自校史に於ける災害について:校史関係の学外史資料調査➀
第2期第16回(通算第25回)勉強会報告
「近畿大学 創立70年の歩み」(近畿大学 平成7年)収録の「学校法人近畿大学沿革」によれば、「昭和9年9月21日 室戸台風により校舎大被害」、「昭和20年6月 空襲により校舎一部罹災する」となっている。昭和9年9月21日の「室戸台風」による「校舎大被害」とは、具体的にはどの様な状況であったのかについて、不分明であり、昭和20年6月の「空襲」の具体的な日付は記載されておらず不明であり、「空襲」による「校舎一部罹災」とは、これまた具体的にはどの様な状況であったのかについて、不詳である。
室戸台風による被害については、その当時の新聞記事や国立公文書館所蔵『大阪専門学校 第5の2号 大阪』(分類:文部省47 排架番号3A・10-9・1612)収録の公文書及びその他の史料から、具体的には「日本大學附属中學校」校舎一棟倒壊と「日本大學専門學校」の「木造平建大講堂及ヒ木造
平建校舎各壹棟」の傾斜という被害であった事を解明出来たのである。また、この「学校法人近畿大学沿革」にある「昭和20年6月 空襲により校舎一部罹災」については、世耕弘一先生の「藍綬褒章受賞記念パーティー挨拶」(昭和38年12月)(近畿大学世耕弘一先生建学史料室企画・編集
『学ぶこころ-近畿大学建学者・世耕弘一-』日本図書センター 平成14年)及び近藤登元大阪専門学校学生主事の著書『近畿大学発展史 この目が見た風雪七〇年』(浪速社 平成10年)の空襲被害についての陳述を手掛かりにして、各種の史料を採取・検討した結果、「大阪大空襲に関する警察
局資料 II-小松警部補の書類綴より-」(松原市史編さん室編「松原市史資料集 第7号」松原市史役所 昭和51年)収録「警備親五〇七号 昭和二十年六月二十二日」に於て昭和20年6月15日の第四次大阪大空襲によって「布施 私立日本大学専門学校 全焼」と記述されているのを発見した。この報告は論文化して掲載する予定であるので、ここでは簡潔な内容の報告とした。
追記
念の為に記せば、引用部分に誤り等がある場合は、当該箇所に「ママ」と付記している。
文:広報室建学史料室特別研究員・近畿大学名誉教授 荒木 康彦
写真:昭和15年(1940年)の近畿大学東大阪キャンパス新本館(『近畿大学創立70年の歩み』より)
(2022年12月1日公開)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?