EBV(EBウイルス) 雑感 【初投稿】

私はとある地方大学の大学院生です。
本職は耳鼻咽喉科・頭頚部外科(2021年より学会名称に頭頚部外科がつくようになりました!)の臨床医ですが、知的筋力の強化のために病理学で大学院に通っています。
なので今は、患者さんと接する機会より顕微鏡で組織を覗いたり、試験管を持っている時間の方が長いです。

博士論文も受理され、大学院生活も今年度で終了の予定なのですが、一つの目標であった「EBウイルスとHPVの知識を極める」事ができていません。

そのため、今年度残りの268日間/38週間で毎週ウイルスの記事を書くことで知識の定着を図ろうと思います。


EBウイルス (Epstein-Barr virus)


【歴史】


1964年にEpsteinらが、バーキットリンパ腫培養細胞中に発見したのが第一号、Henleらが、大部分のヒトにEBVが感染していることを疫学研究で示す

【どうやって感染する?】


唾液を介して口腔咽頭領域のBリンパ球へ直接感染し、
終生に渡り、感染状態が維持される

【なぜ排除されない?】


メモリーBリンパ球中で免疫の標的となるウイルス抗原を発現しない潜伏感染状態となるため

【どんな病気になる?(初感染時)】


伝染性単核球症(初期感染像)
 過剰免疫反応による症状が出る。
 乳児期:免疫が未熟であり、無症状であることがほとんど(不顕性感染) 
 思春期以降:激しい咽頭痛・扁桃炎・頚部リンパ節腫脹・肝機能障害


【どんな病気のリスクになる?(EBウイルス関連ヒトがん)】


・バーキットリンパ腫
・胃がん
・上咽頭癌
・NK/T細胞リンパ腫
・ホジキンリンパ腫
・エイズ
・移植後リンパ腫


【その他】


・EBVはヘルペスウイルス科
・感染標的はBリンパ球が主だが、Tリンパ球・上皮細胞へも感染する事あり
Bリンパ球に発現するCD21を吸着レセプターとするが、CD21以外を介する感染経路の報告もある


EBVの雑感:一生人の体の中にいるために工夫して生きているかしこ〜いウイルス。kissing diseaseが有名で初感染時に起こす免疫反応(伝染性単核球症)です。普段よく見る扁桃炎と比べて扁桃炎の白さ加減と痛みの程度がきついのが特徴です。

時間が来てしまったので、HPVは次の記事で書きます〜〜。

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