#02 いつもの朝。
私と夫は起きる時間が大抵異なる。
会社員の夫が起きるのが決まって6時。
私が起きるのは7時から8時のあいだ。
起床時間が自由なのは、自営業の醍醐味である。
布団にもぐりながら、夫の支度がどこまで進んだか推測する。
なるべくトイレタイムがかぶらないように調整しているのだ。
夫の足音と気配で、単にワイシャツを取りに来ただけなのか
私を起こすために寝室にやってきたのかがわかるのは
過去一長く一緒に過ごしたパートナーだからであろう。
夫は最低9時間は寝たい派の私を無理に起こそうとはしない。
だけど、出かける時には必ず声をかけてくれる。
のっそりと起きて、冷蔵庫や冷凍庫を漁り
スマホをいじりながら朝ドラを見て
ようやく私の一日が始まる。
子どもがいたら、こんな呑気な朝はあり得ないだろう。
(こうして文字に書き起こしただけで怒られそうだ)
愛するわが子を手塩にかけて育てる幸せも
それに伴う苦労や、苦労を乗り越えた先にある喜びも
体験したことのない自分には永遠にわからないが
よそはよそ、うちはうち。
私は、今の生活をかなり、いや相当気に入っている。
好きな家で、お互いの好きなモノやコトに囲まれて
夫とふたりで慎まやかに暮らす毎日に
心から満たされているのだ。