見出し画像

プレーオフ前に入籍のGK黒本ギレルメ、PKストップで引き寄せた決勝進出

 プレーオフ準決勝の立川アスレティックFCとバルドラール浦安の一戦。試合前から注目の一つだったのは、昨年のAFCフットサルアジアカップを制した日本代表の守護神対決だった。立川のゴールマウスにはGK黒本ギレルメ、浦安のゴールマウスにはGKピレス・イゴールと、ともに帰化をして日本代表選手となったゴレイロが構えた。

 イゴールが前半のうちに相手の1対1を何本も止めれば、黒本もブラジル代表FPガリンシャのPKを止め、簡単にゴールを許さない。GKが良いと、試合が面白くなる。その言葉を体現するように、両チームのGKは相手のシュートを止め、試合は白熱した。

 レギュラーシーズンを2位で終えた立川は、1勝すればプレーオフ決勝に進めるという有利なレギュレーションのなか、先制ゴールを許したものの、FP酒井遼太郎のゴールですぐに追いつき、シーズン終盤の勢いそのままに一気に逆転。最終的にはFP上村充哉の驚異的な精度のパワープレー返し2本もあり、5-1と大差をつけてリーグ3位の浦安を退けている。

 この試合で対峙したGKイゴールについて、現在のチームについて、決勝の名古屋戦について、攻撃的なGKになった原点について、さらには結婚の話まで。熱戦の後にも関わらず、20分以上に渡って、様々な話を聞かせてくれた。

以下、プレーオフ準決勝後の黒本ギレルメの一問一答

――結婚おめでとうございます。

黒本 ありがとうございます(笑)。

――プレーオフ決勝進出もおめでとうございます。

黒本 ありがとうございます。肩は痛いですけど、嬉しいですね。前半は少し、自分たちらしいプレーができなくて、すぐに後半に1失点を喫してしまいました。『どうかな』『明日も試合かな』と思っていましたが、すぐに酒井(遼太郎)が決めてくれました。あれが大きかったですね。

――先制されてから、20秒くらいでしたからね。

黒本 そう。でも、そこから僕ららしいプレーができて、自信を持ってできるようになって勝利はできました。

――前半からプレスがハマって、イゴールとの1対1を作るなど、チームとして悪いようにも見えませんでしたが、あまり良かった印象はない?

黒本 プレッシャーは良かったよ。ただ、ボール回しがよくないなと思っていました。プレッシャーは結構かけることができていましたね、前半は。相手も結構、プレッシャーが高い位置から強かったし、早い時間帯の先制点を取りたいんだなと思っていました。チャンスはいっぱいあっただけに、先制点を取れなかったのは悔しいですね。

――浦安のGKイゴールが前半からすごく止めていました。ああいうパフォーマンスを逆サイドで見せられると、気持ちが高まりますか?

黒本 ウザかったね(笑)。自分も止めないといけないと思ったけど、それ以上に怒っていました。

――怒っていた?

黒本 向こうに素晴らしいGKがいることは分かっている。けど、決めないといけない。そっちの気持ちの方が強かった。本当にいっぱい止められた。

――1対1の場面でも、3回か4回あったと思います。

黒本 そう。後ろから全部見えているからね。(イゴールが)デカすぎる。マジで。羨ましい。あとセグンドへの反応もすごかった。

――金澤空選手のシュートを止めた場面ですね。

黒本 そう。すごい。あれで42歳……。凄すぎるな。6個上だよ。信じられない。

――黒本選手も、まだまだできるってことですね。

黒本 あと少しね。42歳までは、たぶん、いかないと思う。いろいろ結果次第だと思いますけどね。

――黒本選手にも試合の行方を左右するセーブがありました。PKストップです。あの場面、左に飛んで止めましたが、その前に左肩を痛めていましたよね? あの時、かなり痛がっていたのは、引き分けの場合にPK戦もあったから、そっちに蹴らせようという駆け引きをしていたのかなと思っていたのですが……本当に痛かったんですか?

黒本 痛かった(笑)。ガリンシャは、大阪戦の時もPKを止められていて、その時は右に蹴っていました。だから「右はないな」と思っていたんです。だから、左か、真ん中だと思って意識していました。PKは、PKだからね。難しい。良いシュートでも止められることがあるし、悪いシュートでも入ることがある。だから、ラッキー(運)だね。

――あそこで1点差にされなかったのは大きかったですね。

黒本 そうだね。酒井の1点目とPKを止めたのは、大きかった。もし入っていたら、また全然違う試合になっていたと思う。

――ガリンシャが点を取っていたら、浦安は勢いづいたでしょうね。

黒本 そうだし、引き分けになっていたら、すぐにPK戦で、相手にはイゴール選手がいますからね。

――その日本代表GK対決が見たかったです(笑)。

黒本 遊びでやりましょう(笑)。でも、全日本選手権ではそれがあるかもしれません。

――次のプレーオフ決勝は、名古屋と最大5試合をして3試合勝たないといけません。すごく難しいミッションだと思いますが。

ここから先は

3,143字

¥ 150

FutsalXでは、引き続き、国内各地での取材や日本代表戦の海外取材なども続けていきたいと思っています。今後、事業を継続、さらに拡大していくうえでは、資金が不可欠です。いただいたサポートは、取材経費や新たなコンテンツ作りなどに使用させていただきます。ぜひ、ご支援ください。