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モテるの定理
スマホを触ってる女性二人。
「ねえ~」
「ん~。
な~に~?」
「私ってさ~」
「う~ん」
「モテる…じゃない?」
「…喧嘩売ってる?」
「ううん。
真面目な話だけど」
「そ、そうなの…まあ…
モテる方じゃない?
付き合う人に、
困ったことないよね」
「そうなんだよね~。
すごくない?」
「ムカッ!…
感情が思わず口に出ちゃった!
何なの、さっきから?」
「モテるって、何?」
「は~ぁ?」
「モテるの定義って、
何なんだろうな~って」
「何であなたがモテる理由を、
私が解説しなきゃいけないの?
何、急に?」
「モテないって、
言う人いるでしょ?」
「まさに、目の前にいますけど」
「じゃあモテる人の、
真似すればいいんじゃないの?」
「そんな簡単な話じゃないでしょ。
容姿も性格も、
みんなそれぞれ違うから。
私はあなたの真似は無理だし、
あなたも私の真似は無理でしょ?」
「そっか。
じゃあ一生、無理ってこと?」
「私を絶望という崖に、
突き落とそうとしてる?」
「だって~、
ゆきちゃん美人だし、
学生時代は人気だったよね?」
「それは…もう昔の話よ」
「あの頃、ゆきちゃん、
週末はデートデートで、
遊んでくれなかったし」
「そうだっけ?
覚えてないんだけど」
「何か、変わった?」
「変わったのかって?
ん~何だろう…
男性の好みは変わったかな?」
「そうなの?」
「前はあまり、拘りがなかったかも」
「ふ~ん……!
あっ、もしかして…
わかっちゃったかも」
「どうしたの?」
「ゆきちゃんは、
いま付き合うなら、
どんな人がいい?」
「私?
そうだなぁ。
外見は特にないけど、
喋らない人は駄目だよね。
会話がつまらない人も…
あと、話にオチがない人。
自分の話しかしない人も無理だし、
人の話、聞かない人も」
「そっか~。
私はね…
思いやりがある人」
「それだけ?」
「うん、それだけ。
だから人が来るのかも。
私というお店に」
「お店?」
「だって、
私というお店の看板には、
それしか書いてないから。
だから、人が来るんじゃないかな?」
「?!」
「ゆきちゃんも看板、新しくしたら?」
「新しく?
どうすんの?」
「簡単じゃん。
喋らない人、
会話がつまらなくてオチがない人。
人の話を聞かなくて、
自分の話しかしない人でしょ?
だったら…
おしゃべりが上手な人でよくない?」
「!」
「ねっ!」
「やっぱり、
あなた、モテるわ」
このお話はフィクションです。
実在の人物・団体・商品とは一切関係ありません。
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