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あの、たけやさおたけです!

連休初日。
 
武田家の朝。
 
「ねえ~お父さん。
 おきて~。
 あそぼう~」
「…んん…
 朝か~おはよう~。
 ……
 父さん、昨日…休日出勤で、
 大変だったんだ~。
 ……
 もうちょっと休ませて~」
 
「え~あさから、
 お父さんとあそべるとおもって、
 べんきょうおわしたんだよ~」
「ん~エラいエラい。
 ……
 午後から……午後からなら…
 遊ぶ……遊べるから……
 …………」
 
そのまま二度寝するお父さん。
 
「お母さ~ん!
 お父さんが、またねちゃった~」
「もうちょっとしたら、
 お母さんここ終わるから~
 ちょっと待ってて~」
 
お父さんはまだ夢うつつ…。
 
(あ~気持ちいいなあ~。
 ……
 二度寝って…最高~
 ………)
 
た~けや~さおだけ~
 た~けや~さおだけ~

 
(…ん?
 これ…なんか…
 聞いたことあるなあ…)
 
「た~けや~さおだけ~
 た~けや~さおだけ~」
 
(あ~そうだ…
 竿竹さおだけ売りの販売車…
 ……
 なつかしいなあ~。
 ……
 まだ今でも走ってんだ~。
 へえ~)
 
「た~けや~さおだけ~
 た~けや~さおだけ~
 
 1本たったの1万円!
 それを何と今なら!
 2本で500円!
 
 た~けや~さおだけ~」
 
(ちょい待て待て!
 
 1本1万円にもツッコミたいのに、
 何だよ2本500円って!
 
 おかしいだろ!
 
 希望小売価格どこいった!)
 
た~けや~ま 昼だけ~
 た~けや~ま 顔だけ~

 
(コラッ~!
 何てことを言いふらしてるんだ!
 ご近所に~!
 あの人は確かに昼番組多いけど、
 夕方もちゃんと仕事してる、
 素敵なタレントさんなんだぞ!)
 
「た~けや~さおたけ~
 た~けや~さおたけ~
 
 ありがとうございます。
 ありがとうございます。
 
 ご主人さま起きてますか?
 
 たけやは地元の活力になるよう、
 頑張ります!
 
 たけや!たけや!竹屋竿武!
 竹屋に清き一票を!
 
(宣伝車かい!
 何だ!その名前!
 竹屋竿武って…
 ちゃんと竿竹売れよ!)
 
「た~けや~さおだけ~
 た~けや~さおだけ~
 
 聞きました~奥さん?
 武田さんちの旦那さん。
 
 昨日残業したことを理由に、
 お子さんほったらかして、
 まだ寝てるんですって~。
 
 や~ね~
 
 た~けだ~ねるだけ~
 た~けだ~どんだけ~

 
「お~~い!!」
 
「あっ!おきたてきた!
 お母さん、お父さんおきた~!」
 
「やっぱりママの仕業か~。
 せっかく気持ちよかったのに~」
 
「バレてた?」
「だっておとうさん。
 あそんでくれないんだもん~」
 
「ごめんごめん」
 
「まあ、ツッコミ番長のあなたには、
 やっぱりこれね♪」
 
「よし!
 目も覚めたし、遊ぶか?」
「うん!」
 
「あっ、でもママ…
 あの2本500円はダメでしょ?
 あれはやり過ぎ」
「ちょっと調子に乗り過ぎたか~」
 
「お母さん、
 つぎは、もっとがんばろうね」
「じゃあ次は、石焼き芋にしよう♪」
 
「もういいよ」


このお話はフィクションです。
実在の人物・団体・商品とは一切関係ありません。 

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二月小雨
お疲れ様でした。