【F1】強烈恩返し弾の名古屋FP甲斐稜人「良い時も、悪い時も、毎日が本当に楽しい」
町田市立総合体育館が、何とも言えない雰囲気になった。7月30日、第10節のペスカドーラ町田vs名古屋オーシャンズの大一番でのことだ。首位のホームチームが2-1とリードしていたなかで迎えた後半10分だった。
町田の攻撃を凌いだ名古屋は、GK篠田龍馬がボールを持つ。右サイドをFP甲斐稜人が駆け上がったのを確認すると、篠田は左前方に視線を移す。左サイドでは、FP八木聖人が駆け上がっていった。篠田は左に投げる素振りを見せながら、右に走る甲斐にパスを出した。ボールは戻るべきか、前に出るべきか、一瞬迷いが生じたFP伊藤圭汰の頭上スレスレを通って、甲斐のもとへ。父、甲斐修侍監督のいるベンチの目の前で名古屋の55番は鮮やかに胸トラップでボールを収めると、その流れのまま左足のボレーを古巣のゴールに突き刺した。
この試合の重要性を理解していた町田市立総合体育館だが、ゴールを挙げたのが町田の下部組織出身選手で、しかも昨シーズンまでは負傷に苦しんでいた甲斐稜人だったことで、何とも言えない雰囲気になっていた。
試合後の公式記者会見、名古屋の55番のゴールについて聞くと、甲斐修侍監督は「マグレが決まってしまったのかなという感じ」と苦笑いしながら冗談を飛ばしたが、「あとからちゃんと分析しますが、あの時間帯に長い距離を走られて、スペースを作られてしまったことに、チームとして目を向けないといけない。後半の疲れている時に、そういうエラーは起こりやすい。今後そういう展開にならないように修正していきたい」と、自チームにフォーカスした。
このゴールが決まるまで、特に前半の甲斐のプレーは決して良いものではなかった。古巣対戦に明らかに気負っていて、いきなり2つのファウルを重ねた甲斐にフエンテス監督も「落ち着け」と声をかけたほどだ。それでも甲斐は出場時間を与えられるなかで「チャンスがあったら決める準備ができていた」という。
名古屋の甲斐のFリーグ初ゴールは、いかにして生まれたのか。試合会場の後片付けをする町田のチームスタッフが意図的に送ってくる愛のある冷ややかな視線を浴びながら、甲斐に話を聞いた。
町田戦後のFP甲斐稜人のコメント
――お疲れさまでした。チームとしては3位になったなかで首位の相手との試合。個人としては古巣対決。どんな思いで試合を迎えましたか?
甲斐 まず、ここでプレーできるっていう気持ちは、すごい嬉しかったです。昨シーズンはケガをしていて、このピッチでプレーするのは1年半ぶりでした。ケガをしているなかで、町田のファン・サポーターにはすごくサポートしてもらったり、温かい言葉をもらっていたのに、そのなかで移籍して、ケガから復帰した姿をここで見せられていなかったことはすごく心残りでした。そういう意味では、ここでプレーできるということで、入場の時に、ちょっと来るものがありましたね。
――チームが開始6秒でゴールという最高のスタートを切った一方で、甲斐選手のスタートは、いきなり2ファウルと、あまり良くありませんでした。
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