「幸せな結婚生活なんて幻だ」と見切っていた私が辿りついた、夫婦愛の育み方
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「ふたりのA面B面」第6回は、ご夫婦で心理カウンセラーとして活躍している渡邊さんご夫妻! パートナーシップのプロであるおふたりは、じぶんたちを ”養殖夫婦” と冗談まじりに言うこともあるそうで……!?
養殖ってなんだろう? とハテナを浮かばせながら、おふたりの関係性や夫婦愛について詳しく伺いました。
▼夫 義さんのA面はこちら
結婚への憧れがまったくなく、10代の頃から結婚願望が0だったという奈都子さん。
そんなふたりが、出会い、長年手塩に掛けて育んできた夫婦の形とは?
今回はB面として、妻の奈都子さん視点で、心理カウンセラーの経験を活かしたパートナーシップのライフハックや「夫婦」の捉え方についてもたっぷり伺ってきました!
ぜひ最後までご覧ください。
幸せな結婚生活は、幻だと思っていた
ーーー奈都子さんと義さんは、お互いのことを「養殖夫婦」と呼ばれることがあると伺いましたが、それはどんな関係性なのでしょうか。
奈都子さん(以下:奈都子):「養殖」の対義語は「天然」かなと思うんですが、天然だったら、相性の良さや元々持っている特徴を発揮して自然によく育つ。でも、私たちは、いろいろ学んで、試行錯誤しながら手をかけて育ってきた夫婦……という意味です。
私と彼は、育った環境やお互いの資質の相性が全然違うんです。
私の両親は離婚しています。離婚の理由は母の浮気でした。しかもその相手は父の知り合いだったので、どんな修羅場が繰り広げられたかは想像に難くないでしょう(苦笑)
その浮気は結局本気に変わって、相手の男性は後に私と弟を育ててくれた養父になった のですが、いろんな大人たちがいろんな感情を出し合って繰り広げていた様子をすぐそばで見ていた私が一番感じたことは「大人って案外大人じゃないんだな」ってことなんですよね。小学校4年生にして、すでに達観してしまった感じです。
夫とは、高校三年生のとき、バイト仲間として知り合いました。バイト終わりに初めて2人でご飯にいったとき、なぜかお互いの結婚観みたいな話になって、私は「多分、一生結婚しないと思う」って言ってたんです。彼もそれをよく覚えているみたいです。結婚しない、というよりしたくない。なぜならば、幸せに結婚生活を送っている大人を見たことがなかったし、結婚して幸せになるなんてことは、幻だと思っていたから。
一方で彼のご両親はめちゃめちゃ仲がいいんですよ。
でも、そのご両親の関係性は自然と出来上がったものではなく、温かい家庭にするために、2人が努力をしていることを知っていました。「結婚したら幸せになるとは思っていない」し「結婚しても2人の絶え間ない気遣いがあって、幸せが育つ」と思っていたんですね。
私たちは、幸せな結婚という山の頂上をそれぞれ逆サイドから見ていたように思います。お互い、幸せな結婚という頂上にたどり着くのは簡単なことじゃない、すごく険しいことなんだと認識していたんです。
ーーー高校生にして、すでに結婚に対する考えをお互い持たれていたんですね。
奈都子:レアですよね?(笑)
でも、同級生の男友達にこんな話ができる人はいなかったから、当時夫とは付き合ってはなかったけれど、「世の中にこういった考え方の人がいるんだったら、結婚するのもいいかもしれないな」と思ったことは覚えています。
大学4年の時に彼と再会して付き合い始めたんですが、大学時代のサークルの同期の中でも、私は結婚しない人だと思われていて、もし結婚するとしても他の皆を見送った最後だろうし、卒業後は当然東京でバリキャリの道をいくはずだと・・(笑)。にもかかわらず、就職2年目で婚約するわ、仕事も辞めて静岡に嫁ぐというわで、友人たちからは騙されてんじゃないの!? と心配されるぐらい意外だったみたいですね(笑)
結婚願望0だった私が、結婚を決めた理由
ーーーそんな固い決意があったにも関わらず、義さんとの結婚を決めた理由は何だったのでしょうか。
奈都子:一つは、この人と結婚したら人生楽しいだろうなと思ったことです。
私は特別安定志向ではないけれど、なんとなくいい大学を卒業して、それなりの企業に就職して……という割とスタンダードの考え方を持っていました。それがいいというよりも、その選択肢しか知らなかったんですね。だから自営業の彼との出会いは、私の知らないことや予想がつかないような色んな景色を見る機会になりました。
そんな彼と過ごすうちに、この人の人生に関わりたいと思うようになりました。彼の人生に関わったら、なんだか今までとは違う幸せを経験できるような気がしたんです。
もちろん、彼の突飛な行動に驚くこともありました。
結婚してまだ1-2年目だったある日、彼から行ってみたい講座があると相談されたんです。それが結構な高額で、新婚だった私たちには簡単に出せるような金額じゃなかった。でも、彼が興味を持ってそこに向かうと言うならば、「行ってらっしゃい」と送り出せる人でありたいと思ったんです。
「あ、私この人の人生が楽しくなることに便乗したくて結婚したんだった」って思い出して。私と結婚したことで、彼の人生の可能性を奪うことはしたくないな、と。
結果、その講座も、最終的には今の事業に活きていて、すごくもとが取れました(笑)
夫は、人生すべての転機
ーーー奈都子さんにとって、義さんとはどんな方なのでしょうか?
奈都子:私にとって、渡邊義は人生全ての転機です。
大学では心理学を学んでいたけれど、職業としてカウンセラーという道に至ったのは彼がきっかけだし、一緒に事業をして、会社を作る、組織を作るという経験ができているのも、彼との人生があったからだなと思います。
何より大きいのは、彼との出逢いによって私がクリスチャンになったこと。
クリスチャンホームで育った彼が、当時クリスチャンじゃなかった私と結婚すると決めたことは、ものすごく大きな決断だったということが、いまなら分かります。
土台にしている価値観も、毎週日曜の礼拝に通うっていう習慣も、結婚するなら絶対クリスチャン同士の方が理解がスムーズだと思うんですよ。
彼が、自分はクリスチャンだ打ち明けてくれたのは、つき合い始めて数ヶ月してからだったんですが、そのとき「私がクリスチャンにならないと結婚できないってことなの?」と聞いたんです。彼は「そんなことはないけれど、僕の信仰を否定することはしないで欲しい。願わくば、死ぬまでには(キリスト教を)信じてもらえたら嬉しい。クリスチャンになったら、一緒に天国に行けるから」といったんです。
結局私は、ノンクリスチャンのまま彼と婚約して、結婚式を迎える数ヶ月前のイースターに「いまかな」と思えたタイミングで洗礼を受けてクリスチャンになりました。
ーーー義さんは、宗教観でさえも相手をコントロールしようとせず、奈都子さんの意志を尊重されていたんですね。
奈都子:そうですね。彼のことをひとことで言えば「自律的な人」です。
彼は一般企業でサラリーマンをするという経験はなくて、個人事業主から起業して、カウンセリングセンターを私と一緒に設立して、その後法人化して……とずっと経営者なんですよね。
自営業って、いつ何をするかは自分次第なんです。何に投資してこれから何を柱にしていくかも誰かに指示されることはない。いつ休むかも自分で決められる。営業時間は決まっているけれど、そもそもお店を開けない選択肢もある。
日常生活でも、彼は自分のルーティンを持っています。
いまだったら、朝は血圧と体重を測って、筋トレして、トマトジュース飲んでフルーツ食べてヨーグルト食べて……と、自分で決めたことを黙々としています。歳と共に健康に関しては特にルーティンが増えましたね(笑)
でも自由な面もあるので、私から何か言われるのは嫌みたい(笑)。だからこそ、私のやることに対しても、何も言わない人です。
夫婦関係を円満にするライフハック
ーーーおふたりは心理カウンセラーのお仕事もされていますが、結婚30年間で実践してよかった夫婦のライフハックがあれば、教えてください。
奈都子:いろいろ学んでいるとはいえ、私たちも、ずっと毎日手を繋いで過ごしてるわけじゃないし、沸々するときもあります。そんなときは、学んだ知識を総動員して試してみることを意識していますね。
1.感情を置いて、まずは行動!声のトーンを高くする
奈都子:私がすごく意識しているのは、声のトーンです。
いつも100%できるわけじゃないけれど、相手が「おはよう」と言ったら、常に相手よりも上のトーンで返事をするようにしています。
この話をすると「不機嫌な時にそれはできない」とおっしゃる方もいるのですが、感情至上主義を手放すことが大切なんです。
「そういう気分じゃない」「今はそんな優しい気持ちになれない」……みたいなとき、ありますよね。
でもそれは、本当は無理じゃない。感情は一旦脇に置いてやってみることが大事。
私が夫に対して「おはよう」と高いトーンで言えるのは、相手のことが大好きでその気持ちが溢れてるからとか、何のわだかまりもないからっていうわけじゃない。もし、後で話し合わないといけないなと思うことがあったとしても、スキルとして機嫌のよい対応をしてしまうと、その後で感情はついてきます。
だからまずは、行動を変えることが大事なんです。マインドフルネスやヨガも、姿勢や形から入ることが大切なのも同じなんです。
できれば口角も上げた方がいいし、体も正面を向けた方がいいけど、まずは声のトーン。これは夫婦間のコミュニケーションにおいて、かなり大事なような気がしています。
2.彼が大切にしているものを貶さない
奈都子:もうひとつ意識してることは、彼が大事にしている物や人を貶さないこと。
よくある例は、夫が舅姑の悪口を言ったときに、便乗して妻も悪口を言ってしまう。それは、夫は言ってもいいけれど、妻は言っちゃ駄目。口では悪く言っていたとしても、心の奥底では大事に思っているものなんです。
もしくは夫がハマっている趣味に対して、「そんなことやって何が面白いの?」と言うこともタブーですね。ちなみにうちの夫は着道楽で、中でも靴の手入れにはこだわりがあります。一足に何時間もかけてることもあるので、まさに趣味なんでしょうね(笑)。
3.賛同はしなくても、尊重はする
奈都子:そんな人ですから、服の量も靴の量も私以上。クローゼットのスペースはどんどん侵食されていきます(笑)。でも、それを大げさに否定して例えば勝手に洋服を捨てたりしたら、関係が悪化して火花が散ることは間違いないでしょう。なので、我が家ではそれはしない。賛同はしてないけど、尊重をしています。
私は、6-7年前からZumbaというダンスエクササイズをやっていて、いまは週4で通っています。他にも、毎月ネイルサロンに通ったり、ゴルフを習い始めたり、友達とランチに行ったりと、結構好きなことをさせてもらっていますが、彼は駄目と言ったことはないんですよね。
「一緒に行かない?」と誘って時々お断りされることはあっても(笑)、私の意思ややりたいことに対しては、彼も尊重してくれています。
もちろんずっと一緒に暮らしていたら、脱いだものをどこに置くかとか、使ったものをいつ戻すかとか(笑) そんな些細な小さな衝突のタネはあるけれど、広い目で考えたらやっぱり感謝することの方が多いですね。
幸せは、手作りクッキーのように量産できる
奈都子:私は自分の講座やカウンセリングの中で、パートナーシップにおける幸せを、ホールケーキと手作りクッキーで説明することがあります。
もしも「ふたりの幸せ」を、全体の量が決まっている “ホールケーキ” のように捉えていると、ふとしたときに「あなたがそんなに〇〇をしていたら、私の分が無くなっちゃうじゃん!」と文句を言いたくなる。そういうときって、勝ったか負けたかの意識が働いているでしょう?
でも、幸せは、天井が決まっているものではないし、相手と競うものではない。
量も形もいくらでも変えられる “手作りクッキー” のように考えればいいのではと思っています。
手作りクッキーなら、どれくらい作るかは自分たち次第。不恰好でも味があって、自分たちオリジナルなものになる。材料が足りなくなったらまた仕入れればいいし、同じ味に飽きてきたら、スパイスやドライフルーツを加えるといった工夫もできる。
夫婦は戦友とはよく言ったもので、内輪で陣取り合戦をしていたら、外からやってきた苦難や試練に立ち向かえるわけがないですよね。
いざというときのためにも、日頃、何を材料に自分たちはクッキー作りができるのか、意識しておくのは大事だと思います。
夫婦愛とは、ふたりで「私たち」をつくっていくこと
ーーー奈都子さんにとっての、夫婦愛について教えてください!
奈都子:私にとっての夫婦愛は「私」と「あなた」が「私たち」になることかなと思います。
土台には、信頼と尊敬と友情があって、プラスユーモアがあった方がいい。のぼせるような恋心は冷めても、友情は冷めないですよね(笑)。長く相手を思いやれるというのは、愛情関係には大事なことです。
パートナーシップは奥が深いですし、これさえすればいい! みたいな簡単なマニュアルは存在しないと思います。
だけど、せっかく縁があって一緒に生きる選択をしたのであれば、「あなた」でもなく「わたし」でもなく、「私たち」という唯一無二の相乗効果を存分に味わえた方が、人生が豊かになる。
信頼しあって、尊敬しあって、友情が育まれた関係にユーモアをまぶして築かれた「私たち」が、時を重ねて安定していくこと。それが私にとっての理想の夫婦のあり方かもしれません。
ーーー奈都子さん、ありがとうございました!
世の中のカップルは、みんないろんな出会いを経て、一生をともにしようと誓い、結婚をする。
でも実際は、結婚がゴールではなく、大きな壁や試練があるのもの。
そんな十人十色のパートナーシップの育み方について、ひとつの解を与えてくれたのが渡邊さんご夫妻でした。
「心理カウンセラーだから上手くいく」のではなく、日々学びを実践し、主語を「私たち」と置いて大切に育んできたからこそ、今のおふたりの姿がある。
最初からすべてが上手くいかなくとも、”養殖夫婦”のエッセンスを知ることで、真似できることはたくさんあるかもしれません。
今回の記事が、パートナーとの関係性に悩んだときの道筋のひとつになれれば嬉しいです。
▼夫 義さん視点のA面はこちら
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