やさしい猫に一言いいたい
シングルマザーの保育士ミユキさんが心ひかれたのは、八歳年下の自動車整備士クマさん。
出会って、好きになって、この人とずっと一緒にいたいと願う。当たり前の幸せが奪われたのは、彼がスリランカ出身の外国人だったから。
大きな事件に見舞われた小さな家族を、暖かく見守るように描く長編小説。
・出会って、好きになって、
この人とずっと一緒にいたいと願う。
わかります。
・当たり前の幸せが奪われたのは、
彼がスリランカ出身の外国人だったから。
違います。
スリランカ出身の「不法滞在」の外国人だったから。です。
スリランカ出身の外国人で、日本で正しく生活している人はいくらでもいます。留学生だって、料理人だって、配偶者だっています。
家族三人で暮らしたい、ただそれだけの望みを叶えるのがこんなに難しいなんてシングルマザーの保育士ミユキさんが心ひかれたのは、八歳年下の自動車整備士クマさん。娘のマヤも面倒見のいいクマさんに懐いて、すったもんだはありつつも、穏やかな日々が続くはずだったのに……。出会って、好きになって、ずっと一緒にいたいと願う。そんな小さな幸せが突然奪われたのは、クマさんがスリランカ出身の外国人だったから。〈ハラハラしてます〉〈ラストがよかった〉〈知らないって恐ろしい〉読売新聞連載中から反響続々中島京子の長編小説最新刊
物語の大前提となる不法滞在を「すったもんだはありつつも」
でまとめるのはいかがなんでしょうか。
そもそも入管は別に愛を否定している機関ではありません。
ご存知ない方に説明しておくと、入管職員も結婚して、家庭を持っている方は大勢いますが、海外旅行が好きな方もいます。
更に言えば、海外にルーツがある日本国籍の方もいますし、
国際結婚してる方だっています。
この物語のあらすじを見ていると、
「結婚して本当の夫婦なのに外国人だから退去強制手続きを進められた!」
「結婚して本当の夫婦なのに外国人だから偽装結婚を疑われた!」
というくだりがあるようですが、入管は友達でもエスパーでもないので、
状況証拠やインタビューの中で、ビザの是非を判断します。
つまり、疑うのが仕事ということです。
入管は、許可するために存在するわけではありません。
許可とは法律用語で、
法令による特定の行為の一般的禁止(不作為義務)を特定の場合に解除し、適法にこれをすることができるようにする行政行為
とされています。
つまり、本来禁止されているものを解除しているだけにすぎません。
よって、入管は許可していいかどうかを判断するのみで、
立証責任は本人にあります。
今回のお話でいきますと、
【プラス要素】
日本人と結婚した
【マイナス要素】
当初の期限を超えて不法滞在していた = 当初の入国理由が嘘だった
出頭申告しなかった = 意図して不法在留を継続していた
不法就労していた = 社会の一員として義務を果たさなかった
物語としては外国人側の勝訴で終わっています。
そもそも、結婚自体は誰も否定していません。
ルール上、退去強制になったとしても、結婚は成立します。
単純にオーバーステイなら、5年拒否です。
5年後に申請すれば、来日するチャンスが復活します。
5年が長いとは言いますが、
じゃあなんでオーバーステイしたんでしょうか?
また、スリランカで夫婦で過ごすことには何の障害もありません。
スリランカに住むのが無理でも、
日本人として短期滞在で会いに行くことだってできるでしょう。
それは難しいと言いますが、
じゃあなんでオーバーステイしたんでしょうか?
出頭申告さえしていれば、わずか1年拒否です。
オーバーステイの代償としては、格安だと思います。
そもそも、オーバーステイしなければ、
外国人だって結婚して日本で暮らすことに何の障害もありません。
みんなルールを守っています。
第七十条 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは禁錮若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はその懲役若しくは禁錮及び罰金を併科する。
(中略)
五 在留期間の更新又は変更を受けないで在留期間(第二十条第六項(第二十一条第四項において準用する場合を含む。)の規定により本邦に在留することができる期間を含む。)を経過して本邦に残留する者
軽い罪でしょうか?
目の前の人を救いたいがために、在留管理制度をないがしろにすることで、
犠牲になるものを考えていただきたいと思います。