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【対談】北海道の水上玄太選手兼GM×立川の皆本晃選手権代表理事の本音「開幕戦は集客まで手が回らない!」

 Fリーグの2023-24シーズンが開幕して2週間が経った。今シーズン、ここまでリーグ戦を12試合消化して、観客数が1,000人を超えた試合は4試合のみ。コロナ禍の制限は解除されたとはいえ、まだまだ集客には苦しんでいるクラブが多い。

 昨シーズンから、これまで選手としてプレーしてきたエスポラーダ北海道のFP水上玄太、立川アスレティックFCの元日本代表FP皆本晃が、クラブのフロント業務を兼任することとなった。前者はGMとして、現場の戦力のことを中心に営業も行い、後者はクラブの最高責任者として初の2000人動員も実現した。

 選手とフロント業務の両方をこなす1シーズンを過ごし、新シーズンにどんな目標を掲げているのか。開幕戦が終わった直後、両者に対談の時間をつくっていただいた。

【特別対談】北海道GM兼FP水上玄太×立川代表理事兼FP皆本晃

――今日はよろしくお願いします。先日、水上選手の原稿をアップした時に皆本晃選手から「俺には決定権がないので、玄太くんとは少し違いますよ」と、連絡をもらいました。あらためて、2人が現役選手をやりながら、どういうことをしているのかを最初に教えてください。

皆本 どうぞ、先輩。

選手をしながら監督やチームメイトを評価する難しさ

水上 僕はGMとして、運営・経営業務をしています。でも、メジャーリーグのGMのように絶対的な権限を持っているわけではなくて、案を出したり、こういうことをやりたいという要望を出して、運営面、経営面は、最終的にはオーナーに決断を仰いでいますあとはチームの強化に関しては、僕が割と決定権を持っていますね。もちろん、最終的に『こういう風に行きます』と、お伺いは立てるんですけど(笑)。

皆本 僕とはまさに逆ですね。僕の肩書は代表理事で、運営側の決定権を全部持っています。お伺いを立てる人間がいないのですが、唯一、決定権がないのが現場という感じで、現場の決定権はゼロです。誰を監督にするか、誰を獲得するかという決定権は全くない。そこはGMの森佳祐さんが監督や練習スケジュール、現場の部分に関しては決めてくれます。現場から「この選手を取ります」「監督は彼にします」というのが上がってきたら、基本的に僕はノーとは言えない。唯一、ノーということがあるとすれば、「人間性的に…」とか、「クラブとしてそぐわない」っていうことが分かっていた場合は、口を挟むかもしれませんが、ピッチ上のパフォーマンスでどうこうとは、僕は言えない感じですね。

――金澤空選手が今回、名古屋オーシャンズに移籍する際に「晃さんに相談した」と言っていましたが、それはもうクラブの代表としてというよりは、一人の選手として?

皆本 そうですね。選手と、あと現場サイドは当然出したくないのは当然なので。それはもう契約とか、相手チームも関わってくる話になります。僕は「この選手を取りたい」って決めることはしていなくて、GMたちが「取りたい」って決めたら、そこの交渉には入ることがある感じですね。なので、ある意味、決定権はあるようでないような感じです。
 だから、玄太くんがすごいなと思うのは、選手をやりながら現場のことをやっていること。だって、自分もプレーしながら、隣の選手を評価するわけじゃないですか。それって難しくない? っていうか、気まずくない(笑)? 僕以上によっぽど監督も気を使うと思うんです。

水上 現役の選手をやりながら、GMをすることで、風通しがよくなっている部分もあると思うんです。でも、いざ契約の話をする時は、面と向かって2人ですると、まぁ気まずいですよね。

皆本 引退していたら、また別でしょうけど、例えば年俸を下げたとして、その人とまた一緒に試合に出るって、なかなか気持ちの整理が難しそうだし、ある意味、ちゃんとしていないといけないし、線も引かないといけないと思うので。僕はそこが玄太くんとは大きく違って、選手を評価はしないので、そこのストレスはそんなに感じていません。現場では、身軽というか、ただ選手としてやっているだけなので。

現場ではプレーに専念している皆本

――評価しながらプレーするのは難しかったですか?

水上 僕自身も難しいですし、周りに気を遣わせないようにはしないといけないと思った1年でした。顔色をうかがわれながらプレーされてもいやだし。そこは僕も割り切って、もちろん一緒に練習やる、試合やる時は、選手としてしっかりやる。フロントの人間として、もちろん業務連絡を伝えないといけないことはあるし、そういうことは伝えますが、それ以外はいち選手として、みんなと接しています。それこそ馬鹿なことを言い合って、ワイワイと楽しくやって、というのは意識しています。

――でも特に今シーズンの開幕前に誰かに戦力外通告をすることなんかは、なかったですよね?

水上 そうですね。うちは、僕の前からずっと戦力外にするっていう考え方はないんですよ。それこそ『頑張りたい』って言う選手だったら、ずっとエスポラーダにいてもらう。カテゴリーが変わることはありますけれど。今、プロでやっている選手がいれば、そこを切ったりとか、シビアな部分っていうのはもっともっと出てくると思うのですが、まだプロ化できていないのは、僕にとっては唯一の救いかもしれません。

――今、プロ選手はゼロなんですね。

水上 ゼロではないですが、ほんの一握りです。プロの選手が多く出てきたり、そういう判断をしないといけなくなったら、引退してやる方がラクだろうし、お互いにいいんだろうなと思っています。

――今は現場に関わっていない皆本選手も、将来的に引退したら、こういうところも携わりたいのでは?

皆本 もちろん、そうですね。引退したらもうゴリゴリに行きますよね、そこからは。選手の間は、同じ選手を評価する自信はないですし、そこまでうまく振る舞える自信もありません。もっとも、もうすでに気を遣わせているとは思いますけど。ただ、比嘉さん(比嘉リカルド監督)が、そんなに気を遣わずにやってくれるのは救いですね。構わずに、僕にも文句を言ってくれるので。

――比嘉さんはブラジル出身ですし、プロの経験も豊富なので、そこは割り切ってくれそうですね。

皆本 そうなんですよ。比嘉さんじゃなかったら、難しかったかなと僕は思っているんです。いくら「僕は、選手の時は選手だけだよ」と言っても、やっぱり気を使うじゃないですか。でも、比嘉さんはもうその辺の遠慮は一切ない。ブチ切れてくれるので(笑)。そのおかげで成り立っている感じですね。

水上 ハハハ(笑)。

選手に分け隔てなく厳しく接する比嘉監督

昨シーズンの名古屋戦後、一気に増えた立川のスポンサーだが…

――ピッチ外にもいろんな問題があると思います。これに関しては皆本選手の方が多くかかわっているのかなと思いますが、フロントに入って過ごした1シーズンを経て、どんなことが見えましたか?

皆本 とにかくお金がかかるし、人もかかるなというのが、本当によくわかりました。1年間やってみて、まぁよくこれをずっとやれていたなというのが、一番の感想ですね。本当に今までやってきた皆さんをすごくリスペクトしています。やるだけでも大変というのを、すごく感じたので。しっかり回すことで手一杯になることも、本当によく分かりました。ただ、それだけだと先に進めないので、そのなかでも何からやっていくか。その辺りは少しずつ手を付けられたのかなと思います。

――何からやったんですか?

皆本 特別なことはやっていません。まずは試合をしっかりやること。本当は最初からスポンサーを増やしに行きたかったのですが、スポンサーを増やすにしても、やっぱりお客さんが入っていないのにスポンサーはなかなか増えない。途中からは、まずスポンサーを考えるのではなく、スポンサーを獲得するためにお客さんを入れるという視点に変えました。なので、集客のところに振り切ってやりました。お客さんを入れる方法は、なんとなくわかっていたんで。

――非常に地道に営業したり、スクールに行ったりしたと聞きました。

皆本 そうですね。ターゲットが、ファミリー層とか子供なので、子供たちに興味を持ってもらい「1回、行ってみよう」と思ってもらえるような接点作りは、積極的にやってきました。そこをしっかりやれば、お客さんは入るだろうと思っていましたし、お客さんが入った景色をスポンサーに見てもらって、スポンサーになってもらう。そのサイクルを少しずつ大きくしていくことが、うちのやれることかなと感じているので、それをやってきた感じです。

――昨シーズンのアリーナ立川立飛の最終戦である名古屋戦で、多くの観客を集めました。そこにスポンサー候補も集めたと話していましたが、あの時の影響の成果ってどうだったんですか?

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