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医療 x テクノロジーをつなぐ「もいせん」とは?-もいせん受講から3年経って-
近年、医療の現場でも様々なテクノロジーが導入され、医療者とエンジニアが協働しながら課題解決に取り組むケースが増えてきました。しかし医療の現場には、医療者にしか気づけないリアルな課題が存在します。それらをテクノロジーで解決するには、エンジニアだけではなく、医療者自身が「テクノロジーを理解し、課題を解決する実装力」を身につける必要があります。
そこで生まれたのが、「もいせん」 です。正式名称は「ものづくり医療センター」といい、医療者向けのプロトタイピングスクールとして運営されています。ここでは、医療者が医療現場で直面する課題に対し、自ら企画・実装して解決につなげる力を養うことを目的としています。
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はじめに:なんとなく「楽しそう!」で踏み出したもいせん
正直なところ、私が「もいせん(ものづくり医療センター)」に参加した理由は、「なんだか楽しそう」という単純な直感からでした。
医療現場で感じる課題を、テクノロジーを使って自分たちで解決できるようになったら面白いかも。それに、実装力が身につけば現場の視野も広がりそうだし──そんな軽いノリで、「入院」(=参加)を決めたんです。
でも、実際に始めてみると「あれ? これは意外と大切かも!」と驚くことばかり。週ごとに違う技術テーマに触れつつ、自分のアイデアを形にしてみる過程が、想像以上に刺激的でした。
ここでは、そんな「なんとなくの興味」から飛び込んだ私が体感した、もいせんの世界をご紹介します。これを読んで「面白そう!」と思ってもらえたら、ぜひあなたも一歩踏み出してみてください。
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=デジタル沼への第一歩
もいせんが目指す「課題を認識し、解決する実装力」
多くのプログラミングスクールは、Webアプリケーションやサイト制作など、決まった制作物をゴールに設定して学習を行います。一方で、医療現場が抱える課題は多種多様です。単にデジタルツールを学んだだけでは解決につながりにくいです。
もいせんでは、「課題を認識し、解決する実装力」 を育成することを重視しています。これは、プログラミングの専門家やエンジニアへの転職を目指すものではなく、「医療を熟知し、かつテクノロジーを使って課題を解決できる」医療者を生み出すことを狙いとしています。
幅広い技術とアウトプットを学ぶ
もいせんの特徴は、特定の技術を深掘りするのではなく、幅広い技術に触れる機会がある という点です。実際の講義では、LINE Bot開発や動画編集ツールの活用など、毎週異なる技術テーマが提示され、それを駆使して企画・実装・発信(アウトプット)を繰り返します。
これは、エンジニアが情報を得る際に活用している**OSS(オープンソースソフトウェア)**や、ネット上のドキュメント・QAサイトなどを使いこなすための「検索力」「質問力」を鍛えるねらいもあります。日進月歩のテクノロジーの世界で、必要な情報に辿り着き、課題を解決に導くスキルを磨くことは非常に重要です。
また、単に技術を学ぶだけでなく、企画力・アウトプット力も求められます。技術を学んだだけではプロダクトを作ることはできません。「企画があるからこそ技術が生き、技術があるからこそ企画の精度が高まる」 という相乗効果を、受講生は毎週の課題をこなしながら体験するわけです。
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(受講生目線ということをご了承ください!)
入院と退院? 遊び心あるシステム
もいせんは「医療センター」という名前で運営されています。そのため、一般的なスクールのように「入学」「卒業」とは呼びません。医療者向けの特性をユーモアたっぷりに活かし、
入学 ⇒ 入院
卒業 ⇒ 退院
と呼んでいます。講師役はエンジニア、受講者が医療者であるため、普段の医療現場とは逆の立ち位置になります。こうした遊び心によって、受講生同士の距離感がぐっと縮まり、新たな視点やアイデアが生まれやすい環境が整っています。
プロトアウトスタジオとの関係
“もいせん”のようなスクールのコンセプトには、**「プロトアウト」**という考え方も大きく影響しています。
プロトアウトとは、プロトタイプ(試作品)を制作し、アウトプットとして世の中に発信する という造語です。アイデアを具現化して発信するサイクルを素早く回すことで、ポジティブにもネガティブにもフィードバックを得て成長していきます。
プロトアウトスタジオは、企画から制作・情報発信まで一連の流れをゴリゴリ学ぶスクールです。もいせんでも同様に「どうやって課題を企画し、どうやって作るか、そしてどうやって世の中に伝えるか」を重要視しています。テクノロジーを学ぶだけでなく、情報を検索し質問する力、そして公開して反応を得る力が身につく環境を提供している点が、一般的なプログラミングスクールとは大きく異なります。
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もいせんの今後の可能性
医療現場は多くの課題を抱えていますが、それをすべてエンジニアに依頼するのは非現実的です。そこで、医療者自身がテクノロジーに対する理解を深め、エンジニアとの架け橋になる存在 が必要となります。もいせんは、そのような人材を輩出するためにも貢献しています。
医療者がテクノロジーを学ぶ意義
現場でしかわからない課題を正確に捉えられる
自ら実装してみることで、エンジニアへの要件定義やコミュニケーションがスムーズになる
課題解決を通じて、自分のキャリアや現場の医療の質向上につながる
学びのスタイルが柔軟
オンライン講義(主にZoom)で気軽に参加できる
最新ツールを使った講義がリアルタイムでアップデートされる
入院・退院というユーモアあふれる仕組みで、楽しみながら自走力を身につけられる
このように、「もいせん」 が提供する学びのスタイルは、医療とテクノロジーの両面を理解するハイブリッドな人材を育成する大きな可能性を秘めています。
まとめ
テクノロジーが日々進化し続けるなか、医療者が自ら課題を発見し、解決策を実装できる力はますます重要になっていくでしょう。もいせん(ものづくり医療センター)は、「課題を認識し、解決する実装力」 を身につける場として、医療従事者に新たな可能性を拓いています。
エンジニアでもない、純粋な医療者だけでもない、両方を理解し使いこなす「ものづくり医療者」としての道を歩める環境。それが もいせん です。
医療とテクノロジーの融合を通じて、現場で直面する数多くの課題解決に挑む仲間がさらに増えることに期待が高まります。もし、医療の現場で「こうしたらいいのに」というアイデアをお持ちでしたら、是非一度、もいせんの学びに触れてみてください。新しい視点と技術が、思いもよらない形で課題の解決への一歩となるかもしれません。