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不適切報道大賞2024 不祥事部門ノミネート NHKラジオ国際放送 「尖閣諸島は中国の領土など」と理事の偽装辞任

2024年8月19日13時の中国語ニュースで、中国籍の外部スタッフが、「靖国人神社で落書きが見つかり、警視庁が器物損害事件で調査している」というニュースを伝えた後、「釣魚島と付属の島は古来から中国の領土です。NHKの歴史修正主義とプロフェッショナルではない業務に抗議します」と原稿に無いことを中国語で発言。さらには「南京大虐殺を忘れるな。慰安婦を忘れるな。彼女らは戦時中の性奴隷だった。731部隊を忘れるな。」と英語で述べました。
また、「靖国神社で落書きが見つかった」件に関しても、『「軍国主義」「死ね」などの抗議の言葉が書かれていた』という内容を勝手に加えて放送しています。

NHKは、不適切発言について矮小化を図った可能性が考えられます。
こちらの記事は、放送後に出されたNHKの発表ですが、見出しにも本文にも、不適切発言の内容について「沖縄の尖閣諸島などについて」としか触れられていません。その後の記事についても、NHKが配信する記事では、現在に至るまで「沖縄の尖閣諸島に関する不適切発言」についてしか触れられていません。
事件から2日経った22日のプレスリリースにて、NHKはようやく不適切発言の全文を公開しました。
https://www.nhk.or.jp/info/otherpress/pdf/2024/20240822.pdf

NHKが問題発言の全文の公開を遅らせ、「尖閣諸島などで」不適切発言としたためか、他社の報道についても、慰安婦発言や南京大虐殺と731部隊発言に触れたものは確認できません。

外部スタッフは、グローバルメディアサービスというNHKの関連会社と業務委託契約を行っていましたが、21日に契約解除。
その後、該当の中国人スタッフは、中国に帰国したことを26日の時点で中国のSNS微博に投稿しています。中国の新聞「中国新聞網」にも27日に中国人スタッフが帰国したことが報じられています。
これに対してNHK広報局は、28日に「(男性の帰国を伝える)報道は見ているが、事実関係は確認できていない。」とコメントしており、当該男性と連絡が取れなくなっていることが明らかとなっています。
NHKは中国人スタッフに訴訟や刑事告訴を慎重に検討していると発表しましたが、2024年12月現在、NHK側からは訴訟や刑事告訴の動きは発表されていません。

この問題を受けて、稲葉会長、井上樹彦副会長ら4人の役員が役員報酬1か月分のみの50%を自主返納するという責任の取り方をしました。また、一般職員5人に減給や出勤停止の処分を行いました。また、中国人スタッフが所属していたグローバルメディアサービスの役員2人が、役員報酬1か月分のみの30%を自主返納するという責任の取り方をしました。
そして、中国ニュースを担当していた国際放送担当の理事・傍田賢治については、辞任の処分となりました。
しかし、辞任から1週間後に契約社員として再雇用されていることが明らかになりました。再雇用後の肩書きはメディア総局・エグゼクティブプロデューサーであり、管理職の立場で復帰を行っています。

また、こちらのポストセブンの記事(前後編)では、不祥事による辞任からの、契約社員としての復帰には、前例があることが示されています。
(業務として認められていない衛星放送番組のインターネット配信に約9億円を盛り込んでいた問題で、処分を受けた役員6人のうち、退任した3人が1か月後に契約社員として復帰、2人はメディア総局特別主幹・1人は放送技術研究所特別主幹のポストに就いた。)

この事件の問題点をまとめると、
①日本の公共放送であり、日本の家庭から受信料を徴収して運営しているNHKで、中国人スタッフの政治主張が流されるという不祥事。
②事件を矮小化している疑いがある。「尖閣諸島は中国の領土」「南京大虐殺を忘れるな、従軍慰安婦を忘れるな、731部隊を忘れるな」という主張の不適切発言のうち、「尖閣諸島は中国の領土」という部分だけを報じ、後半の部分は小出しでプレスリリースを行った。これにより他社のテレビや新聞も、初報は「尖閣諸島など」の部分のみに焦点が絞られてしまっており、問題の全貌が国民に伝わることを阻害してしまっている。
③NHKの対応の遅さ。該当のスタッフの帰国を許してしまっており、日本の司法が手出しできない状態になっている。
④責任の取り方と偽装辞任。役員報酬の一部を自主返納という責任の取り方が妥当かどうか。また、国際放送担当理事が辞任と発表しておりながら、1週間後に現場に復帰していること。

日本の公共放送であるNHKが、外国勢力の主張を垂れ流しさせてしまうこと。事後対応に多数の問題が含まれていること。NHKの欺瞞が明らかになった点を踏まえて、不適切報道大賞2024 不祥事部門にノミネートするにふさわしいと考えます。

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