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再就職手当の「そんなのアリ?」を確認してみた


こんにちは。

名古屋で社会保障制度の調査代行をしている社会福祉士の稲山です。

好きな言葉は「一番の化粧は笑顔」です。



再就職を早く決めるともらえる手当


新しく仕事に就く時に、失業保険の残りの日数が、初めの失業保険の日数の3分の1以上残っている場合は、再就職手当が支給される可能性があります。

https://www.hellowork.mhlw.go.jp/doc/saishuushokuteate.pdf




失業保険が終わる日


「失業保険の支給は「この日」までです、残りは再就職手当の手続きをしてください」


「この日」とは、どの日でしょうか。内定をもらった日?※認定日?採用日?この日とは「採用日前日」です。※認定日・・ハローワークで失業していることを確認してもらう日。認定日にハローワークで手続きを行わなければ失業保険の給付を受けることができません。


採用日前日の失業保険の日数が、初めの失業保険の日数の3分の2、もしくは3分の1未満になると、再就職手当が減ったり支給されなくなったりします。


再就職手当の額。(例)はじめの失業保険の日数が90日の場合。

採用日前日に残り60日以上→残り日数の70%

採用日前日に残り59日以下→残り日数の60%

採用日前日に残り30日以上→残り日数の60%

採用日前日に残り29日以下→支給なし




そんなのアリ?


弊所に実際に寄せられたお問い合わせ内容です。


「就職が決まりました。このまま予定通りに働き始めると、採用日前日の失業保険の日数が初めの失業保険の日数の3分の1未満になってしまい、再就職手当の手続きができません。再就職手当がもらえる方法として以下のようなことを考えてみました。問題はありますか?」


・次回の認定日にハローワークに行かない。

・認定日にハローワークに行かないと失業保険は給付されないが、給付されなかった日数は繰り越されるため失業保険の日数は減らない。

・採用日前日に初めの失業保険の日数の3分の1以上が残ることになり、再就職手当の手続きができる。


お問い合わせの回答として、「弊所としては分かりかねます、ハローワークに直接お尋ねください」としました。




そんなのナシ?


後日、相談者はご自身でハローワークにお問い合わせをされたそうです。その時の内容を伺いました。


ハロワーク担当者より。

・再就職手当を受給するため、故意に「認定日にハローワークに行かない」ということはやめてください。もし、そうしたことをハローワークが把握した場合は、雇用保険法及び刑法に則って処分することがあります。


こうした内容を受けて、弊所が別のハローワーク担当者に問い合わせをしてみました。


別のハローワーク担当者より。

・認定日にハローワークに来なかった受給者に対して、「なぜ認定日に来なかったのか」ということをあえて確認することはありません。

※認定日にハローワークで手続きを行えなかった場合は、失業保険の給付はできません。しかし、事情があった上で、その証明ができた場合(受診証明書、葬儀施行証明書などの証明書の提出)は、例外的に給付が認められる場合があります。


・ハローワークに仕事が決まったことを連絡する必要はなく、ハローワークに提出をする採用証明書にも「内定日」などを記載する項目はありません。


・失業保険の最後の認定と再就職手当の説明のため、受給者には採用日前日にハローワークに来てもらい行っています。




ハローワークが「内定日」の確認をしているのであれば、再就職手当が減額もしくは支給されなくなってしまう日数ギリギリにある受給者が認定日にハローワークに来なかった場合、「再就職手当を受給するために故意に来なかったのではないか」と考えることもできます。しかし、内定日の確認をしていない現在の体制では、仮に今回弊所に寄せられたお問い合わせ内容のようなことがあったとしても、把握をすることは難しいと思われます。


結局今回の相談者は採用日が早まったこともあって、再就職手当の手続きを取ることができたそうです。




さいごに


・失業保険の支給は「採用日前日」まで。再就職手当はあなたにとって大切な制度です。採用日前日に失業保険の日数がどのくらい残るのか確認をしてみてください。


・失業保険や再就職手当に限らず、社会保障制度は正しく利用しましょう。少しでも多くの時間やお金を手に入れたいと、ルールを守らなかったために、大きなペナルティを負ってしまっては元も子もありません。一方で「自立」に向け、資格がある方が正しく制度を利用することは、とても大切なことだと感じています。

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