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不適切報道大賞2024 報道加害部門① 日本テレビ・フジテレビによる大谷翔平選手の新居報道

岩手県奥州市出身のプロ野球選手。MLBのロサンゼルス・ドジャース所属である大谷翔平選手。WBCではWBC史上初の2部門(投手部門・指名打者部門)でのオールWBCチームに選ばれ、日本チーム優勝に貢献し、MVPを受賞しました。2024年の9月20日にはMLB初となる、本塁打50-盗塁50を達成しました。

5月22日、米紙の『Los Angeles Times』が、大谷翔平がロサンゼルス市内に785万ドル(約12億円)の豪邸を購入したと報じました。
本拠地ドジャー・スタジアムの圏内にあるこの豪邸は、元々ハリウッドの人気コメディアンであるアダム・カローラ氏が所有していた物件でした。

この報道に後追いし、日本テレビ・フジテレビをはじめとした日本のメディアが報道合戦を行い、大谷翔平の自宅前でレポーターが中継し、近隣住民への聞き込みを行いました。特にフジテレビが5月23日に放送した『Live News イット!』では、木々の隙間から新居を盗撮し、大谷翔平が住むことを知らなかった住民にも直撃インタビューを行い、新居の情報を大々的に拡散しました。

ロサンゼルス市内を中心に発行している日刊紙『Larry Brown Sports』には、
大谷翔平の住宅に関する情報があまりにも多く公表されてしまったため、ファンは彼の新居がどこにあるか様子を簡単に知ることができた。それに加え、一部の日本メディアが自宅近くで撮影したり、近隣住民にインタビューしたことで『報道の一線を越えた』と感じて憤怒している」と掲載されました。

大谷翔平の自宅が特定されることにより、強盗などの事件に巻き込まれる可能性があります。例を挙げると2016年には、ミランダ・カーの家に不審者が侵入し警備員が重症を負う事件がありました。また、同年にはキム・カーダシアンの自宅に強盗が押し入り、推定1000万ドルの所持品を奪われる事件がありました。

大谷翔平選手に報道被害を与えた日本テレビとフジテレビは、大谷翔平選手の映像を使用NGという通達を受けました。また、ロサンゼルス・ドジャーズは日本テレビとフジテレビの取材パスを凍結する処分を行ったとする報道もありました。(フジテレビの港社長は、取材パスの凍結は事実でないと主張しています。)

この報道被害をきっかけに、大谷翔平選手の12億の新居は売却を余儀なくされました。

マスメディアは自宅や親族の家に突撃取材や張り込み取材を行うことがあり、行き過ぎた取材の仕方や、関係者の心情を慮らない取材による報道加害がたびたび指摘されています。

2023年7月5日の定例記者会見では、フジテレビ社長の港浩一が謝罪を行い、
同年7月29日の定例会見で、日本テレビ社長の石沢顕が謝罪を行いました。
日本テレビについては、日刊ゲンダイの記事ではありますが、役員が直接謝罪に出向き、関係修復しているという情報もあります。

大谷翔平選手がフジテレビを取材拒否していることについては、その放送のようすから、信憑性が高い情報ではないかと憶測が広がっており、フジテレビによる言及が必要な案件です。

大谷翔平選手に対する報道加害は、『めざまし8』などの番組で、アナウンサーが謝罪を行い、「大谷選手の自宅をはじめ、プライベートな空間を訪れることは控えるよう」視聴者に呼びかけました。そして、社長の港浩一が定例記者会見で謝罪するに至りました。
ちなみに、2024年10月21日、ドジャーズの勝ち上がりが決定するとフジテレビは、大谷翔平も出場するワールドシリーズの全試合を緊急生中継すると発表しました。これが日本シリーズの放映時期と重なっていたことから、フジテレビはNPBの取材パスを一時没収される事態となりました。

こういった不祥事や報道の行き過ぎによる加害を生み出してなお、
2024年12月の中山美穂さんの遺族への報道スクラムに代表されるように、マスコミは執拗な取材や報道合戦を繰り返しています。
自宅特定からの盗撮、何も知らない近隣住民への情報流布から始まり、結果的に防犯面の不安から12億円で購入した新居を売却するに至る。
大谷翔平選手のこの一件は、マスコミの報道の悪質さを象徴する点で、報道加害部門ノミネートにふさわしいとかんがえます。


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