見出し画像

何事も、学んだことを意識的に忘れることからのスタート|平田 智彦さん

9月18日、武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコース クリエイティブリーダシップ特論 第11回の授業内にて、Ziba Tokyo代表の平田智彦さんのお話を聴講しました。

平田さんがお話しされていた内容について言及する前に、興味深かったことがプレゼンの進め方です。プレゼンの進め方にも哲学があり、プレゼンでのインタラクションを通じて、プレゼンの内容を深く理解するに至りました。お話しされる内容で理解させるだけでなく、お話しの進め方でも腑に落ちるというのは自分にないものであったので、素晴らしいと思いました。素晴らしいと感じた点は、「Unlearn=学んだことを意識的に忘れる・バイアスを外す」と、「答えを伝えるのではなく余白を相手に与えて相手の中で答えを見つけられる手助けをする」の2点です。

プレゼンの中で、「疾走する馬を描いてください」と言われて、馬を一生懸命描いた私たちに、なんで馬の絵を描いたんですか、と聞かれました。確かに。文字でも良いし、そもそも疾走している状態を描くことに対して疑問を持たなかったことにも気づく。

画像1

自分にバイアスがあることを最初に認識させられて、Unlearnしなければと思わせた上で、伝えたい内容の説明をしてくださったので、すぐにUnlearn状態の体験を味わうことができ学びが深くなりました。このようにプレゼンしたい内容を伝えるだけでなく、聞き手の可能性に委ねて、意識変容を促すアプローチが実感ができ、自分がプレゼンする際に実際に試してみようと思いました。

画像2

Zibaの支援事例である、Umpqua Bankの事例をご紹介していただきました。元々農林業関係の方を顧客に持つ銀行で、そこに来るお客さんは汚れた洋服で、接客している店員もだらしがなく、店頭自体もキレイと言えるものではなかった。その体験を、180度変えたのがZiba。接客カウンターはコンシェルジュ形式にし、コンシェルジュであることを演じさせるためのデザインになっている。そうすると店員自身もその役を演じたくなり、そうかっこよく振る舞い始める。
顧客側も同様で、ガラス張りのおしゃれな空間にしランクが上の銀行に通う自分を演じさせることで、汚れた服や長靴で来る人がいなくなり、ハイソな格好で来るようになったと。
一番興味深かったことはその銀行の体験の変化を通じて、顧客自身がこの銀行に対してオーナーシップを持つようになったという点です。オーナーシップを持ち自らがその顧客という受け身の状態ではなく、共創する一人のメンバーとして振る舞うようになり、それにより更にビジネスが向上したとのこと。大変素晴らしいと感じました。

サービスデザインで言われている、ユーザと価値共創していくという考え方がまさにできる手法だと理解しました。ユーザに価値を提案するという時代から共創するという方向性に転換するイネーブラーとなる企業がまさにZibaTokyoかと思います。私自身も価値提案ではなく価値共創のあり方を模索することを目指します。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?