相次ぐ主力の移籍がありながらも3位をキープするペスカドーラ町田・甲斐 修侍監督。毛利&原田選手の移籍セレモニーで涙した瞬間に思い浮かんだシーンは?
8/27(土)、丸善インテックアリーナ大阪にて、Fリーグ2022-2023 ディビジョン1 第8節、シュライカー大阪×ペスカドーラ町田戦が行われた。
以降、ペスカドーラ町田・甲斐 修侍監督インタビューです。
取材・文・写真:北谷 仁治
選手が想像以上に、強度と集中力、高いパフォーマンスを見せてくれた
―まずは、今日の試合を振り返っていかがでしたでしょうか?
甲斐 修侍監督「そうですね。
もう大阪さんは、毎年勝つのが難しい相手なので・・・。
今日のこの試合のタイミングも含めて、なかなか簡単には勝たせてもらえないとは思ってたんですけど・・・。
まぁ毛利と原田も居なくなった初の試合だということで、選手たちにもそういう話はしながら、ここまでやってきたんですけど・・・。
正直僕が想定している以上の、強度と集中力と、トータル的にそういうパフォーマンスを選手たちがしてくれたので、スコア以上に勝利できたっていうことは・・・」
―大きいですか?
甲斐 修侍監督「すごく大きいゲームだったなという感じはします」
毛利、原田の2人が抜けても、地味かもしれないが、我慢強く戦えたことが大きい
―主力の2人が抜けたことで、サポーターの方も不安があったのでは?と思いますが、今日の試合を見ていると、特に前半なんかは、守備もすごく良かった印象がありました。
甲斐 修侍監督「そうですね。まぁ特にこう・・・、飛び抜けたタレントっていうチームでは無いので・・・。
それでも少しそういうアクセントとして、毛利が時間を作れたり、こじ開けられりとか、原田持ってる技術で、そういう局面をうまくこなしてくれたり・・・っていうオプションがなくなったっていうのは、勿論、マイナス面もありますけど・・・。
やっぱりハードワークするっていうことだったり、ゲームに関しての強度だったりっていうのは、2人がいなくても、今シーズン戦えてた部分っていうのは、選手たちも自信を持ってる部分もあったので・・・。
それが、地味ですけど、我慢強く耐えながら勝つことができたというのが、大きかったですね」
守備ではズルズル引かない。『相手の自由を奪う』ことは徹底してやっている
―守備の良さは、今日の試合に限らず(ここまで良い)ですか?
甲斐 修侍監督「そうですね。
僕らは本当に、守備から入るチームなので。
それも待って受けるディフェンスじゃなくて、自分たちからアプローチして仕掛けていく。駆け引きをするっていうところ、ま我々のスタイルなので。
ズルズル下がることもしませんし、相手に対しての自由を奪うというところは徹底してやってるので。
そういう意味では、大阪の選手たちのタレントがいくつもありますけど、そういう良さを消すというところで、結局選手たちがハードワークしてくれたなという印象ですね」
シーズン前は、守備の約束事も本当にバラバラだったが・・・
―高橋選手なんかも、『ディフェンスではやることが甲斐さんの言うこととかが理解できて、ゲームでも実践できている」という話もあったんですけど、改めて、甲斐さんから見て、いま、守備が良い要因は何でしょう?
甲斐 修侍監督「そうですね。今シーズンに入って、このチームが新しくなってから、本当にシンプルですけど、原理原則の守備をする上での約束事だったり・・・。
そういうところは、もう最初は本当バラバラだったんですよね・・・。
そこから練習試合を重ねたり、ビデオミーティングでお互いの確認をしたり、少しずつ、当たり前のことを当たり前にできるようになっていきながら・・・。
なおかつハードワークできるし、プレッシング強度も高いので、そこで相手に自由を与えないっていうことは、試合ごとに良くなってるなという気がしますね」
―毛利さんと原田さんの話に戻るんですけど、主力の2人が抜けることは、甲斐監督のチームづくりのプランにも大きく影響しそうです。2人が抜けるっていうのは、どの段階ぐらいでわかったいたのでしょうか?
甲斐 修侍監督「もうシーズンが始まるときからわかっていました」
移籍セレモニーで涙ぐんだ時、頭に浮かんだシーンとは?
―前の試合で、試合後に、感動的な移籍セレモニーが行われました。毛利選手が甲斐さんの方を向くと、言葉を詰まらせて、甲斐んも涙ぐまれるシーンがありましたが、あの時、甲斐さんの頭に浮かんだシーンは何だったのでしょう?
甲斐 修侍監督「うーん・・・、そうですね。
(毛利)元亮に関しては、もう本当に、下部組織を立ち上げた一期生というか・・・。
最初に立ち上げたU-15の最高学年から入ってきた子なんですね。
1年やったら、高1になって、その年に今度はU-18を立ち上げた。
ある意味、毛利たちの学年が上がっていくプロセスを、僕が同じように過ごしたので・・・。
一年目はU-15で僕が見ていて、2年目、U-18を作ったので、僕はジュニアユース(U-15)を別のコーチに任せて、それでU-18を作ったんですよね。
毛利が1年生で、2年生3年生はパラパラしか居なかったんですけど・・・。
それで一緒にこう・・・学年が2年3年ってなるプロセスを踏んできたので・・・。
なんかこの場面という一つの場面というのは、特にはないですけど。いろんな場面が・・・。
そうですね。時が経つのがあっという間で・・・。それこそまだサッカーしかやったことなくて、『フットサル初めてです』って言ってきた子が、もう僕の期待するものを、どんどんこう上回って成長していってくれて。
で、いよいよね。スペインに行くっていうのを、こうやってお客さんの前で発表できているっていうことがこう・・・。
昔からの流れを思い出すと、やっぱりこう・・・ちょっとグッとくるものがありましたね」
毛利の『点を取りに行く促進力』を尊重した。その分『フットサルっぽさ』を身につけるのはわりと遅かった
―何かの記事で結構、毛利選手がワガママところもあったけど、好きなようにやらせたみたいな記事を読みましたが・・・。
甲斐 修侍監督「ワガママというよりは、(毛利)元亮の持ってる良さというか、他の選手が例えば周りを考えたり、パスを考えたりっていう所を、元亮は常にゴールを目指す。
常に前、シュートのことしか考えない。
例えばチーム戦術としてあったとしたら、そのチーム戦術を度外視してでも、点を取りたいタイプだったんですよね。
でもそういうものを正直・・・、フットサルを押し付けることは、この子には向かないだろうなっていう風に思ったので・・・。
とにかくまず自分の持ってるバイタリティであったり、点を取りに行く。そういう促進力はずっと消さず、尊重してやらしてきたんですけどね。
だからそういう意味では、そういう強さであったり、アグレッシブさであったり、もう荒々しくでも点を取るっていうところは、どんどん伸びている。
でもフットサルのいわゆる定義というか、よりフットサルっぽくっていうものが身に付くっていう意味では、わりと遅かったんですよね。
だいたい高2高3ぐらいから・・・。
ようやく少しアスピランチの練習とか、トップの練習とか経験・・・、出る機会が増えてきたので。
その頃からも、自分の長所だけのところで勝負っていう意味では、アスピランチに入っても突き抜けてましたし・・・。トップに入っても、その良さをちゃんと表現できるみたいな・・・。
ただ色々求められる経験はないので、もちろんそこが、これから積み上げていくところだろうな、というイメージでは居ましたけど・・・」
毛利選手の"甲斐さんチック"なループシュートでのゴールについて
―最後のゴールも、ちょっとこれは毛利さん(本人)さんに聞かないといけないですけど・・・、何か少し"甲斐さんチックなループシュート"でしたね。
甲斐 修侍監督「いやいやいや(笑)、ねぇ!
あんな柔らかいプレーできるのかと、ビックリしましたけど」
―なんか個人的には甲斐さんに向けて、ああいうシュートを打とうとしてたのかなぁと思ってしまいましたが・・・。
甲斐 修侍監督「最後の試合で、あんなこじゃれたことができるっていうぐらい、やっぱりあの子の将来的な可能性を感じますよね」
守護神・イゴールの移籍についてと、キーパーにいつも話していること
―キーパーの話なんですけど、イゴールが抜けて、心配する声もあったと思いますが、甲斐監督的にはそこはいかがでしたか?
甲斐 修侍監督「そうですね。
そこはもう僕も勿論、フィールド以上に、ゲームを勝ち切るっていう意味では一番重要だと思ってたので・・・。
そこはもうシーズン前から心配はしていましたけど。
今試合に出てる土岡じゃない石井が、シーズンスタートからのオーシャンカップまで、ずっと出ていたんですよね。
その後に土岡が、教育実習から帰ってきて、合流して二人で、切磋琢磨してくれたんですけど。
正直、経験値が二人とも高いわけじゃないので・・・。
本当に、我々の不安以上に、本人たちが不安だったと思うんですけど・・・。
でもそこのメンタルコントロールというかね、今できることを自信持ってやることとか、もう本当に少しずつでも向上し続けること・・・。
ゲームの中でどういう解釈をするかっていうのを、もうシーズン前からずっと、コミュニケーションを取りながらやってきて・・・。
特に土岡は、そういう意味では試合をやる毎に、当然ミスもたくさんあるんですけど・・・。
それで引きずられて修正が効かずに・・・ということにならない。メンタルの強さを身に付けつつあるな・・・というところなので。
本人も、『今日もスローが悪かったです』と、いろいろ課題を挙げればたくさんありますけど・・・。
でも試合を壊さないコントロールを、スタートから最後まで継続してできるようになってるっていうのは・・・、キーパーって、そこが一番僕大事だと思うんですよ。
物凄く良いセーブをするとか・・・、めちゃくちゃ目立つようなことをするんだけど、ここっていうシンプルなものに対応できずに失点するっていうのは・・・。
スーパーなものが5回10回あっても、シンプルなもので、もしエラーを起こしたら、それが失点になるようでは、多分ゲーム作れないと思うんでね。
そういう話はいつもしていますね。
ここ最近で、石渡 良太がキーパーコーチになってくれたので。それで個別のトレーニングをものすごく丁寧にやってくれて・・・。
それでまたさらに、彼らの自信をつけるキッカケになって、またいい競争がいま、生まれています」
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Futsal Media Note
フットサルメディアを運営している三者による共同webマガジン。 発起人のFutsalXの河合拓、PANNA FUTSALの海野伸明、フット…
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