ノマドワーク8年のリアル。僕が得たものと失ったもの
僕がノマドワークを始めた理由は、単純明快だ。日本が嫌いだったからだ。食べ物だけは好きだったけど、それ以外は全然。花粉症、自然災害、夏の灼熱、冬の極寒、意識の低い人々…。そして、生まれ育った国だからこそ、新しい刺激がほとんどない。僕はずっと考えていた。「自分にとって一番心地いい場所はどこだろう?」と。ノマド生活は、そんな疑問に答えを見つける旅の始まりだった。
旅するノマドの楽しさ
ノマド生活を始めて、最初に感じたのは日々の刺激だ。僕は3年間ほど「ノマドバックパッカー」のような生活をしていた。観光ビザで滞在できるのはどの国も大体3か月だから、3か月ごとに次の国へ移動する。確かに、引っ越しの準備や移動そのものは面倒くさい。けれど、それを上回る価値があった。
特に、初めて訪れる国の文化や人々との触れ合いは、新しい発見の連続だった。当時は、「もっともっと世界を見てみたい」という純粋なモチベーションが僕を支えていた。でも今は、ほぼ世界を見てきた結果、移動自体に興味が薄れてしまった。だから、なるべく移動しない生活を選んでいる。
孤独とお金の問題
幸運にも、僕はノマド生活中に大きなトラブルに巻き込まれたことは一度もない。でも、孤独とお金の問題は常につきまとった。
まず、お金。僕のビジネスは自営業だから、収入が安定していなかった。稼げるときは物価の高い国でリッチに過ごし、稼げないときは物価の安い国で節約する—そんな生活を続けていた。
そして、孤独感。特にヨーロッパでは、一人で行動しているとものすごく浮いてしまう。一人で食事をしている人もほとんどいない文化だから、孤独感が際立った。話す相手もいない中で、毎日が流れ作業のように過ぎていく感覚に陥ったこともあった。出会い系やペンパルサイトで友達を探そうと頑張ったけれど、なかなかうまくいかなかった。
それでも、一人で突っ走れたのは若さがあったからだと思う。今はもうそんな気力はないけれど、当時は孤独を飲み込んででも続ける価値を感じていた。
変わった価値観
ノマド生活を続ける中で、僕の価値観は大きく変わった。最初は「世界を見たい」という純粋なモチベーションだったけれど、今は「世界を取りたい」という野心が原動力になっている。正直、移動し続けることには疲れているけれど、目的のために半分いやいやながらも世界を回り続けている自分がいる。
得たものと失ったもの
ノマド生活で得た最大のものは英語力だ。英語がなかったら、今のビジネスもなければ、今の彼女もいない。ノマド生活で培った英語力は、間違いなく僕の人生を変えた。
一方で、失ったものはお金だ。稼いだものを全部使う生活をしていたから、今思うと、少しでも投資に回していれば…と後悔する部分もある。豪遊していた日々は楽しかったけれど、結局何も残っていない。それでも、そんな経験があったからこそ、今の僕がいる。
最後に
ノマド生活は楽しいことばかりではないし、犠牲も伴う。それでも、得られるものが確かにある。そして何より、自分の価値観や人生観を大きく変える旅になる。もし今、ノマド生活を考えているなら、ぜひ一歩踏み出してみてほしい。その先には、自分でも想像できないような新しい世界が待っているから。