プレーオフ決勝で連敗も……FP皆本晃が胸を張る立川が見せている全日本選手権との違い
最長で5試合が予定されていたプレーオフ決勝だが、名古屋オーシャンズが最短の3連勝で優勝を決めてしまうかもしれない。初戦で立川アスレティックFCを5-1で破った名古屋は、第2戦でも5-2で勝利。スコア上は第1戦よりも詰まったが、第1ピリオド終了時点で4-0としており、第2ピリオドは無理をしなかったため、スコア以上に両チームの点差を感じさせる試合だった。
個人的には、立川の要であるFP皆本晃が責任を感じているのではないかと思っていた。プレーオフ決勝の第1戦が、決して得意ではない名古屋が勢いづいた要因の一つには、最初に日本代表FP平田ネトアントニオマサノリがゴールを決めたこともあったと思われたからだ。
名古屋の9番を背負う平田だが、前任者の元日本代表FP森岡薫ほどゴールを量産できるわけではない。それでもチームのために身を粉にして走り、戦い、ぶつかるアタッカーがゴールを挙げれば、チームは一気に勢いづく。
プレーオフ決勝第1戦の先制点は、平田が右サイドで皆本を完全に振り切って挙げたゴールだった。名古屋が「平田が点を取ったぞ!」と盛り上がったのに対し、立川からすれば「晃でも止められないのか……」と気落ちしてもおかしくない。その意味で、責任を感じているのではないかと思ったのだ。
その場面について皆本に聞くと、意外な反応があった。平田のシュートを打った位置がタッチライン付近だったこと、ゴールを守っていたのがGK黒本ギレルメだったことから、防げるという感覚を持っていたのだという。そして「平田くんが、自分のイメージの上を行く、すごいシュートを決めた」と、潔いと言うべきか、清々しいと言うべきか、相手に上回られたことをあっさりと認めたのだ。
1月のリーグ戦の対戦で、立川は名古屋に完勝した。この試合があったため、立川と名古屋の力がかなり接近したようにも思われた。だが実際には、この時期、すでにレギュラーシーズン1位を決めていた名古屋は、このプレーオフ決勝に照準を合わせてフィジカルトレーニングを行い、肉体を追い込んだ状態で試合を戦っていた。そして、この敗れた試合で立川をしっかり分析し、本番に臨んでいるのだ。
ある意味で、立川はこれまで経験したことのない『最高の状態の名古屋』と戦っているとも言える。そうしたなかで皆本は、結果が出ていないものの、守備に徹して勝利した全日本フットサル選手権の決勝とも違う戦い方をしているチームに、前向きな印象を持てていた。
以下、プレーオフ決勝後の立川FP皆本晃のコメント
――若いチームだが、初日から切り替えられなかった?
皆本 全然、切り替えられなかったとは捉えていません。ただただ実力として、向こうが上回っていた。プレーオフに関しては『そんなに勢いがどうという試合にはならない』『リーグとは別物かな』という風に思っていたので、普通に力通りにスコアが出てしまったかなと思います。
――逆に言うと、勢いを使わずに戦うイメージ?
皆本 そうですね。いつも通りやった結果だったら、こうなったかなという感じがあります。変な話、この2試合、弱者の戦い方をしたわけではありません。名古屋にリスペクトしながらという試合をしたつもりはない。それがゆえに、点差が広がったのかなと思います。
――勝つために違う方法があった?
皆本 それはあくまで結果論なので。もしかしたら初めからボールは捨てて、プレーしないでディフェンスだけやるという全日本選手権のような戦い方のほうが、勝つ確率がもしかしたら高かったかもしれません。でも、これはあくまで終わってから言えること。この戦い方を1年間やってきたなかで、ある程度、自信を持って迎えた試合だったので。それは結果だけ見れば、そうしたほうがいいのかなという部分はあります。ただ、全日本選手権の時は僕たちのシュート数は5本で、名古屋に49本とか打たれていました。それでも結果は勝った。今回はそうした戦い方はしていませんが、今日も昨日もシュート数は増えてきている。チャンスの数も圧倒的に増えています。ただ結果だけを見れば、全日本選手権は勝っているけれど、今回は2試合とも負けている。こういうもんかなという風には思います。
――リーグ戦で名古屋以外に優勝に名を刻んでいるのは大阪だけ。立川にも今回、そのチャンスがあるが、それでも勝利に徹しなかったということ?
皆本 ある意味、自信を持っていたからですね。2連敗したから言えることと、その前の段階で言えることは全く別のものだと思う。結果だけを見たら「そうした方が良かった」と誰もが思いますが、僕たちはプレーオフ決勝前に誰もそう思わなかった。いける自信があって、この戦いをして、結果的にこうなった。そこまで悲観はしていないです。
――肌感覚で、名古屋の違いを感じますか?
皆本 そうですね。8月にやった時は名古屋は強かったなという感覚がありました。逆に1月にやった時は、(名古屋が)プレーオフに進むことは決まっていた(消化試合だった)ことも僕たちは分かっていました。試合に出る選手、出ていない選手がすごくはっきりしていました。今日も出場時間がある選手、ない選手がはっきりしていましたが、タイトルがかかれば、そうなることは分かっているので。立川でやった時は、そうではなかったということは分かっています。あの時に勝ったから、今回も勝てるという思いはまったくなかった。それは別物かなと思っていました。
――0-4で前半を終えて、ハーフタイムでどんな話し合いをした?
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