ソフトウェア開発の副業を体験して
3年続けたソフトウェア開発の副業
私はいままで、3年間ほど副業をしてきた。週5日フルコミットの仕事を抱えつつ、なぜ副業をしたのか、どのような感じだったのかを書いておく。
会計サービス(SaaS)を提供している会社に入社していた
会計サービス(SaaS)を提供している会社に3年以上前から私は在籍していた。(株式会社 freee)。その会社では会計サービス、給与管理サービス(2017年より人事労務を管理するサービスとなっている)、会社設立サービス(個人事業向けには開業サービス)を提供している。私自身、会計サービスのアプリケーション開発に携わっていた。しかし、実際に自分が確定申告をしたことがないという事実を問題として捉えた。そのうち、知識として知っているだけではなく実際に確定申告を行う実践をしなければならない考えで頭がいっぱいになった。開業しなくては。そう考えた私は上司に副業をしたい旨の相談を行い、実践することにした。※開業の具体的な話については、ここでは省く。
Wantedlyを頼った仕事探し
仕事探しについて、知り合いづてで頼る方法がわからず、個人で探すにも会社に無造作にメールを送ってというのもミスマッチしそうでまずいなと考えた。そこで、Wantedlyを利用して副業を探そうという考えに至った。Wantedlyにて、「副業 週1日」というクエリで求人検索を行った。※2018年現在、Wantedlyは副業に関して検索しやすいよう検索クエリを組み立てることなく、チェックボックスに副業アリという形で検索が行えるようになっている。
開発言語はなんでもよかった。完全に未経験であるC++での業務系は除いたが…、PHPでもRubyでもPythonでもnode.jsでもなんでもよかった。とにかく副業をして、確定申告の体験を得たい。その思いで私はWantedlyにかじりついた。気になった企業に対して話を聞きに行きたいボタンを押す日々が続いた。
実際に面談へ
実際に面談をしてくださる企業を見つけ、Wantedlyのチャットで話をし、予定を調整して実際に面接を行う流れとなった。何件か企業を回っていて聞かれたことは以下の通り。
・週どれくらい稼働が可能か。
・具体的な時給換算の金額をいわれ、納得してもらえるか。
・なぜ副業をしようと思ったのか。
面談の中でスキル面の質問は出てこなかった。Wantedlyで公開しているスキル・経歴表明を見て相手は判断するからなのだろう。話を聞いてくださった企業は私を信頼して話を聞いてくれていて、面接していてとても楽しかった。今取り組んでいる問題からはるか先の未来の展望などの話題で盛り上がった。
副業を体験する
無事面接を終え、契約も締結することができ、副業ができる状態になった。私が副業で担当した作業はバックエンド開発やインフラ設計など昔から個人として経験を積んでいた作業を行うことが多かった。他には、フレームワークのバージョンアップ作業や、プロダクトのフィールドワークで得られた検証作業なども行った。副業を求めていた企業は創業まもないスタートアップが多い。人材不足が続いている印象を、面接を受けたどの企業で受けた。組織サイズが創業時から資金調達によって得られ、フェーズが変わる状態でも規模拡大まで間があるからかもしれない。そう捉えた。実際に副業をして作業をこなしていた期間はとにかく忙しかった。反面、楽しかった。実際手を取って取り組んでみるとその企業が提供しているサービス・CTOの意向による設計のクセなどかなり異なる。「こういう設計ができるなんて!」「視点をこう持つということを今まで生きててかんがえてなかった」など新鮮な体験を味わった。そんなフルコミットと副業を合わせた生活を3年ほど行った。念願であった自社の会計サービスを利用し、確定申告用の書類を作成し、税務署に提出する作業を行うことができた。会計サービスのドッグフーディングが出来、自信が付いた。
3年の副業生活を終える
副業生活をつい先月終えた。色々な企業の仕事を受けていたが、終えることを決めた。廃業届けを出す出さないは検討中。理由は「もっとほかのことに副業にかけていた時間をかけたくなった」「実際に確定申告を2回行えたので、会計サービスを実際に自身で利用するドッグフーディング作業を行えたために満足した」ことである。色々なフェーズの会社に関われて楽しかった。
副業で気をつけていた点
気をつけていた点があった。銀行口座は事業用のものを決めておくこと。生活資金とは別途とすること。クレジットカードについて、事業用口座から引き落とせるものを利用すること。特に事業向けに大きめな買い物や、事業のために物件を借りたわけでもないので減価償却や家賃按分、費用に関して深く考えなくてもよかった。一番意識し行動した点は、副業を始めたら速やかに青色申告を実施できるようにするため、開業届を急いで出した。
フルコミッターが注意しなければいけないところ
率直に言ってプライベートな時間がかなり削られてしまう。副業を開始して最初の頃は今までの体験で自身にインプットしていた情報を相手先にアウトプットすることで対価が得られる仕組みであり、苦労は感じなかった。しかし、アウトプットを続けることで自分の中に必要な知識ストック・経験ストックがなくなってしまう。その状態が続くと必要な作業をこなすためのアウトプット力が低下する。モチベーションも合わせて低下する。フルコミッターが副業を請け負う時は3ヶ月単位で受けられるスポットで参加できる仕事が最適だと思う。副業は不足している家計予算を手助けする程度に量を抑えると良い。次回副業するときにはきちんと自分自身をコントロールして、挑戦したい。
経験し得られたもの
副業は経験しておくと良い。開業届や、実際の会計処理を自分自身の儲け(売上)から行う。利益を得るために使ったお金は何か。事業向けに利用できる現金・預金はどの程度あるのか。事業の生存期間など気にすることが多くなる。やり遂げた経験も得られる。スケジュール管理への意識も方法論ばかり聞くのではなく、実践して自分のものにできる。フルコミットの仕事に対するフィードバックとしても活かせた。合わせて他の組織の様子を知れる・人と話しができたのが楽しい。