”UNKO”的な面白ろを世に問い続けるための努力と忍耐力|柳澤 大輔さん
6月5日、武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコース クリエイティブリーダシップ特論 第8回の授業内にて、面白法人カヤックの柳澤大輔さんのお話を聴講しました。
今年の3月にUNKOミュージアムという、うんこをモチーフにしたエンターテイメント施設を開設し、現在大きな反響を得ている、面白ろを世にいつも提供してくださる方です。少し初めての方には聴き心地が悪い言葉が続くと思いますが、ご容赦ください。つい最近、うんこという商売になんてならない物体の、滑稽さ・思わず吹き出して誰でも笑ってしまう愛らしさを価値と見据えて、うんこに意味を与えてビジネスに変えたことを本当に素晴らしいと思いました。うんこドリルに便乗したのかと思っていましたが、本当はうんこドリルの数年前にうんこ演算という算数アプリを開発していたようです。ドリルがばか売れして、うんこ演算を貫かなかったことに悔しさを感じてなんとかうんこで花開かせたいと思って考え抜いてできたエンターテイメント施設であるとのこと。こんな誰もが「しょうもな」と愛を込めて笑うこの施設を真剣に取り組んで闘って来られた背景を聞き、ストーリー性に感動し、益々訪れてみたいと思いました。
他の取り組みも「面白ろ」を追求する姿が非常に興味深いです。ビジネスの世界では、「面白ろ」を追求できる、心の余白も、時間もありません。常に数字に追われ、上司の指示に追われ、追われ続ける日々で、いかに「面白ろ」を追求しようとも、組織の中・雰囲気のような圧力で芽が摘まれてしまいます。
そうならないためにも組織や文化を考え抜いて作ったとのことで、これまた非常に興味深かったです。お給料はサイコロで決めると。サイコロというルールを強いて、平等に決めることで、不公平がなく醜いやりとりが起こらない。「面白ろ」に集中することができる、ということのようです。「失敗するなら最速で」という文化も同時に形成しており、とにかく面白ろを創ったら世に問うていくとのこと。その繰り返しでしか、上のような成功するビジネスは生まれないのだなと思いました。
アイデアは週1回1時間出し続ける癖をつけないと、アイデア脳にならないようです。アイデアを出しても当たるまでやり続ける、辛い中で1回当たったら、次も諦めずにもう一度当たるまでやり続ける、という忍耐力が必要とのこと。スポーツ選手と同じです。このような絶え間ない努力の結果でしか、新しい意味を形成するような価値を創造するような仕事は生まれないと強く認識しました。見習ってアイデア脳のトレーニングと忍耐力を養いたいと思います。
最後に、柳澤さんの「面白ろ」を追求する姿勢に対して、売上など経営指標等の重要性を示されており、多少の違和感を感じました。面白ろ法人カヤックという会社のタイトルと実施している内容からくるユニークさをイメージすると、面白いことを世に問うて結果世間がどう見るかでビジネスをしていくのだ、と語っていただける方がスッキリしたのですが、どうして売上等の数字の重要性を口すっぱく語られていたのか。数字を気にかけることは当たり前であるものの、面白法人には逆を貫き続けて欲しいという憧れがそういった違和感に繋がったのかもしれません。そのような表現をせねばならなかった、あるいはならなくなったこのビジネス界の風潮自体を変えていく人になりたいと改めて思いました。