
これが噂の叫び
友達との待ち合わせ。
私は時間に余裕もあったので、
ひと駅手前で下りて歩いてる。
休みということもあり、
通りを大勢の人が行き交ってる。
私はその人波には乗らず、
ゆっくり街の景色を眺めながら歩く。
(あっ新しいリップの広告。
いいなあ~女優さん、肌キレイ~。
これ…私に似合うかな~)
「おい!」
後ろから男性の声。
突然の大声に驚いた私は、
気付けば脇の植え込みに、
片足を突っ込んでいた。
でもその声の主は、
私を気にする様子もなく、
そのまま何も言わず立ち去った。
(何?何なの?
私のこと呼んだんじゃないの?
急に後ろから声出されたら、
ビックリするんですけど)
一応、自分の身に何か起きてないか、
カバンの中身や服も隈なく調べるが、
特に何かされた形跡はなかった。
(何なの?
もしかしてあれ?
弱そうな女性ばかりを狙って、
体当りしてくるってやつ?
やだ…気をつけよう…)
急に周囲が気になりだし、
警戒しながら待ち合わせ場所へと向かった。
無事到着したが、
まだ友達は来ていない。
集合場所としてメジャーなこの場所は、
待ち合わせの人達でごった返していた。
私の座っているベンチも、
人が増えるにつれ、
隣の人との間隔も詰まってきた。
「おい!」
ビクッ
隣の男性の声に、
私は身を縮めた。
しかしその男性は、
じっーとスマホを眺めたままで、
私を気にするどころか、
視界にも入っていない様子だった。
(何?
何が起きてるの?
嫌だ…何なの…)
「おい!」
「おい!」
今度は左の女性も一緒に。
(え?!何?やだ~!
何なの?!
私、何かした?!)
するとその女性の耳元から、
イヤホンが地面に落ちた。
漏れてくる音。
誰もが目を奪われてく~♪
君は完璧で究極のアイドル♪
「YOASOBIのアイ…
まさか…コール?!」
どうやら日本は…
まだ平和みたいです。
このお話はフィクションです。
実在の人物・団体・商品とは一切関係ありません。
いいなと思ったら応援しよう!
