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Photo by
nemo26
吾輩と猫
陽だまりの縁側。
椅子に座っているおじいさん。
膝の上には猫。
「あったかくなったのう~」
年輪のようなおじいさんの指が、
猫の喉元を小刻みに撫でる。
指は顎から喉へと、
行ったり…来たり…。
猫は目を細め、
ずっと喉を鳴らしている。
庭を眺めながらおじいさんは、
猫の頭を撫で始める。
少し顔が潰れた猫は、
それでも気持ちよさそうに目を閉じてる。
やがておじいさんは、
頭から背中へとゆっくり撫でていく。
大切な骨董品を磨くかのように。
おじいさんはふと手を止め、
自分の右手を見つめる。
「お~あったかくなったからのう。
こんなに毛が抜けたぞ~。
ひい、ふう、みい、よう…5本も~。
わしは今朝、枕元に3本だけだから、
今日はわしの勝ちじゃなぁ~」
今日も…
日本は…平和です。
「ニャ~~」
このお話はフィクションです。
実在の人物・団体・商品とは一切関係ありません。
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