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嗅覚の伝導路
嗅覚の伝導路は、系統発生学的にみて最も古く、複雑で完全に明らかではありません。
鼻に吸い込まれた匂い分子は、鼻腔の天井部分にある嗅上皮の嗅細胞を刺激します。
嗅細胞は神経細胞で、匂いの分子を感受して活動電位(受容器電位)を発生します。嗅細胞の軸索は嗅神経となって、大脳の嗅球に入ります。嗅覚の情報は、嗅球からさらに側頭葉の梨状皮質などを介して、大脳皮質の前頭葉の眼窩前頭皮質や大脳辺縁系などに送られます。
つまり、嗅覚の伝導路の概略を示すと次のようになります。
(匂い刺激)→ 嗅細胞→ 嗅神経→ 嗅球→ 梨状皮質
→(視床)→ 前頭葉の眼窩前頭皮質や大脳辺縁系など。
注) 梨状皮質から眼窩前頭皮質への経路は、視床を経由する場合と、視床を経由しない場合とがあります。
生理学 第3版 東洋療法学校協会編より引用・改変
ここで注目すべき点は、嗅覚の情報は「視床を経由せず、直接大脳の嗅球に入る」ことです。覚えておきましょう。
【参考図書】
・ 生理学 第3版 東洋療法学校協会編 内田さえ、原田玲子他著 医歯薬出版株式会社
・ 解剖学 第2版 東洋療法学校協会編 河野邦雄、伊藤隆造著 医歯薬出版株式会社