感想「時計仕掛けのオレンジ」

何とか観きった。正直とてもきつい映画だった。

暴虐な若者は"変わる"のか

この映画は大きく分けて3パートに分けられる。

収監前・収監中・洗脳後。

前半の収監前は主人公の暴力的で退廃的な描写がしつこく描かれる。主人公周辺の被害者はかなり多く、登場人物に共感してしまうタイプの人はもうきつい。というか観るべきではない。

ルドヴィコ療法

悪人を善人に変えるという「ルドヴィコ療法」。その内容は暴力的な映像を強制的に見続けさせることで、それらに対して条件反射的な嫌悪感、吐き気や頭痛を植え付けるもの。

この"変えられる"過程が生々しくて怖かった。大の男が泣いて喚いて止めてくれと叫ぶ中淡々と対応する医者…完全にディストピアのそれ。

主人公釈放に対する社会の反応

ルドヴィコ療法を受けたことで主人公は早期に釈放されることになるわけですが、社会は全く彼を許していませんでした。実家からは追い出され、ホームレスからはリンチに遭い、警官となったかつての仲間からボコボコに。前半で暴れまわった全てが跳ね返ってくる描写は観ていて辛くなるものでした。本当に観るのがきつかった。

特に本人がかつての暴力性が"治った"と言っても誰も信用してくれない様子はとても痛々しい。星新一の「末路」を思い出すような描写でした。

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