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Photo by
nashiju
大都会の交差点で…
夜の帳が下りた街。
姉妹。
「楽しみだね」
「ほんと。
これでいいの?」
「これが正解だと思う。
お祭りの意味を考えれば、
こういうことでしょ」
「でも準備、大変だった~」
「それな。
何していいか分からないから、
長崎の友達に、毎日連絡したっけ」
「やっぱり、
当てになるのは経験者だね」
「おかげで費用も抑えられたし、
最初の計画より仕上がり派手じゃない?」
「うん。
派手だし、とっても可愛いよね。
おばあちゃんも…」
「うん…可愛い…。
……そろそろ、
スタートだよ」
「ライターは?」
「あるよ」
「じゃあ、お姉ちゃん。
行こう!」
「うん。
おばあちゃん…行くよ!」
♪~
街中に鳴り響く音楽。
音に合わせ、
夜の通りに練り出す集団。
それに導かれるように…
仮装した二人は…
かぼちゃの装飾が施された荷車を引く。
その前後には、
花飾りや電飾に彩られた、カラフルな荷車。
長崎ではこれを…
精霊船と言うらしい…。
沿道には思い思いの仮装した観客たち。
ライトの点いたスマホを振る人…
持参したペンライトを振ってる人…。
「つけるよ」
「いいよ」
カチッ!
……パンパンパパンパン!
道で爆竹が爆ぜる。
「おばあちゃん…見て」
「おばあちゃん…見える?」
ふと沿道に目を移すと、
老若男女…通り過ぎる精霊船に、
手を合わせてくれている人たちが見えた。
「おばあちゃん…楽しい?」
「…よ、よかったね…おばあちゃん…」
かぼちゃの精霊船の中央には、
魔女の格好で微笑んでる…
二人の祖母の遺影が揺れていた…。
ありがとう
このお話はフィクションです。
実在の人物・団体・商品とは一切関係ありません。
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