見るとFigma Configに絶対行きたくなるnote:Config振り返り
こんにちは。Ubieの村越(@smurakos)です。
2024年6月26-27日にサンフランシスコのMoscone Centerで開催されたFigma主催のデザインカンファレンス、Figma Config2024に現地参加してきました。
ノリで行くことを決めましたが「後でYouTubeにアップされるしそれを見ればいい」と直前まで思ってました。しかし、結果的には参加して良かったし、デザイナーなら一度は参加した方がいいな、と思ったので読むと来年は絶対行きたくなる情報を残しておきたいなと思いました。
まず最初に。これはデザインカンファレンスではなく巨大なコミュニティミートアップだった
現地参加する最大の理由はこれに尽きると思います。個人的な所感ですが、Configの参加目的の7割、8割はデザイナーとの交流だと思います。正確な数値はわかりませんが、FigmaのDesigner Advocateの谷さん(@hiloki)によると、去年の参加者が8500人に対して、今年はそれを上回りおそらく1万人近くのデザイナーが集まったそうです。そんなイベントはほとんどないでしょう。
会場に入った瞬間にまず人の多さに圧倒
会場はSOMA地区にあるMoscone Centerです。Config期間中は朝7時にドアオープンしますが、すでに多くの人が会場に来て、コーヒーを片手に話したり、ホールで渡されるSwagのトートバッグをカスタマイズしたり、Figmaの物販に並んだりしていました。特にバッグカスタマイズと物販は朝8時前には大行列になるので、早めに行くことをお勧めします。
世界中のデザイナーとの交流
この機会に医療やヘルスケア、ヘルステックの領域で働くデザイナーたちと会ってディスカッションする時間をもらいました。都市や国の違いからくる医療制度や医療課題、ビジネスの進め方、患者体験の設計の違いなど、刺激的な話ができました。話した人たちの何人かは日本で働くことに興味を持っていて、東京に来たときにまた会おう、と別れました。もっと多くの人と話す機会も得られたと思いますが、それぞれと深い話ができたので得られるものも大きかったです。
Config Commons
Configの前日6月25日、Moscone Center向いのYerba Buena GardenでFigma主催のPre-Party「Config Commons」が行われました。現地の人たちは「Coachellaみたい」と言っていましたが、フェスのようなオープンエアで賑やかな雰囲気の中でみんなで盛り上がりました。会の終わり頃にはCEOのDylanも来ていて、少し話すこともできました。
日本からも @takizawave がライブを行い日本人の存在感を示しまくってました。
日本人も多く現地に来ていた
Ubieからは僕だけ参加しましたが、日本からかなりの人数が来ていたようで、日本人のデザイナーとの交流も多くできました。一緒にセッションを見たり、ご飯を食べたり、買い物したり、「修学旅行みたい」と言ってましたが、まさにそんな感じでした。英語が苦手な人でも日本人が多いのでサポートしてもらえます。旅を通じて仲良くなった人や、久しぶりに会えた人など、新しい出会いや再会も良かったです。
個人的Config2024の振り返り
Craft is a differentiator、人間の創造性やものづくりの楽しさの再確認が今年のテーマだった
Figma CEOのDylanのオープニングキーノートで、「Craft is a differentiator」というメッセージが印象に残りました。今年のFigmaのアップデートは大きく、
複雑になりすぎたFigmaの再解釈=UI Redesign
デザイナーとエンジニアのワークフローを円滑にする=Dev Modeの改善
デザイナーの創造性を解放する=AI機能群
の三つに分かれます。その中でも特に議論になりそうなのがAI機能群です。ConfigのセッションでもAIを取り扱ったものが多く、Figmaのメッセージは一貫して「AIがデザイン作業を置き換える」のではなく、「テクノロジーが人間の創造性を拡張する」というものだったのが個人的にポジティブでした。テクノロジーを活用することで、人間はより創造的な仕事ができるようになるし、デザインの対象も広がります。だから「ものづくり(Craft)」を楽しもう、というメッセージだと思いました。
今回発表された、Asset検索の強化やLayer Renameなど、地味な日々の困りごとを解決するアップデートも素晴らしいと感じました。
個人的にはSlide作ることも多いので、Figma Slidesのアップデートも良かったです。実は年間350万件もFigma上でスライド資料が作られているというファクトに対して、スライドツールをリプレイスするかもしれない新機能を出してくるアップデートもさすがFigmaという感じでした。
デザイン=スタイリングではなく、デザインとは個人的な体験であり、物語であり、感受性から生まれるという一貫したメッセージ
Dylanのキーノートだけでなく、全セッションがデザインは単なるスタイリングではなく、人間の体験、思想、感受性から生まれることを強調してい他のが良かったです。特に印象に残ったのは以下の2つのセッションです。
A look inside Teenage Engineering
Teenage EngineeringのCEO、Jesper KouthoofdがOP-1シンセサイザーに至るまでのクリエイティブの変遷について語りました。
I always design for myself(自分のためだけにデザインする)
(Dylanの「ユーザーテストを信じますか?」という問いに対して)NO! ユーザや他の人の意見を聞きすぎると本当のことがわからなくなる。デザインはGroup Decisionには向かない。
Good Design doesn't have to be beautiful, it has to be personal(良いデザインは美しくなくて良いが、個人的であるべき)
Good design also equals to good problem-solving or good engineering
など、多くの金言がありました。自分の人生で得たインスピレーションや刺激をプロダクトデザインに反映することが、良いデザインにつながると感じました。
Leaving fingerprints: product, design & stories at The Browser Company
ブラウザソフトウェア「Arc」を提供するBrowser Companyのセッションでは、Arcの裏側にある思想が語られ、とても印象的でした。特に、
Start with people:スピーカーのKarlaのお父さんが使っていたパンチカードをArcのユーザアカウントのメタファーに使用し、父と娘の歴史を繋ぎ、その人の存在を残すという考え方。また、カードにはユーザが自由にタイトルを付けられることで、自己表現が可能になる。
Look outside of technology:絵画やスケッチなどテクノロジーの外からインスピレーションを得る。
Tell the story that scares you most:自分が最も怖いと思った話を共有し、お互いをより理解する。
ソフトウェア企業でありながら、重要なことはテクノロジーの外にあり、常に人間を中心にプロダクトのブランドを作るという思想に共感し、刺激を受けました。
Figma HQのオフィスにもお邪魔しました
Figma Japanの方の計らいで、Moscone Center近くのFigma HQのオフィスにもお邪魔しました。会議室の名前、オフィスの間取りや空間設計など細かいところにもクリエイティビティが詰まっていて、とても刺激を受けました。また、トイレにもGender Neutral用が設けられていて、グローバルな環境で働く人々を尊重している様子が伺えました。
おまけ:完全自動運転タクシーのWaymo Oneも体験できました
ちょうど滞在期間中にインビテーションコードが必要なくなって誰でも使えるようになった完全自動運転タクシーのWaymoを体験してきました。「誰とも話さなくていい、運転は交通ルールを基本的に遵守する」という意味では人間のドライバーとは、、、となってしまうくらい合理的な体験でした。
まとめ
サンフランシスコの空気、Figmaというプロダクト、世界中のデザイナーたち。現地に行くことでその熱量を直に感じ、自分の考え方や視点にも大きな広がりを与えてくれました。来る前はフライト時間や時差、治安などが気になってましたが、実際に来てみてそれは杞憂だったと感じました。
来て良かったと思うし、興味のある人はぜひ来年は現地参加をお勧めします。余談ですが、Configのチケットは年末くらいにアナウンスがあり、Early Bird(早期割引)で75%くらいの価格で手に入るので、チケットだけ先にゲットしてあとのことは後で考えるのもアリです。