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Photo by
papa_grayhair
過ぎゆく夏 ~タイムリープの鍵~
タイムリープ…時間跳躍。
女性二人。
先輩の話を聞いている後輩。
「この前、別れた彼氏と偶然、
街でばったり会ったの」
「そ、そうなんですか…」
「それでね、
こっちも知らん顔すればいいのに、
驚いて二度見しちゃって…
声掛けちゃったんだよね」
「そうなんですね」
「そしたらアイツ、
より戻す?とか言うの!
はあ~?ってなるよね!
あっちが別れ話切り出したくせに!
おかしくない?!」
「それはおかしいですね…」
「でしょ?!
あんた何言ってのって、
言ってやったわよ!
それでもアイツ…
私のことが好きだって言ってくるの…」
「……はあ…」
「……そうなの…
そうなのよ…。
もう頭くるわよね!」
「そうですね…」
「あっ、お昼終わりだ。
じゃあ、またあとで」
「はい…」
私は何を聞かされてるんだろ?
私は何を求められてるんだろう?
この話…
今月で3度目…。
きっと…
「私のことが好きだって言ってくるの」
あの時の適切な返し…
それはいつもの…
「まだ先輩に、気があるんですね」
…これ。
これが正解というより…
これを先輩は欲している。
でも、私はいつも迷ってしまう…。
なぜなら…
5年も同じやり取りを、
毎年繰り返しているから。
別れる→街で会う→私のひと言→より戻す
何でこれがセットなの?
自分たちで処理してよ!
そして毎年、
ばったり街で会うな!
どう考えても…
行きそうな場所…
ウロウロしてるでしょ、2人とも!
あの2人…
5年も同じ夏を繰り返してる…。
ここで私が背中を押さなければ…
来年は別の夏がやってくるの?
私はこの言葉の鍵…
どうすればいいんだろ?
もうすぐ…
夏が終わる…。
このお話はフィクションです。
実在の人物・団体・商品とは一切関係ありません。
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