会にとっていいことだよ。」

おわり

< コメント >

 この話の元ネタは奥井亜紀さんの曲「もうなんにもいらない」です。

 それからスバルさんのモデルは、昔ニュースステーションという番組のオープニングアニメに出ていた男の子です。その男の子の名前は分からないので、勝手にスバルという名前を付けて、こんな人だろうなぁという空想で話を作りました。

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