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伊藤悠美という、今月スイスから来日ツアー中の壮大且つ謙虚なアーティストを知っているか!!(知ってくれ
8月、とても逢うことを楽しみにしていたアーティストが来日している。
Yumi Itoこと、伊藤悠美。彼女の歌声や演奏からは音楽家の両親の存在と、育ってきた土地の風土をしっかりと感じさせる。
ポーランド人の母親は声楽、そして日本人の父は鍵盤ハーモニカ兼ピアノ奏者。クラシックをバックボーンに持つ彼女はコンテンポラリージャズ系のシンガーソングライターで、私と同い年ながら世界各国をツアーで回り、様々な著名ジャズ奏者と共演しながら素晴らしいパフォーマンスを繰り広げている。
現代ジャズのインプロヴィゼーショナル且つパーカッシブ、フリー的アプローチからクラシック〜フォーク〜オルタナティブ、アンビエント、エレクトロ要素まで。幅広い音楽性を感じさせる唯一無二の発想が、独自の世界感をリアルに魅せてくれる。彼女がこれまで過ごした土地の景色、広大な自然や、森。そこに響き渡る音のエネルギーが素直に在るようなサウンドスケープを体感する。自身の歌を「meditation」だというくらいには、彼女の全身から鳴る音には余念がない。
私の歌のベースは主に言葉やリリックに比重を置いているけれど、相反するスタイルを行くと言っても過言ではない彼女の歌い姿が、あまりにも新鮮で、言語を超えた音声そのものに宿るパワーを本に知らさせる。もちろん、歌詞の世界感も素晴らしい。だけど背景に伝えたい事象は最低限に磨くことで、言葉はなくても、人となりとか表現が研ぎ澄まされる=ゾーンに入る演奏ができれば、こんなにも心掴まれるものなのかと驚く。
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約8年前に彼女とはオンラインで知り合い、スイスのレーベルUnitからリリースの1stアルバム(Interwinedというスタンダード集)を、私が当時勤めていたディスクユニオンへ流通するよう繋げたきっかけで少しだけ交流がある。そして今年ようやく彼女(と私の)念願が叶い、演奏では始めて日本へときてくれたのだ。
昔から長野県に住まう祖母のご実家を、何度か家族旅行で行き来し訪ねることはあったみたいだけれど、今回が仕事では初なのだそう。
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先日8/4に大阪Gallonでのツアー初日。音源で聴いていた時よりもダイナミクスの付け方、レンジの広さ、即興性の差に驚愕し…ここ最近で聴いた演奏や歌声の中では群を抜いてグッとくるものがあった。私自身、よく聴いていた昨年リリースのアルバム「Ysla」からメインに選曲された今回のライブ。
来年、Enja(マジか、すげー…)からリリース予定のニューアルバムからも数曲ほど新曲を披露してくれました。めちゃくちゃ良かった。
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そしてライブMCはなるべく日本語で曲の解説をしようとの心意気🥹発音が凄く綺麗!日本人であるお父様から、MCでどう曲の説明をすればいいかを聞いて練習してきたそう…その真摯な姿勢も素晴らしいアーティストだ。
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今回は同じくスイスからギタリストのアレッシオ・カゼッタと共に来日している。(お茶しに一緒に出掛けた時に、酒好き、そして無類のお茶・香水好きと聞き意気投合する)
様々にスイッチャーを駆使して、悠美の精神世界に共鳴し浮遊するように、そして時にロックやリズミックに踊るような奏法からは彼もまた、両親が南アフリカとイタリアという様々なカルチャーを持つ部分を垣間見ることができる。
(まって、めちゃくちゃ音源良ー!!えー!もうすぐリーダー作の新譜が出るらしい)
是非とも彼らにとっての初の日本ツアー、お近くの場所である際はどうか駆けつけて欲しい。
ボーカル目線としては、ビョーク、ロード、ラナ・デル・レイ〜エスペランサ・スポルディング、カミラ・メザ、グレッチェン・パラート、ベッカ・スティーヴンス〜タチアナ・パーハ、エリカ・リベイロ〜クラシック声楽を好む方まで…!
体感して欲しい歌声。
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8/10 (土) 北海道 恵庭市 夢創館
8/11 (日)北海道 函館 あうん堂
8/14(水) 東京 阿佐ヶ谷 スタッカート
8/17(土) 長野 飯綱町 音楽堂MAMI
8/20(火) 京都 三条 Livespot RAG
2人共タイトなスケジュールで世界を飛び回り演奏する中で、お茶をしながら様々な話をさせてもらった。
今、彼女達が住むスイスでの暮らしや音楽事情、環境。やはり日本とは違うシステムで、恵まれた部分もあるのだろうけど…着実に活動を広げられているのは、自身の音楽やスピリットに直向きで誇りを持っているからだと思った。その上で、そこに共感する者(やり取りはしてたものの初めて逢えた私)に対してまで少しも躊躇せず、同じ温度感と姿勢で向き合い、シェアすることへの妥協をしないことが一つ大きな理由だと感じた。
自国の音楽に纏わる知らない物事や事情もまだまだたくさんあるけれど、世界にはもっと知る/行くべき場所も制度があり、悠美やアレッシオのように、同世代のミュージシャンが既にしっかりリーチアウトしていて…さらには、私にまで情報や機会を与えてくれようとしている。(ここでは書けないけど、すごい…そんなことしてくれるの?っていう事まで!)
私が見られる世界はもっと広いのかもしれない。
見えないチャンスというのは僅かな隙間に落ちているものだなぁ。そこにコーシャスになる姿勢を気付かされる機会だった。
8月20日(火)の京都ラグでの演奏も待ち遠しい。
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魅力あふれる彼女達から ますます目が離せない。
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