高校無償化と、高校受験

セミ取り名人さんのお仕事の誠実さと、
アンテナの立て方に、心から敬服します。

① 工業と商業が狙い目だということへの賛同

現実的には、おっしゃる通り例えば簿記等の資格を高校で取ることができます。
また、就職希望者の就職率は100%に近く、高卒で公務員になる生徒もいます。
大学受験に関しては、
「工業高校枠」「商業高校枠」での推薦入試や総合型選抜があり、その枠を利用して、国公立・難関私立大学に合格する生徒が実績として出ているはずです。

大学や職業を決めていない、勉強がとくいでない生徒にとって、これは狙い目という言葉がぴったりです。

② 大阪府の公立高校で定員割れが起こる原因

まず、維新による「高校無償化」の影響は大きいと言えます。
私が中学生の頃は、「公立高校落ちたら、私学なんて行かせられへんで!そうなったらアンタ働き!」と、半分冗談半分本気で親は言ったものです。
だから、自宅から交通が不便なところにある公立高校でも、学力に合わせて受験することが多々ありました。
ところが無償化によって、公立高校に落ちて私立高校に行っても、授業料は変わらないとなれば、話は変わります。
今や、併願で私学をおさえたら、公立高校は人気校や上位校へ、イケイケドンドン。
こうして、交通の便の悪い学校や、成績下位の生徒が通っていた学校は、定員割れが常態となっていきました。

また、大手塾の存在も見過ごせません。
塾の実績を伸ばすため、公立落ちても私学がある!と、前述の傾向をさらに助長するような進路指導を行ったからです。

本題から少し話はずれますが、
大阪府立高校の入試では、英検の合格級に応じて英語の得点が優遇される制度があります。
英検2級以上を取得していれば、英語テストの得点が80%(90点満点中72点)が保証されます。英検準1級以上であれば100%(90点満点)が保証されます。
大手塾がこれを利用しない訳はありません。
中1から英検合格をどんどん推し進め、目標の英検が取れるや否や、英語以外に絞って勉強をさせる訳です。
(英検合格のためだけに詰め込む勉強は、受験のための英語よりもひどい英語嫌いを生んでいるように思います)

全国に名のしれた大阪維新の会ですが、このような地元の問題を検証・周知せず、わが党の手柄だと言わんばかりに全国規模で高校無償化を進めるのは、怖いと言わざるを得ません。

③ これから地方で起こること

大阪府、そしてその周辺の都道府県が経験していることが、全国で起こります。
すなわち、公立高校の大再編です。
私は4人兄妹ですが、4人とも、卒業した高校の名前は残っていません。
公立トップ校や、有力議員の働きかけが見込めない高校は、すべて再編(統廃合)に組み込まれて、新たな名前がつけられました。
「特色ある学校」という名のもとに、十分とは言えない議論ののち、二転三転してさまざまなことが決められていきます。
悲しいですが、
入口も、出口も、子どもたちのことや、教育のあり方を考えてのこととは到底思えない決定プロセスだと感じています。

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