ハッピーキャッチ&ハッピーリリース
のどかな景色。
草と土の匂い。
砂利道をのんびり歩く。
田んぼの横には、
用水路が通っている。
水のせせらぎが気持ちいい。
その土手に、
ひとりの女の子が座っている。
ランドセルを横に置き、
袋から何かを摘んで食べている。
目を凝らして見る。
(サキイカで……
一杯やってる?!)
確かめようと距離を詰めると、
急に女の子は反対方向へ駆け出し、
手に持った棒を振り出した。
そして棒を縦に振ると、
女の子はそのまま動かなくなった。
私は用心しながら、
またゆっくりと近づいた。
すると微動だにしなかった女の子が…急に、
「キター!」
と叫んだ。
棒の先には、
揺れる赤い物体。
「これで3回目」
女の子は、
ザリガニを釣っていた。
そして釣ったザリガニを、
また川へと投げ入れた。
するとまた駆け出し、
さっきいた場所へと戻る。
そしてまたサキイカを食べては…
……子供ビールを飲んでいた。
「ゲフッ」
釣り竿を振り、
また静かに……待つ。
「キター!」
糸が垂れ間もなく、
ザリガニが飛び上がる。
「またお前か。5回目ね」
(あの子…ザリガニ判別できるの?
同じザリガニ、何回釣り上げてるの?)
また上流に駆け出し…
釣る…放す…
走る…
釣る…放す…
走る…
(凄い…
エサのサキイカ…
一度も交換してないじゃない)
女の子の袋の中には、
まだサキイカが半分以上あった。
(この遊び…
一体、いつまで続くの?)
「キター!」
……。
……。
……。
(コンビニ…あそこか…
私も…
サキイカとビール…
買ってくるわ)
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お疲れ様でした。